このガイドでは、Active Recordのバリデーション(検証: validation)機能を使って、オブジェクトがデータベースに保存される前にオブジェクトの状態を検証する方法について説明します。
このガイドの内容:
きわめてシンプルなバリデーションの例を以下に紹介します。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true end
irb> Person.create(name: "John Doe").valid? => true irb> Person.create(name: nil).valid? => false
上でわかるように、このバリデーションはPerson
にname
属性がない場合に無効であることを知らせます。2つ目のPerson
はデータベースに保存されません。
バリデーションの詳細を説明する前に、アプリケーション全体においてバリデーションがいかに重要であるかについて説明します。
バリデーションは、正しいデータだけをデータベースに保存するために行われます。たとえば、自分のアプリケーションで、すべてのユーザーには必ず電子メールアドレスと住所が必要だとします。正しいデータだけをデータベースに保存するのであれば、モデルレベルでバリデーションを実行するのが最適です。モデルレベルでのバリデーションは、データベースに依存せず、エンドユーザーがバイパスすることもできず、テストもメンテナンスもやりやすいためです。Railsではバリデーションを簡単に利用できるよう、一般に利用可能なビルトインヘルパーが用意されており、独自のバリデーションメソッドも作成できるようになっています。
データをデータベースに保存する前にバリデーションを実行する方法は、他にもデータベースネイティブの制約機能、クライアント側でのバリデーション、コントローラレベルのバリデーションなど、さまざまです。それぞれのメリットとデメリットは以下のとおりです。
上で紹介したその他のバリデーションについては、特定の状況に応じて適宜追加してください。Railsチームは、ほとんどの場合モデルレベルのバリデーションが最も適切であると考えています。
Active Recordのオブジェクトには2つの種類があります。オブジェクトがデータベースの行(row)に対応しているものと、そうでないものです。たとえば、new
メソッドで新しくオブジェクトを作成しただけでは、オブジェクトはデータベースに属していません。save
メソッドを呼ぶことで、オブジェクトは適切なデータベースのテーブルに保存されます。Active Recordのnew_record?
インスタンスメソッドを使うと、オブジェクトが既にデータベース上にあるかどうかを確認できます。
次の単純なActive Recordクラスを例に取ってみましょう。
class Person < ApplicationRecord end
bin/rails console
の出力で様子を観察してみます。
irb> p = Person.new(name: "John Doe") => #<Person id: nil, name: "John Doe", created_at: nil, updated_at: nil> irb> p.new_record? => true irb> p.save => true irb> p.new_record? => false
新規レコードを作成して保存すると、SQLのINSERT
操作がデータベースに送信されます。既存のレコードを更新すると、SQLのUPDATE
操作が送信されます。バリデーションは、SQLのデータベースへの送信前に行うのが普通です。バリデーションのいずれかが失敗すると、オブジェクトは無効(invalid)とマークされ、Active RecordでのINSERT
やUPDATE
操作は行われません。これにより、無効なオブジェクトがデータベースに保存されないようにします。オブジェクトの作成、保存、更新時に特定のバリデーションを実行することもできます。
データベース上のオブジェクトの状態を変える方法が多数あることにご注意ください。 メソッドには、バリデーションをトリガーするものと、しないものがあります。この点に注意しておかないと、バリデーションが設定されているにもかかわらず、データベース上のオブジェクトが無効な状態になってしまう可能性があります。
以下のメソッドではバリデーションがトリガーされ、オブジェクトが有効な場合にのみデータベースに保存されます。
!
が末尾に付く破壊的メソッド(save!
など)では、レコードが無効な場合に例外が発生します。
非破壊的なメソッドは、無効な場合に例外を発生しません。save
とupdate
は無効な場合にfalse
を返し、create
は無効な場合に単にそのオブジェクトを返します。
以下のメソッドはバリデーションを行わずにスキップします。オブジェクトの保存は、有効無効にかかわらず行われます。これらのメソッドの利用には注意が必要です。詳しくは個別のAPIドキュメントを参照してください。
decrement!
decrement_counter
increment!
increment_counter
insert
insert!
insert_all
insert_all!
toggle!
touch
touch_all
update_all
update_attribute
update_attribute!
update_column
update_columns
update_counters
upsert
upsert_all
実は、save
にvalidate: false
を引数として与えると、save
のバリデーションをスキップすることが可能です。この手法は十分注意して使う必要があります。
save(validate: false)
valid?
