テンプレートを適用するには、-mオプションを使ってテンプレートの場所を指定する必要があります。ファイルパスまたはURLのどちらでも指定可能です。
$ rails new blog -m ~/template.rb
$ rails new blog -m http://example.com/template.rb
railsコマンドapp:templateを使って、既存のRailsアプリケーションにテンプレートを適用することもできます。テンプレートの場所はLOCATION環境変数で渡す必要があります。ここでも、ファイルパスまたはURLのどちらでも指定可能です。
$ bin/rails app:template LOCATION=~/template.rb
$ bin/rails app:template LOCATION=http://example.com/template.rb
RailsのテンプレートAPIはわかりやすく設計されています。以下はRailsアプリケーションの典型的なテンプレートです。
# template.rb
generate(:scaffold, "person name:string")
route "root to: 'people#index'"
rails_command("db:migrate")
after_bundle do
git :init
git add: "."
git commit: %Q{ -m 'Initial commit' }
end
以下のセクションで、APIで提供される主なメソッドの概要を解説します。
生成されたGemfileファイルに、指定されたgemのエントリを追加します。
たとえば、Railsアプリケーションがbjとnokogiri gemに依存しているとします。
このメソッドはGemfileにgemを追加するだけです。gemのインストールは行いません。
以下のようにバージョンを正確に指定することも可能です。
gem "nokogiri", "~> 1.16.4"
以下のようにGemfileに追加するコメントも指定できます。
gem "nokogiri", "~> 1.16.4", comment: "Add the nokogiri gem for XML parsing"
gemのエントリを指定のグループに含めます。
たとえば、rspec-rails gemをdevelopmentグループとtestグループだけで読み込みたい場合は以下のようにします。
gem_group :development, :test do
gem "rspec-rails"
end
生成されたGemfileファイルに、gemの取得元を追加します。
たとえば、gemを"http://gems.github.com"から取得したい場合は以下のようにします。
add_source "http://gems.github.com"
ブロックを1つ渡すと、取得元のグループにブロック内のgemエントリがラップされます。
add_source "http://gems.github.com/" do
gem "rspec-rails"
end
config/application.rbファイルのApplicationクラスの内側に指定の行を追加します。
options[:env]を指定すると、config/environmentsディレクトリに置かれている同等のファイルに追加します。
environment 'config.action_mailer.default_url_options = {host: "http://yourwebsite.example.com"}', env: "production"
data引数の代わりにブロックを１つ渡すこともできます。
生成されたRailsアプリケーションのconfig/initializersディレクトリにイニシャライザを追加します。
たとえば、Object#not_nil?とObject#not_blank?というメソッドを使いたい場合は以下のようにします。
initializer "bloatlol.rb", <<-CODE
class Object
def not_nil?
!nil?
end
def not_blank?
!blank?
end
end
CODE
同様に、lib()メソッドはlib/ディレクトリにファイルを作成し、vendor()メソッドはvendor/ディレクトリにファイルを作成します。
file()メソッドを使えば、Rails.rootからの相対パスを渡してディレクトリやファイルを自由に作成することもできます。
file "app/components/foo.rb", <<-CODE
class Foo
end
CODE
上のコードはapp/componentsディレクトリを作成し、その中にfoo.rbファイルを置きます。
指定されたタスクを含むrakeファイルをlib/tasksディレクトリの下に作成します。
rakefile("bootstrap.rake") do
<<-TASK
namespace :boot do
task :strap do
puts "i like boots!"
end
end
TASK
end
上のコードはlib/tasks/bootstrap.rakeファイルを作成し、その中にboot:strap rakeタスクを置きます。
指定の引数を渡してRailsジェネレータを実行します。
generate(:scaffold, "person", "name:string", "address:text", "age:number")
任意のコマンドを実行します（Rubyのバッククォート記法と同等です）。たとえばREADME.rdocファイルを削除する場合は以下のようにします。
指定のrailsコマンドをRailsアプリケーションで実行します。たとえばデータベースのマイグレーションを行いたい場合は次のようにします。
rails_command "db:migrate"
Railsの環境を指定してrailsコマンドを実行することもできます。
rails_command "db:migrate", env: "production"
スーパーユーザーとしてコマンドを実行することもできます。
rails_command "log:clear", sudo: true
ルーティングエントリをconfig/routes.rbファイルに追加します。上の手順では、scaffoldでpersonを生成し、続けてREADME.rdocを削除しました。今度は以下のようにしてPeopleController#indexをアプリケーションのデフォルトページにします。
route "root to: 'person#index'"
指定のディレクトリでコマンドを実行します。たとえば、自分のコンピュータにedge railsリポジトリのコピーがあり、自分の新しいアプリケーションからそこにシンボリックリンクを張るには以下のようにします。
inside("vendor") do
run "ln -s ~/commit-rails/rails rails"
end
ask()を使うと、ユーザー入力を受け取ってテンプレートで利用できます。たとえば、新しく追加するライブラリ名をユーザーに入力させるには以下のようにします。
lib_name = ask("ライブラリに付ける名前を入力してください")
lib_name << ".rb" unless lib_name.index(".rb")
lib lib_name, <<-CODE
class Shiny
end
CODE
テンプレートでのユーザー入力に応じて処理の流れを決めたい場合に使います。たとえば、ユーザーにマイグレーションを実行するようプロンプトを以下のように表示できます。
rails_command("db:migrate") if yes?("データベースマイグレーションを実行しますか？")
# no?(question)はyes?と逆の動作
Railsテンプレートで任意のgitコマンドを実行します。
git :init
git add: "."
git commit: "-a -m 'Initial commit'"
gemのバンドルとbinstub生成の完了後に実行したいコールバックを登録します。生成したすべてのファイルをバージョン管理に追加したい場合に便利です。
after_bundle do
git :init
git add: "."
git commit: "-a -m 'Initial commit'"
end
これらのコールバックは--skip-bundleを指定した場合でもスキップされずに実行されます。
アプリケーションテンプレートは、Rails::Generators::AppGeneratorインスタンスのコンテキストで評価されます。ここで使われるapplyアクションはThorが提供しています。
これにより、このインスタンスを必要に応じて拡張および変更できます。
たとえば、source_pathsメソッドを上書きしてテンプレートの位置を指定できます。これにより、copy_fileなどのメソッドでテンプレートの位置からの相対パスを指定できるようになります。
def source_paths
[__dir__]
end
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