Action View フォームヘルパー

Webアプリケーションのフォームは、ユーザー入力を扱うための重要なインターフェイスです。しかしフォームのマークアップは、フォームのコントロールの命名法や大量の属性を扱わなければならず、作成もメンテナンスも退屈な作業になりがちです。そこでRailsでは、フォームのマークアップを生成するビューヘルパーを提供し、こうした煩雑な作業を行わずに済むようにしました。しかし現実にはさまざまなユースケースがあるため、開発者はこれらを実際に使う前に、これらのよく似たヘルパーメソッド群にどのような違いがあるのかをすべて把握しておく必要があります。

このガイドの内容:

  • 検索フォーム、および特定のモデルを表さない一般的なフォームの作成法
  • 特定のデータベースレコードの作成編集を行なう、モデル中心のフォーム作成法
  • 複数の種類のデータからセレクトボックスを生成する方法
  • Railsが提供する日付時刻関連ヘルパー
  • ファイルアップロード用フォームの動作を変更する方法
  • 外部リソース向けにフォームを作成する方法とauthenticity_tokenを設定する方法
  • 複雑なフォームの作成方法

目次

  1. 基本的なフォームを作成する
  2. モデルオブジェクトを扱う
  3. セレクトボックスを簡単に作成する
  4. 日付時刻フォームヘルパーを使う
  5. 任意のオブジェクトのコレクションから選択する
  6. ファイルのアップロード
  7. フォームビルダーをカスタマイズする
  8. パラメータの命名ルールを理解する
  9. 外部リソース用のフォーム
  10. 複雑なフォームを作成する
  11. フォームビルダーなしで利用できるタグヘルパー
  12. form_tagform_forの利用について

このガイドはフォームヘルパーとその引数について網羅的に説明するものではありません。完全なリファレンスについてはRails APIドキュメントを参照してください。

1 基本的なフォームを作成する

最も基本的なフォームヘルパーはform_withです。

<%= form_with do |form| %>
  Form contents
<% end %>

上のようにform_withを引数なしで呼び出すと、<form>タグを生成します。このフォームを現在のページに送信するときにHTTP POSTメソッドが使われます。たとえば現在のページがhomeページの場合、以下のようなHTMLが生成されます。

<form accept-charset="UTF-8" action="/" method="post">
  <input name="authenticity_token" type="hidden" value="J7CBxfHalt49OSHp27hblqK20c9PgwJ108nDHX/8Cts=" />
  Form contents
</form>

上のHTMLでは、input要素にtype=hiddenが指定されていることがわかります。GET以外のフォームはinputがないと正常に送信できないので、このinputは重要です。 authenticity_tokenという名前の隠しinput要素は、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)保護 と呼ばれるRailsのセキュリティ機能です。フォームヘルパーは、GET以外のフォームでこのトークンを生成します(CSRF保護が有効な場合)。詳しくはセキュリティガイドを参照してください。

1.1 一般的な検索フォーム

検索フォームはWebでよく使われています。検索フォームには以下のものが含まれています。

  • GETメソッドを送信するためのフォーム要素
  • 入力項目を示すラベル
  • テキスト入力要素
  • 送信ボタン要素

この検索フォームの作成には、以下のように、form_withとその中で生成されるフォームビルダーオブジェクトを使います。

<%= form_with url: "/search", method: :get do |form| %>
  <%= form.label :query, "Search for:" %>
  <%= form.text_field :query %>
  <%= form.submit "Search" %>
<% end %>

上のコードから以下のHTMLが生成されます。

<form action="/search" method="get" accept-charset="UTF-8" >
  <label for="query">Search for:</label>
  <input id="query" name="query" type="text" />
  <input name="commit" type="submit" value="Search" data-disable-with="Search" />
</form>

form_withurl: my_specified_pathを渡すと、リクエストの送信先をフォームで指定できるようになります。しかし後述するように、フォームにActive Recordオブジェクトを渡すことも可能です。

すべてのフォーム入力のid属性は、name属性から生成されます(上の例では"query")。このid属性は、CSSでスタイルを設定するときや、JavaScriptでフォームを操作するときに非常に便利です。

GETメソッドは検索フォームでお使いください。こうすることで検索クエリがURLの一部に含まれ、ユーザーが検索結果をブックマークしておけば、後で同じ検索をブックマークから実行できるようになります。Railsでは基本的に、常にアクションに対応する適切なHTTPメソッド(verb)を選んでください(訳注: セキュリティガイドにも記載されているように、たとえば更新フォームでGETメソッドを使うと重大なセキュリティホールが生じる可能性があります)。

1.2 フォーム要素を生成するヘルパー

form_withで生成するフォームビルダーオブジェクトは、テキストフィールド/チェックボックス/ラジオボタンなどのフォーム要素を生成するヘルパーメソッドを多数提供します。 これらのヘルパーメソッドに渡す第1パラメータには、常にinputの名前を指定します。 フォームが送信されると、フォームデータとともにこの名前も渡され、ユーザーがフィールドに入力した値とともにコントローラのparamsに送られます。たとえばフォームに<%= form.text_field :query %>があると、コントローラ側でparams[:query]と書くことでこのフィールドの値を取り出せるようになります。

Railsでは、inputに名前を与えるときに特定の規約を利用します。これにより、配列やハッシュのような「非スカラー値」のパラメータをフォームから送信できるようになり、コントローラでもparamsにアクセス可能になりますこれらの命名規約について詳しくは、本ガイドで後述する「パラメータの命名ルールを理解する」を参照してください。これらのヘルパーの具体的な利用法について詳しくはActionView::Helpers::FormTagHelper APIドキュメントを参照してください。

1.2.1 チェックボックス

チェックボックスはフォームコントロールの一種で、ユーザーが選択肢の項目をオン/オフできるようにします。

<%= form.check_box :pet_dog %>
<%= form.label :pet_dog, "I own a dog" %>
<%= form.check_box :pet_cat %>
<%= form.label :pet_cat, "I own a cat" %>

