本ガイドでは、アプリケーションでメールを受信するために必要なすべての情報を提供します。
このガイドの内容:
Action Mailboxは、受信したメールをコントローラに似たメールボックスにルーティングし、Railsで処理できるようにします。Action Mailboxは、Mailgun、Mandrill、Postmark、SendGridへの入り口(ingress)を備えています。受信メールを組み込みのEximやPostfixやQmail用のingressで直接扱うこともできます。
受信メールはActive Recordを用いてInboundEmail
レコードになり、Active Storageによってライフサイクルトラッキングや元のメールのクラウドストレージ保存を行い、データを「on-by-default incineration(焼却)」で責任を持って扱います。
受信メールはActive Jobによって非同期的に1つまたは複数の専用メールボックスにルーティングされ、ドメインモデルの他の部分と直接やりとりできます。
以下を実行してInboundEmail
で必要となるマイグレーションをインストールし、Active Storageがセットアップ済みであることを確認します。
$ bin/rails action_mailbox:install $ bin/rails db:migrate
SMTPリレーからのメールを受け取るようAction Mailboxに指示します。
# config/environments/production.rb config.action_mailbox.ingress = :relay
Action Mailboxがrelay ingressへのリクエストを認証するのに使える強力なパスワードを生成します。
パスワードを追加するにはbin/rails credentials:edit
を実行します。パスワードはアプリケーションの暗号化済みcredentialのaction_mailbox.ingress_password
の下に追加されます(Action Mailboxはこのcredentialを自動的に見つけます)。
action_mailbox: ingress_password: ...
または、RAILS_INBOUND_EMAIL_PASSWORD
環境変数でパスワードを指定します。
Eximを設定して受信メールをbin/rails action_mailbox:ingress:exim
にパイプでつなぎ、relay ingressのURL
と先ほど生成したINGRESS_PASSWORD
を指定します。アプリケーションがhttps://example.com
にある場合の完全なコマンドは以下のような感じになります。
bin/rails action_mailbox:ingress:exim URL=https://example.com/rails/action_mailbox/relay/inbound_emails INGRESS_PASSWORD=...
Action Mailboxに自分のMailgun署名キー(Signing key)を渡して、Mailgun ingressへのリクエストを認証できるようにします。
bin/rails credentials:edit
を実行して署名キーを追加します。署名キーはアプリケーションの暗号化済みcredentialのaction_mailbox.mailgun_signing_key
の下に追加されます(Action Mailboxはこのcredentialを自動的に見つけます)。
action_mailbox: mailgun_api_key: ...
または、MAILGUN_INGRESS_SIGNING_KEY
環境変数でパスワードを指定します。
Mailgunからのメールを受け取るようAction Mailboxに指示します。
# config/environments/production.rb config.action_mailbox.ingress = :mailgun
受信メールを/rails/action_mailbox/mailgun/inbound_emails/mime
に転送するようMailgunを設定します。たとえばアプリケーションがhttps://example.com
にある場合は、完全修飾済みURLをhttps://example.com/rails/action_mailbox/mailgun/inbound_emails/mime
のように指定します。
Action Mailboxに自分のMandrill APIキーを渡して、Mandrillのingressへのリクエストを認証できるようにします。
bin/rails credentials:edit
を実行してAPIキーを追加します。APIキーはアプリケーションの暗号化済みcredentialのaction_mailbox.mandrill_api_key
の下に追加されます(Action Mailboxはこのcredentialを自動的に見つけます)。
action_mailbox: mandrill_api_key: ...