とinvalid?
Railsは、Active Recordオブジェクトを保存する直前にバリデーションを実行します。バリデーションで何らかのエラーが発生すると、オブジェクトを保存しません。
valid?
メソッドを使って、バリデーションを手動でトリガーすることもできます。valid?
を実行するとバリデーションがトリガーされ、オブジェクトにエラーがない場合はtrue
を返し、エラーの場合はfalse
を返します。
これは以下のように実装できます。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true end
irb> Person.create(name: "John Doe").valid? => true irb> Person.create(name: nil).valid? => false
Active Recordでバリデーションが行われた後でerrors
インスタンスメソッドを使うと、失敗したバリデーションにアクセスできます。このメソッドはエラーのコレクションを返します。
その名の通り、バリデーション実行後にコレクションが空である場合はオブジェクトは有効です。
ただし、new
でインスタンス化されたオブジェクトは、それが厳密には無効であってもエラーは出力されないので、注意が必要です。これは、create
やsave
メソッドなどによってオブジェクトが保存されるときのみ、バリデーションが自動的に実行されるためです。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true end
irb> p = Person.new => #<Person id: nil, name: nil> irb> p.errors.size => 0 irb> p.valid? => false irb> p.errors.objects.first.full_message => "Name can't be blank" irb> p = Person.create => #<Person id: nil, name: nil> irb> p.errors.objects.first.full_message => "Name can't be blank" irb> p.save => false irb> p.save! ActiveRecord::RecordInvalid: Validation failed: Name can't be blank irb> Person.create! ActiveRecord::RecordInvalid: Validation failed: Name can't be blank
invalid?
はvalid?
と逆のチェックを行います。このメソッドはバリデーションをトリガーし、オブジェクトでエラーが発生した場合はtrue
を返し、エラーがない場合はfalse
を返します。
errors[]
errors[:attribute]
を使うと、特定のオブジェクトの属性が有効かどうかを確認できます。このメソッドは、:attribute
のすべてのエラーの配列を返します。指定された属性でエラーが発生しなかった場合は、空の配列が返されます。
このメソッドが役に立つのは、バリデーションを実行した後だけです。このメソッドはエラーのコレクションを調べるだけで、バリデーションそのものをトリガーしないからです。このメソッドは、前述のActiveRecord::Base#invalid?
メソッドとは異なります。このメソッドはオブジェクト全体の正当性については確認せず、オブジェクトの個別の属性についてエラーがあるかどうかだけを調べます。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true end
irb> Person.new.errors[:name].any? => false irb> Person.create.errors[:name].any? => true
より高レベルなバリデーションエラーについては、バリデーションエラーの取り扱いセクションを参照してください。
Active Recordには、クラス定義の内側で直接使える定義済みのバリデーションヘルパーが多数用意されています。これらのヘルパーは、共通のバリデーションルールを提供します。バリデーションが失敗するたびに、オブジェクトのerrors
コレクションにエラーメッセージが追加され、そのメッセージは、バリデーションが行われる属性に関連付けられます。
どのヘルパーも任意の数の属性を受け付けることができるので、1行のコードを書くだけで多くの属性に対して同じバリデーションを実行できます。
:on
オプションと:message
オプションはどのヘルパーでも使えます。:on
オプションはバリデーションを実行するタイミングを指定し、:message
オプションはバリデーション失敗時にerrors
コレクションに追加するメッセージを指定します。:on
オプションは:create
または:update
のいずれかの値を取ります。バリデーションヘルパーには、それぞれデフォルトのエラーメッセージが用意されています。:message
オプションが使われていない場合はデフォルトのメッセージが使われます。利用可能なヘルパーを1つずつ見ていきましょう。
利用可能なデフォルトヘルパーのリストについては、ActiveModel::Validations::HelperMethods
を参照してください。
acceptance
このメソッドは、フォームが送信されたときにユーザーインターフェイス上のチェックボックスがオンになっているかどうかを検証します。ユーザーによるサービス利用条項への同意が必要な場合や、ユーザーが何らかの文書に目を通したことを確認させる場合によく使われます。
class Person < ApplicationRecord validates :terms_of_service, acceptance: true end
このチェックは、terms_of_service
がnil
でない場合にのみ実行されます。
このヘルパーのデフォルトエラーメッセージは「must be accepted」です。
次のようにカスタムメッセージをmessage
オプションで渡すこともできます。
class Person < ApplicationRecord validates :terms_of_service, acceptance: { message: "must be abided" } end
このヘルパーでは:accept
オプションも渡せます。このオプションは、「同意可能(acceptable)」とみなす値を指定します。デフォルトは['1', true]
ですが、変更は簡単です。
class Person < ApplicationRecord validates :terms_of_service, acceptance: { accept: "yes" } validates :eula, acceptance: { accept: ["TRUE", "accepted"] } end