上のコードによって以下が生成されます。

<input type="checkbox" id="pet_dog" name="pet_dog" value="1" />
<label for="pet_dog">I own a dog</label>
<input type="checkbox" id="pet_cat" name="pet_cat" value="1" />
<label for="pet_cat">I own a cat</label>

check_boxの第1パラメータはinputの名前(name)です。チェックボックスの値 (paramsに表示される値) は、オプションで第3パラメータと第4パラメータで指定できます。詳しくはAPIドキュメントを参照してください。

1.2.2 ラジオボタン

チェックボックスと同様、ラジオボタンもユーザーが一連の選択肢から項目を選択できますが、一度に1つの項目しか選択できない排他的な動作が特徴です。

<%= form.radio_button :age, "child" %>
<%= form.label :age_child, "I am younger than 21" %>
<%= form.radio_button :age, "adult" %>
<%= form.label :age_adult, "I am over 21" %>

出力は以下のようになります。

<input type="radio" id="age_child" name="age" value="child" />
<label for="age_child">I am younger than 21</label>
<input type="radio" id="age_adult" name="age" value="adult" />
<label for="age_adult">I am over 21</label>

radio_buttonの第2パラメータは、inputの値(value)です。2つのラジオボタン項目は同じ名前('age')を共有しているので、ユーザーは一方の値だけを選択できます。これにより、params[:age]の値は"child"と"adult"のいずれかになります。

チェックボックスとラジオボタンには必ずラベルを表示してください。ラベルを表示することで、そのオプションとラベルの名前が関連付けられるだけでなく、ラベルの部分もクリック可能になるのでユーザーの操作性が向上します。

1.3 その他のヘルパー

これまで紹介した他にも、以下の「テキストエリア」「隠しフィールド」「パスワードフィールド」「数値フィールド」「日付時刻フィールド」など多くのフォームコントロールを利用できます。

<%= form.text_area :message, size: "70x5" %>
<%= form.hidden_field :parent_id, value: "foo" %>
<%= form.password_field :password %>
<%= form.number_field :price, in: 1.0..20.0, step: 0.5 %>
<%= form.range_field :discount, in: 1..100 %>
<%= form.date_field :born_on %>
<%= form.time_field :started_at %>
<%= form.datetime_local_field :graduation_day %>
<%= form.month_field :birthday_month %>
<%= form.week_field :birthday_week %>
<%= form.search_field :name %>
<%= form.email_field :address %>
<%= form.telephone_field :phone %>
<%= form.url_field :homepage %>
<%= form.color_field :favorite_color %>

上の出力は以下のようになります。

<textarea name="message" id="message" cols="70" rows="5"></textarea>
<input type="hidden" name="parent_id" id="parent_id" value="foo" />
<input type="password" name="password" id="password" />
<input type="number" name="price" id="price" step="0.5" min="1.0" max="20.0" />
<input type="range" name="discount" id="discount" min="1" max="100" />
<input type="date" name="born_on" id="born_on" />
<input type="time" name="started_at" id="started_at" />
<input type="datetime-local" name="graduation_day" id="graduation_day" />
<input type="month" name="birthday_month" id="birthday_month" />
<input type="week" name="birthday_week" id="birthday_week" />
<input type="search" name="name" id="name" />
<input type="email" name="address" id="address" />
<input type="tel" name="phone" id="phone" />
<input type="url" name="homepage" id="homepage" />
<input type="color" name="favorite_color" id="favorite_color" value="#000000" />

隠しinputはユーザーには表示されず、種類を問わず事前に与えられた値を保持します。隠しフィールドに含まれている値はJavaScriptで変更できます。

「検索」「電話番号」「日付」「時刻」「色」「日時」「ローカル日時」「月」「週」「URL」「メールアドレス」「数値」「範囲」フィールドは、HTML5から利用可能になったコントロールです。 これらのフィールドを古いブラウザでも同じように扱いたい場合は、CSSやJavaScriptを用いるHTML5ポリフィルが必要になるでしょう。 古いブラウザでHTML5に対応する方法は山ほどありますが、現時点で代表的なものはModernizrでしょう。これらは、HTML5の新機能が使われていることを検出すると、機能を追加するためのシンプルな方法を提供します。

パスワード入力フィールドを使っている場合は、入力されたパスワードをRailsのログに残さないようにするとよいでしょう。方法についてはセキュリティガイドを参照してください。

2 モデルオブジェクトを扱う

2.1 モデルオブジェクトヘルパー

2.2 フォームをオブジェクトに結び付ける

form_with:model引数を使うと、フォームビルダーオブジェクトをモデルオブジェクトに紐付けできるようになります。つまり、フォームはそのモデルオブジェクトを対象とし、そのモデルオブジェクトの値がフォームのフィールドに自動入力されるようになります。

たとえば、以下のような@articleというモデルオブジェクトがあるとします。

@article = Article.find(42)
# => #<Article id: 42, title: "My Title", body: "My Body">

以下はそのフォームです。

<%= form_with model: @article do |form| %>
  <%= form.text_field :title %>
  <%= form.text_area :body, size: "60x10" %>
  <%= form.submit %>
<% end %>

HTML出力は以下のようになります。

<form action="/articles/42" method="post" accept-charset="UTF-8" >
  <input name="authenticity_token" type="hidden" value="..." />
  <input type="text" name="article[title]" id="article_title" value="My Title" />
  <textarea name="article[body]" id="article_body" cols="60" rows="10">
    My Body
  </textarea>
  <input type="submit" name="commit" value="Update Article" data-disable-with="Update Article">
</form>

上では以下のようにさまざまなことが行われています。

  • フォームのactionには、@articleに適した値が自動入力されている。
  • フォームのフィールドには、@articleにある値が自動入力されている。
  • フォームのフィールド名は、article[...]という形でスコープされている。これは、params[:article]がすべてのフィールドの値を含むハッシュになるということです。input名について詳しくは、本ガイドで後述する「パラメータの命名ルールを理解する」を参照してください。
  • 送信ボタンに自動的に適切なテキスト値が与えられている。

通常、inputにはモデルの属性が反映されます。しかしこれは必須ではありません。フォームに他の情報を含めたい場合は、属性と同じようにフォームに含めればparams[:article][:my_nifty_non_attribute_input]でアクセスできるようになります。