または、MANDRILL_INGRESS_API_KEY
環境変数でパスワードを指定します。
Mandrillからのメールを受け取るようAction Mailboxに指示します。
# config/environments/production.rb config.action_mailbox.ingress = :mandrill
受信メールを/rails/action_mailbox/mandrill/inbound_emails
にルーティングするようMandrillを設定します。アプリケーションがhttps://example.com
にある場合、完全修飾済みURLをhttps://example.com/rails/action_mailbox/mandrill/inbound_emails
のように指定します。
SMTPリレーからのメールを受け取るようAction Mailboxに指示します。
# config/environments/production.rb config.action_mailbox.ingress = :relay
Action Mailboxがrelay ingressへのリクエストを認証するのに使える強力なパスワードを生成します。
bin/rails credentials:edit
を実行してAPIキーを追加します。APIキーはアプリケーションの暗号化済みcredentialのaction_mailbox.ingress_password
の下に追加されます(Action Mailboxはこのcredentialを自動的に見つけます)。
action_mailbox: ingress_password: ...
または、RAILS_INBOUND_EMAIL_PASSWORD
環境変数でパスワードを指定します。
受信メールをbin/rails action_mailbox:ingress:postfix
にルーティングするようPostfixを設定し、Postfix ingressのURL
と先ほど生成したINGRESS_PASSWORD
を指定します。アプリケーションがhttps://example.com
にある場合の完全なコマンドは以下のようになります。
$ bin/rails action_mailbox:ingress:postfix URL=https://example.com/rails/action_mailbox/relay/inbound_emails INGRESS_PASSWORD=...
Postmarkからのメールを受け取るようAction Mailboxに指示します。
# config/environments/production.rb config.action_mailbox.ingress = :postmark
Action MailboxがPostmarkのingressへのリクエストを認証するのに使える強力なパスワードを生成します。
bin/rails credentials:edit
を実行してAPIキーを追加します。APIキーはアプリケーションの暗号化済みcredentialのaction_mailbox.ingress_password
の下に追加されます(Action Mailboxはこのcredentialを自動的に見つけます)。
action_mailbox: ingress_password: ...
または、RAILS_INBOUND_EMAIL_PASSWORD
環境変数でパスワードを指定します。
受信メールを/rails/action_mailbox/postmark/inbound_emails
に転送するようPostmarkのinbound webhookを設定し、ユーザー名actionmailbox
と上で生成したパスワードを指定します。アプリケーションがhttps://example.com
にある場合の完全なコマンドは以下のようになります。
https://actionmailbox:PASSWORD@example.com/rails/action_mailbox/postmark/inbound_emails
Postmarkのinbound webhookを設定するときには、必ず"Include raw email content in JSON payload"というチェックボックスをオンにしてください。これはAction Mailboxがメールのrawコンテンツを処理するのに必要です。
SMTPリレーからのメールを受け取るようAction Mailboxに指示します。
# config/environments/production.rb config.action_mailbox.ingress = :relay
Action Mailboxがrelay ingressへのリクエストを認証するのに使える強力なパスワードを生成します。
bin/rails credentials:edit
を実行してAPIキーを追加します。APIキーはアプリケーションの暗号化済みcredentialのaction_mailbox.ingress_password
の下に追加されます(Action Mailboxはこのcredentialを自動的に見つけます)。
action_mailbox: ingress_password: ...
または、RAILS_INBOUND_EMAIL_PASSWORD
環境変数でパスワードを指定します。
受信メールをbin/rails action_mailbox:ingress:qmail
にパイプでつなぐようQmailを設定し、relay ingressのURL
と先ほど生成したINGRESS_PASSWORD
を指定します。アプリケーションがhttps://example.com
にある場合の完全なコマンドは以下のようになります。
bin/rails action_mailbox:ingress:qmail URL=https://example.com/rails/action_mailbox/relay/inbound_emails INGRESS_PASSWORD=...
SendGridからのメールを受け取るようAction Mailboxに指示します。
# config/environments/production.rb config.action_mailbox.ingress = :sendgrid
Action MailboxがSendGridのingressへのリクエストを認証するのに使える強力なパスワードを生成します。
bin/rails credentials:edit
を実行してAPIキーを追加します。APIキーはアプリケーションの暗号化済みcredentialのaction_mailbox.ingress_password
の下に追加されます(Action Mailboxはこのcredentialを自動的に見つけます)。
action_mailbox: ingress_password: ...