これはWebアプリケーション特有のバリデーションであり、データベースに保存する必要はありません。これに対応するフィールドがなくても、単にヘルパーが仮想の属性を作成してくれます。このフィールドがデータベースに存在すると、accept
オプションを設定するかtrue
を指定しなければならず、そうでない場合はバリデーションが実行されなくなります。
confirmation
このヘルパーは、2つのテキストフィールドで受け取る内容が完全に一致する必要がある場合に使います。たとえば、メールアドレスやパスワードで、確認フィールドを使うとします。このバリデーションヘルパーは仮想の属性を作成します。属性の名前は、確認したい属性名に「_confirmation
」を追加したものになります。
class Person < ApplicationRecord validates :email, confirmation: true end
ビューテンプレートで以下のようなフィールドを用意します。
<%= text_field :person, :email %> <%= text_field :person, :email_confirmation %>
このチェックは、email_confirmation
がnil
でない場合のみ行われます。確認を必須にするには、以下のように確認用の属性について存在チェックも追加してください。presence
を利用する存在チェックについてはこの後解説します。
class Person < ApplicationRecord validates :email, confirmation: true validates :email_confirmation, presence: true end
:case_sensitive
オプションを用いて、大文字小文字の違いを確認する制約をかけるかどうかも定義できます。デフォルトでは、このオプションはtrue
になります。
class Person < ApplicationRecord validates :email, confirmation: { case_sensitive: false } end
このヘルパーのデフォルトメッセージは「doesn't match confirmation」です。
message
オプションでカスタムメッセージを渡すことも可能です。
このバリデーターを使う場合は、:if
オプションと組み合わせて、レコードを保存するたびに「_confirmation
」フィールドをバリデーションするのではなく、初期フィールドが変更されたときのみバリデーションするのが一般的です。詳しくは条件付きバリデーションで後述します。
class Person < ApplicationRecord validates :email, confirmation: true validates :email_confirmation, presence: true, if: :email_changed? end
comparison
このチェックは、比較可能な2つの値の比較を検証します。
class Promotion < ApplicationRecord validates :end_date, comparison: { greater_than: :start_date } end
このヘルパーのデフォルトのエラーメッセージは"failed comparison"です。
message
オプションでカスタムメッセージを渡すことも可能です。
サポートされているオプションは以下のとおりです。
:greater_than
: 渡された値よりも大きい値でなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be greater than %{count}」です。:greater_than_or_equal_to
: 渡された値と等しいか、それよりも大きい値でなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be greater than or equal to %{count}」です。:equal_to
: 渡された値と等しくなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be equal to %{count}」です。:less_than
: 渡された値よりも小さい値でなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be less than %{count}」です。:less_than_or_equal_to
: 渡された値と等しいか、それよりも小さい値でなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be less than or equal to %{count}」です。:other_than
: 渡された値と異なる値でなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be other than %{count}」です。format
このヘルパーは、with
オプションで与えられた正規表現と属性の値がマッチするかどうかを検証します。
class Product < ApplicationRecord validates :legacy_code, format: { with: /\A[a-zA-Z]+\z/, message: "英文字のみが使えます" } end
逆に、:without
オプションを使うと、指定の属性が正規表現にマッチしないことを要求できます。
どちらの場合も、指定する:with
や:without
オプションは、正規表現か、正規表現を返すprocまたはlambdaでなければなりません。
デフォルトのエラーメッセージは「is invalid」です。
文字列の冒頭や末尾にマッチさせるためには\A
と\z
を使い、^
と$
は、1行の冒頭や末尾にマッチさせる場合に使うこと。\A
や\z
を使うべき場合に^
や$
を使う誤用が頻発しているため、^
や$
を使う場合はmultiline: true
オプションを渡す必要があります。ほとんどの場合、必要なのは\A
と\z
です。
inclusion
このヘルパーは、指定の集合に属性の値が含まれているかどうかを検証します。集合には任意のenumerableオブジェクトが使えます。
class Coffee < ApplicationRecord validates :size, inclusion: { in: %w(small medium large), message: "%{value} のサイズは無効です" } end
inclusion
ヘルパーには:in
オプションがあり、受け付ける値の集合を指定します。:in
オプションには:within
というエイリアスもあり、好みに応じてどちらでも使えます。上の例では、属性の値をインクルードする方法を示すために:message
オプションも使っています。完全なオプションについては、:message
のドキュメントを参照してください。
このヘルパーのデフォルトのエラーメッセージは「is not included in the list」です。
exclusion
inclusion
の逆は、exclusion
です!