2.2.1 複合主キーを使うフォーム

複合主キー(composite primary key)を持つモデルでもフォームを作成できます。この場合、フォームの構文は同じですが、出力がわずかに異なります。

複合主キー[:author_id, :id]を持つ@bookモデルオブジェクトの場合を例にします。

@book = Book.find([2, 25])
# => #<Book id: 25, title: "Some book", author_id: 2>

以下のフォームを作成します。

<%= form_with model: @book do |form| %>
  <%= form.text_field :title %>
  <%= form.submit %>
<% end %>

出力は以下のようになります。

<form action="/books/2_25" method="post" accept-charset="UTF-8" >
  <input name="authenticity_token" type="hidden" value="..." />
  <input type="text" name="book[title]" id="book_title" value="My book" />
  <input type="submit" name="commit" value="Update Book" data-disable-with="Update Book">
</form>

生成されたURLには、author_ididがアンダースコア区切りの形で含まれていることにご注目ください。 送信後、コントローラーはパラメータから個別の主キーの値を抽出して、単一の主キーと同様にレコードを更新できます。

2.2.2 fields_forヘルパー

fields_forヘルパーを使えば、<form>タグを実際に作成せずにフォームとオブジェクトを同様に紐付けできます。これは、同じフォームで別のモデルオブジェクトのフィールドをレンダリングしたいときに便利です。たとえば、Personモデルと、それに関連付けられるContactDetailモデルがある場合は、以下のようにフォームを作成できます。

<%= form_with model: @person do |person_form| %>
  <%= person_form.text_field :name %>
  <%= fields_for :contact_detail, @person.contact_detail do |contact_detail_form| %>
    <%= contact_detail_form.text_field :phone_number %>
  <% end %>
<% end %>

上のコードから以下のHTML出力が得られます。

<form action="/people" accept-charset="UTF-8" method="post">
  <input type="hidden" name="authenticity_token" value="bL13x72pldyDD8bgtkjKQakJCpd4A8JdXGbfksxBDHdf1uC0kCMqe2tvVdUYfidJt0fj3ihC4NxiVHv8GVYxJA==" />
  <input type="text" name="person[name]" id="person_name" />
  <input type="text" name="contact_detail[phone_number]" id="contact_detail_phone_number" />
</form>

fields_forで生成されるオブジェクトは、form_withで生成されるのと同様のフォームビルダーです。

2.3 レコード識別を利用する

これでアプリケーションのユーザーがArticleモデルを直接操作できるようになりました。Rails開発では、次にこれをルーティングでリソース として宣言するのがベストプラクティスです。

resources :articles

リソースを宣言すると、他にも多くの設定が自動的に行われます。リソースの設定方法について詳しくは、Railsルーティングガイドを参照してください。

RESTfulなリソースを扱っている場合、レコード識別(record identification)を使うとform_withの呼び出しがはるかに簡単になります。これは、モデルのインスタンスを渡すだけで、後はRailsがそこからモデル名など必要なものを取り出して処理してくれるというものです。以下の例では、長いバージョンと短いバージョンのどちらも同じ出力を得られます。

## 新しい記事の作成
# 長いバージョン
form_with(model: @article, url: articles_path)
# 短いバージョン(レコード識別を利用)
form_with(model: @article)

## 既存の記事の編集
# 長いバージョン
form_with(model: @article, url: article_path(@article), method: "patch")
# 短いバージョン(レコード識別を利用)
form_with(model: @article)

短い方のform_with呼び出しは、レコードの作成・編集のどちらでもまったく同じです。これがどれほど便利であるかおわかりいただけると思います。レコード識別は、レコードが新しいかどうかをrecord.persisted?で識別します。さらに送信用の正しいパスを選択し、オブジェクトのクラスに基づいた名前も選択してくれます。

単数形リソースを使う場合は、form_withが機能するために以下のようにresourceresolveを呼び出す必要があります。

resource :geocoder
resolve('Geocoder') { [:geocoder] }

モデルで単一テーブル継承(STI: single-table inheritance)を使っている場合、親クラスがリソースを宣言されていてもサブクラスでレコード識別を利用できません。その場合は:url:scope(モデル名)を明示的に指定する必要があります。

2.3.1 名前空間を扱う

名前空間付きのルーティングを作成してある場合、form_withでもこれを利用した簡潔な表記を利用できます。アプリケーションのルーティングでadmin名前空間が設定されているとします。

form_with model: [:admin, @article]

上のコードはそれによって、admin名前空間内にあるArticlesControllerに送信するフォームを作成します(たとえば更新の場合はadmin_article_path(@article)に送信されます)。名前空間の階層が複数ある場合にも同様の文法が使えます。

form_with model: [:admin, :management, @article]

Railsのルーティングシステムおよび関連するルールについて詳しくはルーティングガイドを参照してください。

2.4 フォームにおけるPATCH・PUT・DELETEメソッドの動作

Railsのフレームワークは、開発者がアプリケーションをRESTfulな設計で構築することを推奨しています。すなわち、開発者はGETやPOSTリクエストだけでなく、PATCHやDELETEリクエストを多数作成・送信することになります。しかし、現実のブラウザの多くはフォーム送信時にGETとPOST以外のHTTPメソッドをサポートしていません

そこでRailsでは、POSTメソッド上でこれらのメソッドをエミュレートすることによってこの問題を解決しています。具体的には、"_method"という名前の隠し入力をフォームに用意し、使いたいメソッドをここで指定します。

form_with(url: search_path, method: "patch")

上のコードから以下の出力が得られます。

<form accept-charset="UTF-8" action="/search" method="post">
  <input name="_method" type="hidden" value="patch" />
  <input name="authenticity_token" type="hidden" value="f755bb0ed134b76c432144748a6d4b7a7ddf2b71" />
  <!-- ... -->
</form>

Railsは、POSTされたデータを解析する際にこの特殊な_methodパラメータをチェックし、ここで指定されているメソッド(この場合はPATCH)があたかも実際にHTTPメソッドとして指定されたかのように振る舞います。

formmethod:キーワードを指定すると、フォームをレンダリングするときに送信ボタンが指定のmethod属性をオーバーライドできるようになります。

<%= form_with url: "/posts/1", method: :patch do |form| %>
  <%= form.button "Delete", formmethod: :delete, data: { confirm: "Are you sure?" } %>
  <%= form.button "Update" %>
<% end %>