または、RAILS_INBOUND_EMAIL_PASSWORD
環境変数でパスワードを指定します。
受信メールを/rails/action_mailbox/sendgrid/inbound_emails
に転送するようSendGridのInbound Parseを設定し、ユーザー名actionmailbox
と上で生成したパスワードを指定します。アプリケーションがhttps://example.com
にある場合、SendGridの設定に使うURLは次のような感じになります。
https://actionmailbox:PASSWORD@example.com/rails/action_mailbox/sendgrid/inbound_emails
SendGridのInbound Parse webhookを設定するときには、必ず“Post the raw, full MIME message”というチェックボックスをオンにしてください。これはAction Mailboxがraw MIMEメッセージを処理するのに必要です。
基本的なルーティングを設定します。
# app/mailboxes/application_mailbox.rb class ApplicationMailbox < ActionMailbox::Base routing(/^save@/i => :forwards) routing(/@replies\./i => :replies) end
続いてメールボックスを設定します。
# 新しいメールボックスを生成する $ bin/rails generate mailbox forwards
# app/mailboxes/forwards_mailbox.rb class ForwardsMailbox < ApplicationMailbox # 処理に必要な条件をコールバックで指定する before_processing :require_projects def process # 転送を1個のプロジェクトに記録する、または… if forwarder.projects.one? record_forward else # …2番目のAction Mailerに転送先プロジェクトを問い合わせてもらう request_forwarding_project end end private def require_projects if forwarder.projects.none? # Action Mailersを用いて受信メールを送信者に送り返す(bounce back) # ここで処理が停止する bounce_with Forwards::BounceMailer.no_projects(inbound_email, forwarder: forwarder) end end def record_forward forwarder.forwards.create subject: mail.subject, content: mail.content end def request_forwarding_project Forwards::RoutingMailer.choose_project(inbound_email, forwarder: forwarder).deliver_now end def forwarder @forwarder ||= User.find_by(email_address: mail.from) end end
デフォルトでは、処理が成功したInboundEmailは30日後に焼却(incinerate)されます。これにより、アカウントをキャンセルまたはコンテンツを削除したユーザーのデータをむやみに保持せずに済みます。この設計では、メールを処理した後に必要なメールをすべて切り出して、アプリケーションの業務ドメインモデルやコンテンツに取り込む必要があることが前提となります。InboundEmailがシステムに余分に保持される期間は、単にデバッグや事後調査のためのものです。
実際のincinerationは、config.action_mailbox.incinerate_after
でスケジュールされた時刻の後、IncinerationJob
で行われます。この値はデフォルトで30.days
に設定されますが、production.rbで設定を変更できます(incinerationを遠い未来にスケジューリングする場合、その間ジョブキューがジョブを保持可能になっていることが重要です)。
実際にメールを送受信せずに、development環境でメールの受信をテストできると便利です。このために、/rails/conductor/action_mailbox/inbound_emails
にコンダクター(conductor)コントローラがマウントされます。コンダクターコントローラは、システム内にあるすべてのInboundEmailsのインデックスや処理のステートを提供し、新しいInboundEmailを作成するときのフォームも提供します。
例:
class ForwardsMailboxTest < ActionMailbox::TestCase test "directly recording a client forward for a forwarder and forwardee corresponding to one project" do assert_difference -> { people(:david).buckets.first.recordings.count } do receive_inbound_email_from_mail \ to: 'save@example.com', from: people(:david).email_address, subject: "Fwd: ステータスは更新されたか?", body: <<~BODY --- Begin forwarded message --- From: Frank Holland <frank@microsoft.com> 現在のステータスは? BODY end recording = people(:david).buckets.first.recordings.last assert_equal people(:david), recording.creator assert_equal "ステータスは更新されたか?", recording.forward.subject assert_match "現在のステータスは?", recording.forward.content.to_s end end
テストヘルパーメソッドについて詳しくは、ActionMailbox::TestHelper
APIドキュメントを参照してください。
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