このヘルパーは、指定の集合に属性の値が「含まれていない」ことをバリデーションします。集合には任意のenumerableオブジェクトが使えます。
class Account < ApplicationRecord validates :subdomain, exclusion: { in: %w(www us ca jp), message: "%{value}は予約済みです" } end
exclusion
ヘルパーの:in
オプションには、バリデーションを行った属性の値に含めたくない値の集合を指定します。:in
オプションには:within
というエイリアスもあり、好みに応じてどちらでも使えます。上の例では、:message
オプションを使って属性の値を含める方法を示しています。message
引数の完全なオプションについては、:message
のドキュメントを参照してください。
デフォルトのエラーメッセージは「is reserved」です。
または、伝統的なenumerable(Array
など)の代わりに、enumerableを返すproc、lambda、またはシンボルを指定することも可能です。
このバリデーションは、enumerableが数値や時間や日付の「範囲」である場合はRange#cover?
で行われ、それ以外の場合はinclude?
で行われます。procやlambdaを使う場合は、そのインスタンスがバリデーション時に引数として渡されます。
length
このヘルパーは、属性の値の長さを検証します。多くのオプションがあり、さまざまな長さ制限を指定できます。
class Person < ApplicationRecord validates :name, length: { minimum: 2 } validates :bio, length: { maximum: 500 } validates :password, length: { in: 6..20 } validates :registration_number, length: { is: 6 } end
利用できる長さ制限オプションは以下のとおりです。
:minimum
: 属性はこの値より小さな値を取れません。:maximum
: 属性はこの値より大きな値を取れません。:in
または:within
: 属性の長さは、与えられた区間以内でなければなりません。このオプションの値は範囲でなければなりません。:is
: 属性の長さは与えられた値と等しくなければなりません。デフォルトのエラーメッセージは、実行されるバリデーションの種類によって異なります。デフォルトのメッセージは:wrong_length
、:too_long
、:too_short
オプションを使ってカスタマイズすることも、%{count}
を長さ制限に対応する数値のプレースホルダにも使えます。:message
オプションを使ってエラーメッセージを指定することもできます。
class Person < ApplicationRecord validates :bio, length: { maximum: 1000, too_long: "最大%{count}文字まで使えます" } end
デフォルトのエラーメッセージは英語が複数形で表現されていることにご注意ください(例: "is too short (minimum is %{count} characters)")。このため、:minimum
を1に設定するのであれば、メッセージをカスタマイズして単数形にするか、代わりにpresence: true
を使います。:in
または:within
の下限に1を指定する場合、メッセージをカスタマイズして単数形にするか、length
より先にpresence
を呼ぶようにします。
制約オプションは一度に1つしか利用できませんが、:minimum
と:maximum
オプションは組み合わせて使えます。
numericality
このヘルパーは、属性に数値のみが使われていることをバリデーションします。デフォルトでは、整数値または浮動小数点数値にマッチします。これらの冒頭に符号がある場合もマッチします。
値として整数のみを許すことを指定するには、:only_integer
をtrue
に設定します。これにより、属性の値に対するバリデーションで以下の正規表現が使われます。
/\A[+-]?\d+\z/
それ以外の場合は、Float
を用いる数値への変換を試みます。Float
は、カラムの精度または最大15桁を用いてBigDecimal
にキャストされます。
class Player < ApplicationRecord validates :points, numericality: true validates :games_played, numericality: { only_integer: true } end
:only_integer
のデフォルトのエラーメッセージは「must be an integer」です。
このヘルパーには、:only_integer
の他に:only_numeric
オプションも渡せます。これは、値がNumeric
のインスタンスでなければならないことを指定し、値がString
の場合は値の解析を試みます。
デフォルトでは、numericality
オプションでnil
値は許容されません。nil
値を許可するにはallow_nil: true
オプションを使ってください。Integer
カラムやFloat
カラムでは、空の文字列がnil
に変換される点にご注意ください。
オプションが指定されていない場合のデフォルトのエラーメッセージは「is not a number」です。