<form>要素の場合と同様、ほとんどのブラウザはformmethodで宣言されるGETとPOST以外のフォームメソッドをサポートしていません

Railsでは、POSTメソッド上でこれらのメソッドをエミュレートすることによってこの問題を解決しています。具体的には、formmethodvaluename属性を組み合わせることでエミュレートします。

<form accept-charset="UTF-8" action="/posts/1" method="post">
  <input name="_method" type="hidden" value="patch" />
  <input name="authenticity_token" type="hidden" value="f755bb0ed134b76c432144748a6d4b7a7ddf2b71" />
  <!-- ... -->

  <button type="submit" formmethod="post" name="_method" value="delete" data-confirm="Are you sure?">Delete</button>
  <button type="submit" name="button">Update</button>
</form>

3 セレクトボックスを簡単に作成する

HTMLでセレクトボックスを作成するには大量のマークアップを書かなくてはなりません(選択するオプションごとに1つの<option>要素が対応します)。そこでRailsでは、こうした作業を軽減するヘルパーメソッドを提供しています。

たとえば、ユーザーに選択して欲しい都市名のリストがあるとします。selectヘルパーを使うと以下のようにセレクトボックスを作成できます。

<%= form.select :city, ["Berlin", "Chicago", "Madrid"] %>

上のコードで以下のHTMLが出力されます。

<select name="city" id="city">
  <option value="Berlin">Berlin</option>
  <option value="Chicago">Chicago</option>
  <option value="Madrid">Madrid</option>
</select>

以下のようにセレクトボックスの表示名と別の<option>値を指定することも可能です。

<%= form.select :city, [["Berlin", "BE"], ["Chicago", "CHI"], ["Madrid", "MD"]] %>

上のコードで以下のHTMLが出力されます。

<select name="city" id="city">
  <option value="BE">Berlin</option>
  <option value="CHI">Chicago</option>
  <option value="MD">Madrid</option>
</select>

こうすることで、ユーザーには完全な都市名が表示されますが、params[:city]"BE""CHI""MD"のいずれかの値になります。

最後に、:selected引数を使うとセレクトボックスのデフォルト値も指定できます。

<%= form.select :city, [["Berlin", "BE"], ["Chicago", "CHI"], ["Madrid", "MD"]], selected: "CHI" %>

上のコードで以下のHTMLが出力されます。

<select name="city" id="city">
  <option value="BE">Berlin</option>
  <option value="CHI" selected="selected">Chicago</option>
  <option value="MD">Madrid</option>
</select>

3.1 オプショングループ

場合によっては、関連するオプションをグループ化してユーザーエクスペリエンスを向上させたいことがあります。これは、以下のようにselectHash(または同等のArray)を渡すことで行なえます。

<%= form.select :city,
      {
        "Europe" => [ ["Berlin", "BE"], ["Madrid", "MD"] ],
        "North America" => [ ["Chicago", "CHI"] ],
      },
      selected: "CHI" %>

上のコードで以下のHTMLが出力されます。

<select name="city" id="city">
  <optgroup label="Europe">
    <option value="BE">Berlin</option>
    <option value="MD">Madrid</option>
  </optgroup>
  <optgroup label="North America">
    <option value="CHI" selected="selected">Chicago</option>
  </optgroup>
</select>

3.2 セレクトボックスとモデルオブジェクト

セレクトボックスも、他のフォームコントロールと同様にモデル属性に紐付け可能です。たとえば、以下の@personというモデルオブジェクトがあるとします。

@person = Person.new(city: "MD")

以下はそのフォームです。

<%= form_with model: @person do |form| %>
  <%= form.select :city, [["Berlin", "BE"], ["Chicago", "CHI"], ["Madrid", "MD"]] %>
<% end %>

セレクトボックスのHTML出力は以下のようになります。

<select name="person[city]" id="person_city">
  <option value="BE">Berlin</option>
  <option value="CHI">Chicago</option>
  <option value="MD" selected="selected">Madrid</option>
</select>

適切なオプションにselected="selected"が自動的に追加されている点にご注目ください。このセレクトボックスはモデルに紐付けられているので、:selected引数を指定する必要はありません。

3.3 タイムゾーンと国を選択する

Railsでタイムゾーンをサポートするために、ユーザーが今どのタイムゾーンにいるのかを何らかの形でユーザーに尋ねなければなりません。そのためには、collection_selectヘルパーを使って、事前定義済みのActiveSupport::TimeZoneオブジェクトのリストからセレクトボックスを作成する必要がありますが、以下のようにその機能を既に持っているtime_zone_selectヘルパーを使えば簡単にできます。

<%= form.time_zone_select :time_zone %>

以前のRailsには国を選択するcountry_selectヘルパーがありましたが、この機能はcountry_selectプラグインに切り出されました。

4 日付時刻フォームヘルパーを使う

HTML5標準の日付/時刻入力フィールドを生成するヘルパーを使いたくない場合は、Railsにある別の日付/時刻ヘルパーを使うこともできます。Railsの日付/時刻ヘルパーは、年/月/日などの一時コンポーネントごとにセレクトボックスをレンダリングします。たとえば、以下のような@personというモデルオブジェクトがあるとします。

@person = Person.new(birth_date: Date.new(1995, 12, 21))

以下はそのフォームです。

<%= form_with model: @person do |form| %>
  <%= form.date_select :birth_date %>
<% end %>

セレクトボックスのHTML出力は以下のようになります。

<select name="person[birth_date(1i)]" id="person_birth_date_1i">
  <option value="1990">1990</option>
  <option value="1991">1991</option>
  <option value="1992">1992</option>
  <option value="1993">1993</option>
  <option value="1994">1994</option>
  <option value="1995" selected="selected">1995</option>
  <option value="1996">1996</option>
  <option value="1997">1997</option>
  <option value="1998">1998</option>
  <option value="1999">1999</option>
  <option value="2000">2000</option>
</select>
<select name="person[birth_date(2i)]" id="person_birth_date_2i">
  <option value="1">January</option>
  <option value="2">February</option>
  <option value="3">March</option>
  <option value="4">April</option>
  <option value="5">May</option>
  <option value="6">June</option>
  <option value="7">July</option>
  <option value="8">August</option>
  <option value="9">September</option>
  <option value="10">October</option>
  <option value="11">November</option>
  <option value="12" selected="selected">December</option>
</select>
<select name="person[birth_date(3i)]" id="person_birth_date_3i">
  <option value="1">1</option>
  ...
  <option value="21" selected="selected">21</option>
  ...
  <option value="31">31</option>
</select>

フォームが送信されたときのparamsハッシュには、完全な日付を含む単一の値が存在しない点にご注目ください。代わりに、"birth_date(1i)"のような特殊な名前を持つ複数の値が存在します。Active Recordは、モデル属性の宣言された型に基づいて、これらの特殊な名前を持つ値を完全な日付や時刻として組み立てる方法を知っています。つまり、フォームで完全な日付を表す1個のフィールドを使う場合と同じように、params[:person]Person.newPerson#updateなどに渡せるということです。

Railsでは、date_selectヘルパーの他にtime_selectヘルパーやdatetime_selectヘルパーも提供しています。

4.1 個別の一時コンポーネント用のセレクトボックス

Railsでは、個別の一時コンポーネント向けのセレクトボックスをレンダリングするヘルパーとしてselect_yearselect_monthselect_dayselect_hourselect_minuteselect_secondも提供しています。

これらのヘルパーは「素の」メソッドなので、フォームビルダーのインスタンスでは呼び出されません。たとえば以下のようにselect_yearヘルパーを使うとします。

<%= select_year 1999, prefix: "party" %>

セレクトボックスのHTML出力は以下のようになります。

<select name="party[year]" id="party_year">
  <option value="1994">1994</option>
  <option value="1995">1995</option>
  <option value="1996">1996</option>
  <option value="1997">1997</option>
  <option value="1998">1998</option>
  <option value="1999" selected="selected">1999</option>
  <option value="2000">2000</option>
  <option value="2001">2001</option>
  <option value="2002">2002</option>
  <option value="2003">2003</option>
  <option value="2004">2004</option>
</select>

各ヘルパーでは、数値の代わりに日付オブジェクトや時刻オブジェクトをデフォルト値に指定でき、そこから適切な一時コンポーネントを抽出して使います。

5 任意のオブジェクトのコレクションから選択する

任意のオブジェクトのコレクションからセレクトボックス項目のセットを生成したいことがあります。たとえば、以下のようなCityモデルとそれに対応するbelongs_to :city関連付けがあるとします。

class City < ApplicationRecord
end

class Person < ApplicationRecord
  belongs_to :city
end
City.order(:name).map { |city| [city.name, city.id] }
# => [["Berlin", 3], ["Chicago", 1], ["Madrid", 2]]

続いて、以下のようなフォームで、ユーザーがデータベースから都市名を選択できるようにします。

<%= form_with model: @person do |form| %>
  <%= form.select :city_id, City.order(:name).map { |city| [city.name, city.id] } %>
<% end %>

belongs_to関連付けのフィールドをレンダリングするときは、関連付け自体の名前ではなく、外部キー名(上の例ではcity_id)を指定しなければなりません。

しかしRailsは、コレクションを明示的に列挙せずにセレクトボックス/ラジオボタン/チェックボックスを生成できるヘルパーを提供しています。これらのヘルパーは、コレクション内のオブジェクトごとに指定のメソッドを呼び出して、選択肢の値とテキストラベルを決定します。

5.1 collection_selectヘルパー

collection_selectヘルパーを使えば、以下のように都市名を選択するセレクトボックスを生成できます。

<%= form.collection_select :city_id, City.order(:name), :id, :name %>

セレクトボックスのHTML出力は以下のようになります。

<select name="person[city_id]" id="person_city_id">
  <option value="3">Berlin</option>
  <option value="1">Chicago</option>
  <option value="2">Madrid</option>
</select>

collection_selectでは、第1引数に値のメソッド(上の例では:id)、第2引数にテキストラベルのメソッド(上の例では:name)を指定します。この順序は、selectヘルパーで選択肢を指定する場合(テキストラベルが最初で次が値)と逆である点にご注意ください。

5.2 collection_radio_buttonsヘルパー

ラジオボタンのセットを生成するには、collection_radio_buttonsヘルパーを使います。

<%= form.collection_radio_buttons :city_id, City.order(:name), :id, :name %>

ラジオボタンのHTML出力は以下のようになります。

<input type="radio" name="person[city_id]" value="3" id="person_city_id_3">
<label for="person_city_id_3">Berlin</label>

<input type="radio" name="person[city_id]" value="1" id="person_city_id_1">
<label for="person_city_id_1">Chicago</label>

<input type="radio" name="person[city_id]" value="2" id="person_city_id_2">
<label for="person_city_id_2">Madrid</label>

5.3 collection_check_boxesヘルパー

たとえばhas_and_belongs_to_many関連付けをサポートする形でチェックボックスのセットを生成するには、collection_check_boxesヘルパーを使います。

<%= form.collection_check_boxes :interest_ids, Interest.order(:name), :id, :name %>

チェックボックスのHTML出力は以下のようになります。

<input type="checkbox" name="person[interest_id][]" value="3" id="person_interest_id_3">
<label for="person_interest_id_3">Engineering</label>

<input type="checkbox" name="person[interest_id][]" value="4" id="person_interest_id_4">
<label for="person_interest_id_4">Math</label>

<input type="checkbox" name="person[interest_id][]" value="1" id="person_interest_id_1">
<label for="person_interest_id_1">Science</label>

<input type="checkbox" name="person[interest_id][]" value="2" id="person_interest_id_2">
<label for="person_interest_id_2">Technology</label>

6 ファイルのアップロード

ファイルのアップロードはアプリケーションでよく行われるタスクの1つです(プロフィール写真のアップロードや、処理したいCSVファイルのアップロードなど)。file_fieldヘルパーを使えば、以下のようにファイルアップロード用フィールドをレンダリングできます。

<%= form_with model: @person do |form| %>
  <%= form.file_field :picture %>
<% end %>

ファイルアップロードで最も重要なのは、レンダリングされるフォームのenctype属性を必ず"multipart/form-data"に設定しなければならない点です。これは、以下のようにform_withの内側でfile_field_tagヘルパーを使えば自動で行われます。enctype属性は手動でも設定できます。

<%= form_with url: "/uploads", multipart: true do |form| %>
  <%= file_field_tag :picture %>
<% end %>

なお、form_withの規約に基づいて上述の2つのフィールド名もそれぞれ異なります。つまり前者のフォームではフィールド名がperson[picture]になり(params[:person][:picture]でアクセス可能)、後者のフォームでは単なるpictureになります(params[:picture]でアクセス可能)。

6.1 アップロード可能なファイル

paramsハッシュに含まれるこのオブジェクトは、ActionDispatch::Http::UploadedFileのインスタンスです。以下のコードスニペットは、アップロードされたファイルを#{Rails.root}/public/uploadsのパスに元のファイル名で保存します。

def upload
  uploaded_file = params[:picture]
  File.open(Rails.root.join('public', 'uploads', uploaded_file.original_filename), 'wb') do |file|
    file.write(uploaded_file.read)
  end
end

ファイルのアップロードが完了すると、ファイルの保存先の決定(DiskやAmazon S3など)、モデルとの関連付け、画像ファイルのリサイズ、サムネイルの生成など、さまざまなタスクが必要になる可能性があります。Active Storageは、こうしたタスクを支援するように設計されています。

7 フォームビルダーをカスタマイズする

form_withfields_forによって生成されるオブジェクトは、ActionView::Helpers::FormBuilderのインスタンスです。フォームビルダーは、1個のオブジェクトのフォーム要素を表示するのに必要なものをカプセル化します。フォーム用のヘルパーを通常の方法で自作するときに、ActionView::Helpers::FormBuilderのサブクラスを作成してそこにヘルパーを追加することも可能です。

たとえば、アプリケーション内でtext_field_with_labelというヘルパーメソッドが以下のように定義されているとします。

module ApplicationHelper
  def text_field_with_label(form, attribute)
    form.label(attribute) + form.text_field(attribute)
  end
end
<%= form_with model: @person do |form| %>
  <%= text_field_with_label form, :first_name %>
<% end %>

上のコードは以下のように置き換えることもできます。

<%= form_with model: @person, builder: LabellingFormBuilder do |form| %>
  <%= form.text_field :first_name %>
<% end %>

上の結果を得るには、以下のようなLabellingFormBuilderクラスを定義しておきます。

class LabellingFormBuilder < ActionView::Helpers::FormBuilder
  def text_field(attribute, options = {})
    label(attribute) + super
  end
end

このクラスを頻繁に再利用する場合は、以下のようにlabeled_form_withヘルパーを定義してbuilder: LabellingFormBuilderオプションを自動的に適用してもよいでしょう。

module ApplicationHelper
  def labeled_form_with(model: nil, scope: nil, url: nil, format: nil, **options, &block)
    options[:builder] = LabellingFormBuilder
    form_with model: model, scope: scope, url: url, format: format, **options, &block
  end
end

ここで使われているフォームビルダーは、以下のコードが実行された時の動作も決定します。

<%= render partial: f %>

fActionView::Helpers::FormBuilderのインスタンスである場合、このコードはformパーシャルを生成し、そのパーシャルオブジェクトをフォームビルダーに設定します。このフォームビルダーのクラスがLabellingFormBuilderの場合 、代わりにlabelling_formパーシャルがレンダリングされます。

8 パラメータの命名ルールを理解する

フォームから受け取る値は、paramsハッシュのトップレベルに置かれるか、他のハッシュの中に入れ子になって含まれます。たとえば、Personモデルの標準的なcreateアクションでは、params[:person]はその人物について作成されるすべての属性のハッシュになります。paramsハッシュには配列やハッシュの配列なども含められます。

HTMLフォームは原理的に、いかなる構造化データについても関知しません。フォームが生成するのはすべて名前と値のペア(どちらも単なる文字列)です。これらのデータをアプリケーション側で参照したときに配列やハッシュになっているのは、Railsで使われているパラメータ命名ルールのおかげです。

8.1 基本構造

配列とハッシュは、基本的な2大データ構造です。ハッシュは、paramsの値にアクセスする時に使われる文法に反映されています。たとえば、フォームに以下が含まれているとします。

<input id="person_name" name="person[name]" type="text" value="Henry"/>

このとき、paramsハッシュの内容は以下のようになります。

{ 'person' => { 'name' => 'Henry' } }

コントローラ内でparams[:person][:name]でアクセスすると、送信された値を取り出せます。

ハッシュは、以下のように必要に応じて何階層でもネストできます。

<input id="person_address_city" name="person[address][city]" type="text" value="New York"/>

上のコードによってできるparamsハッシュは以下のようになります。

{ 'person' => { 'address' => { 'city' => 'New York' } } }

通常のRailsは、重複したパラメータ名を無視します。パラメータ名に空の角かっこ[]が含まれている場合、パラメータは配列の中にまとめられます。たとえば、複数の電話番号を入力できるようにしたい場合、フォームに以下を置くことができます。

<input name="person[phone_number][]" type="text"/>
<input name="person[phone_number][]" type="text"/>
<input name="person[phone_number][]" type="text"/>

これにより、params[:person][:phone_number]は入力された電話番号の配列になります。

8.2 組み合わせ方

これらの2つの概念を混ぜて使うことも可能です。たとえば、前述の例のようにハッシュの1つの要素を配列にすることも、複数のハッシュを配列にすることもできます。以下のようにフォームの一部を繰り返すことで、任意の数の住所を作成できるようなフォームも作成可能です。

<input name="person[addresses][][line1]" type="text"/>
<input name="person[addresses][][line2]" type="text"/>
<input name="person[addresses][][city]" type="text"/>
<input name="person[addresses][][line1]" type="text"/>
<input name="person[addresses][][line2]" type="text"/>
<input name="person[addresses][][city]" type="text"/>

上のフォームではparams[:person][:addresses]ハッシュが作成されます。これはline1line2cityをキーに持つハッシュの配列です。

ただしここで1つ制限があります。ハッシュはいくらでもネストできますが、配列は1階層しか使えません。配列はたいていの場合ハッシュで置き換えられます。たとえば、モデルオブジェクトの配列の代わりに、モデルオブジェクトのハッシュを使えます。このキーではid、配列インデックスなどのパラメータが利用できます。

配列パラメータは、check_boxヘルパーとの相性がよくありません。HTMLの仕様では、オンになっていないチェックボックスからは値が送信されません。しかし、チェックボックスから常に値が送信される方が何かと便利です。そこでcheck_boxヘルパーでは、同じ名前で予備の隠し入力を作成しておき、本来送信されないはずのチェックボックス値が見かけ上送信されるようになっています。チェックボックスがオフになっていると隠し入力値だけが送信され、チェックボックスがオンになっていると本来のチェックボックス値と隠し入力値が両方送信されますが、このとき優先されるのは本来のチェックボックス値の方です。

8.3 fields_forヘルパーの:indexオプション

たとえば、各個人の住所に対応するフィールドのセットを持つフォームをレンダリングしたいとします。こんなときはfields_forヘルパーと:indexオプションが役に立ちます。

<%= form_with model: @person do |person_form| %>
  <%= person_form.text_field :name %>
  <% @person.addresses.each do |address| %>
    <%= person_form.fields_for address, index: address.id do |address_form| %>
      <%= address_form.text_field :city %>
    <% end %>
  <% end %>
<% end %>

この個人が2つの住所を持っていて、idがそれぞれ23と45だとすると、上のフォームから以下のようなHTMLが出力されます。

<form accept-charset="UTF-8" action="/people/1" method="post">
  <input name="_method" type="hidden" value="patch" />
  <input id="person_name" name="person[name]" type="text" />
  <input id="person_address_23_city" name="person[address][23][city]" type="text" />
  <input id="person_address_45_city" name="person[address][45][city]" type="text" />
</form>

このときのparamsハッシュは以下のようになります。

{
  "person" => {
    "name" => "Bob",
    "address" => {
      "23" => {
        "city" => "Paris"
      },
      "45" => {
        "city" => "London"
      }
    }
  }
}

フォームビルダーのperson_formfields_forを呼び出したので、フォームのすべてのinputは"person"ハッシュに対応付けられます。また、index: address.idを指定することで、各都市のinputのname属性をperson[address][city]ではなくperson[address][#{address.id}][city]としてレンダリングしています。このように、paramsハッシュを処理する際に、どのAddressレコードを変更すべきかを決定可能になります。

:indexオプションには他の数値や文字列も渡せます。また、nilも渡せます(この場合は配列パラメータが作成されます)。

さらに複雑な入れ子を作る場合は、入力名の冒頭部分(上の例ではperson[address])を以下のように明示的に指定できます。

<%= fields_for 'person[address][primary]', address, index: address.id do |address_form| %>
  <%= address_form.text_field :city %>
<% end %>

上のコードから以下のHTMLが生成されます。

<input id="person_address_primary_23_city" name="person[address][primary][23][city]" type="text" value="Paris" />

text_fieldなどのヘルパーに直接:indexオプションを渡すことも可能ですが、通常は個別のinputフィールドで指定するよりも、フォームビルダレベルで指定する方がコードの繰り返しを減らせます。

一般に、最終的な入力名は「fields_forform_withに渡された名前」「:indexオプションの値」「属性名」を連結したものになります。

最後に、index: address.idのように:indexでIDを指定する代わりに、以下のように指定の名前に"[]"を追加するショートカットも利用できます。

<%= fields_for 'person[address][primary][]', address do |address_form| %>
  <%= address_form.text_field :city %>
<% end %>

つまり、上のコードで元のサンプルコードと完全に同じHTML出力を得られます。

9 外部リソース用のフォーム

外部リソースに何らかのデータを渡す必要がある場合も、Railsのフォームヘルパーを用いてフォームを作成する方がやはり便利です。しかし、その外部リソースに対してauthenticity_tokenを設定しなければならない場合にはどうしたらよいでしょう。これは、form_withオプションにauthenticity_token: '外部トークン'パラメータを渡すことで実現できます。

<%= form_with url: 'http://farfar.away/form', authenticity_token: 'external_token' do %>
  Form contents
<% end %>

支払用ゲートウェイなどの外部リソースに対してデータを送信する場合、authenticity_token隠しフィールドを生成すると、フォームで使われる可能性のあるフィールドが外部APIによって制限されて不都合が生じることがあります。トークンの送信を抑制するには、:authenticity_tokenオプションにfalseを渡します。

<%= form_with url: 'http://farfar.away/form', authenticity_token: false do %>
  Form contents
<% end %>

10 複雑なフォームを作成する

最初は単一のオブジェクトを編集していただけのシンプルなフォームも、やがて成長し複雑になります。たとえば、Personを1人作成するのであれば、そのうち同じフォームで複数の住所レコード(自宅と職場など)を登録したくなるでしょう。後でPersonを編集するときに、必要に応じて住所の追加・削除・変更も行えるようにする必要があります。

10.1 モデルを構成する

Active Recordはaccepts_nested_attributes_forメソッドでモデルレベルのサポートを提供しています。

class Person < ApplicationRecord
  has_many :addresses, inverse_of: :person
  accepts_nested_attributes_for :addresses
end

class Address < ApplicationRecord
  belongs_to :person
end

上のコードによってaddresses_attributes=メソッドがPersonモデル上に作成され、これを用いて住所の作成、更新、および削除(必要な場合)を行なえます。

10.2 ネストしたフォーム

ユーザーは以下のフォームを用いてPersonとそれに関連する複数の住所を作成することができます。

<%= form_with model: @person do |form| %>
  Addresses:
  <ul>
    <%= form.fields_for :addresses do |addresses_form| %>
      <li>
        <%= addresses_form.label :kind %>
        <%= addresses_form.text_field :kind %>

        <%= addresses_form.label :street %>
        <%= addresses_form.text_field :street %>
        ...
      </li>
    <% end %>
  </ul>
<% end %>

ネストした属性が関連付けに渡されると、fields_forヘルパーはその関連付けのすべての要素を一度ずつ出力します。特に、Personに住所が登録されていない場合は何も出力しません。フィールドのセットが少なくとも1つはユーザーに表示されるように、コントローラで1つ以上の空白の子要素を作成しておくというのはよく行われるパターンです。以下の例では、Personフォームを新たに作成したときに2組の住所フィールドがレンダリングされます。

def new
  @person = Person.new
  2.times { @person.addresses.build }
end

fields_forヘルパーはフォームフィールドを1つ生成します。accepts_nested_attributes_forヘルパーが受け取るのはこのようなパラメータの名前です。たとえば、2つの住所を持つユーザーを1人作成する場合、送信されるパラメータは以下のようになります。

{
  'person' => {
    'name' => 'John Doe',
    'addresses_attributes' => {
      '0' => {
        'kind' => 'Home',
        'street' => '221b Baker Street'
      },
      '1' => {
        'kind' => 'Office',
        'street' => '31 Spooner Street'
      }
    }
  }
}

この:address_attributesハッシュのキーの実際の値は重要ではありませんが、アドレスごとに異なる整数の文字列である必要があります。

関連付けられたオブジェクトが既に保存されている場合、fields_forメソッドは、保存されたレコードのidを持つ隠し入力を自動生成します。fields_forinclude_id: falseを渡すことでこの自動生成をオフにできます。

10.3 コントローラ

コントローラ内でパラメータをモデルに渡す前に、定番のパラメータの許可リストチェックを宣言する必要があります。

def create
  @person = Person.new(person_params)
  # ...
end

private
  def person_params
    params.require(:person).permit(:name, addresses_attributes: [:id, :kind, :street])
  end

10.4 オブジェクトを削除する

accepts_nested_attributes_forallow_destroy: trueを渡すと、関連付けられたオブジェクトをユーザーが削除することを許可できます。

class Person < ApplicationRecord
  has_many :addresses
  accepts_nested_attributes_for :addresses, allow_destroy: true
end

あるオブジェクトの属性のハッシュに、キーが_destroyで、値がtrueと評価可能(1、1、true、trueなど)な組み合わせがあると、そのオブジェクトは削除されます。以下のフォームではユーザーが住所を削除可能です。

<%= form_with model: @person do |form| %>
  Addresses:
  <ul>
    <%= form.fields_for :addresses do |addresses_form| %>
      <li>
        <%= addresses_form.check_box :_destroy %>
        <%= addresses_form.label :kind %>
        <%= addresses_form.text_field :kind %>
        ...
      </li>
    <% end %>
  </ul>
<% end %>

このとき、コントローラ内でパラメータの許可リストを以下のように更新して、_destroyフィールドが必ずパラメータに含まれるようにしておく必要があります。

def person_params
  params.require(:person).
    permit(:name, addresses_attributes: [:id, :kind, :street, :_destroy])
end

10.5 空のレコードができないようにする

ユーザーが何も入力しなかったフィールドを無視できれば何かと便利です。これは、:reject_if procをaccepts_nested_attributes_forに渡すことで制御できます。このprocは、フォームから送信された属性にあるハッシュごとに呼び出されます。このprocがtrueを返す場合、Active Recordはそのハッシュに関連付けられたオブジェクトを作成しません。以下の例では、kind属性が設定されている場合にのみ住所オブジェクトを生成します。

class Person < ApplicationRecord
  has_many :addresses
  accepts_nested_attributes_for :addresses, reject_if: lambda { |attributes| attributes['kind'].blank? }
end

代わりにシンボル:all_blankを渡すこともできます。このシンボルが渡されると、_destroyの値を除くすべての属性が空白レコードを受け付けなくなるprocが1つ生成されます。

10.6 フィールドを動的に追加する

多くのフィールドセットを事前にレンダリングする代わりに、「新しい住所を追加」ボタンを押したときだけこれらのフィールドを動的に追加したいことがあります。Railsにはこのためのサポートは組み込まれていません。フィールドセットを動的に生成する場合は、関連する配列のキーが重複しないよう注意しなければなりません。JavaScriptで現在の日時(エポック時間からのミリ秒の経過時間)を取得して一意の値を得るのが定番の手法です。

11 フォームビルダーなしで利用できるタグヘルパー

フォームのフィールドをフォームビルダーのコンテキストの外でレンダリングする必要が生じたときのために、よく使われるフォーム要素を生成するタグヘルパーを提供しています。たとえば、check_box_tagは以下のように使えます。

<%= check_box_tag "accept" %>

上のコードから以下のHTMLが生成されます。

<input type="checkbox" name="accept" id="accept" value="1" />

一般に、これらのヘルパー名は、フォームビルダーのヘルパー名の末尾に_tagを追加したものになります。完全なリストについては、FormTagHelper APIドキュメントを参照してください。

12 form_tagform_forの利用について

Rails 5.1でform_withが導入されるまでは、form_withの機能はform_tagform_forに分かれていました。form_tagおよびform_forは、禁止ではないものの、利用は推奨されていません。これらのメソッドの利用方法については、旧バージョンのガイドを参照してください。

フィードバックについて

Railsガイドは GitHub の yasslab/railsguides.jp で管理・公開されております。本ガイドを読んで気になる文章や間違ったコードを見かけたら、気軽に Pull Request を出して頂けると嬉しいです。Pull Request の送り方については GitHub の README をご参照ください。

原著における間違いを見つけたら『Rails のドキュメントに貢献する』を参考にしながらぜひ Rails コミュニティに貢献してみてください 🛠💨✨

本ガイドの品質向上に向けて、皆さまのご協力が得られれば嬉しいです。

Railsガイド運営チーム (@RailsGuidesJP)

支援・協賛

Railsガイドは下記の協賛企業から継続的な支援を受けています。支援・協賛にご興味あれば協賛プランからお問い合わせいただけると嬉しいです。

  1. Star
  2. このエントリーをはてなブックマークに追加