このヘルパーでは、:only_integer
以外にも以下のオプションで値の制約を指定できます。
:greater_than
: 指定の値よりも大きくなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be greater than %{count}」です。:greater_than_or_equal_to
: 指定の値と等しいか、それよりも大きくなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be greater than or equal to %{count}」です。:equal_to
: 指定の値と等しくなければならないことを示します。デフォルトのエラーメッセージは「must be equal to %{count}」です。:less_than
: 指定の値よりも小さくなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be less than %{count}」です。:less_than_or_equal_to
: 指定の値と等しいか、それよりも小さくなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be less than or equal to %{count}」です。:other_than
: 指定の値以外の値でなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be other than %{count}」です。:in
: 渡された範囲に値が含まれていなければならないことを指定します。デフォルトのエラーメッセージは「must be in %{count}」です。:odd
: true
の場合は奇数でなければなりません。デフォルトのエラーメッセージは「must be odd」です。:even
: true
の場合は偶数でなければなりません。デフォルトのエラーメッセージは「must be even」です。presence
このヘルパーは、指定された属性が空(empty)でないことを確認します。値がnil
や空文字でない、つまり空でもなければホワイトスペースでもないことを確認するために、内部でObject#blank?
メソッドを使っています。
class Person < ApplicationRecord validates :name, :login, :email, presence: true end
関連付けが存在することを確認したい場合、関連をマッピングするために使われる外部キーではなく、関連するオブジェクト自体が存在するかどうかをバリデーションする必要があります。以下の例では、外部キーが空ではないことと、関連付けられたオブジェクトが存在することをチェックしています。
class Supplier < ApplicationRecord has_one :account validates :account, presence: true end
複数の関連付けられたオブジェクトが存在することを検証したい場合は、:inverse_of
オプションを指定してください。
class Order < ApplicationRecord has_many :line_items, inverse_of: :order end
関連付けが存在し、かつ有効であることを確認したい場合は、validates_associated
も使う必要があります。詳しくは後述します。
このヘルパーを使って、has_one
またはhas_many
リレーションシップを経由して関連付けられたオブジェクトが存在することを検証すると、blank?
でもなくmarked_for_destruction?
(削除用マーク済み)でもないかどうかがチェックされます。
false.blank?
は常にtrue
なので、真偽値に対してこのメソッドを使うと正しい結果が得られません。真偽値の存在をチェックしたい場合は、以下のいずれかを使う必要があります。
# 値はtrueかfalseでなければならない validates :boolean_field_name, inclusion: [true, false] # 値はnilであってはならない、すなわちtrueかfalseでなければならない validates :boolean_field_name, exclusion: [nil]
これらのバリデーションのいずれかを使うことで、値が決してnil
にならないようにできます。nil
があると、ほとんどの場合NULL
値になります。
デフォルトのエラーメッセージは「can't be blank」です。
absence
このヘルパーは、指定された属性が空(empty)であることを検証します。値がnil
または空文字である、つまり空またはホワイトスペースであることを確認するために、内部でObject#present?
メソッドを使っています。
class Person < ApplicationRecord validates :name, :login, :email, absence: true end
関連付けが存在しないことを確認したい場合、関連をマッピングするのに使われる外部キーではなく、関連するオブジェクト自体が存在しないかどうかを検証する必要があります。
class LineItem < ApplicationRecord belongs_to :order validates :order, absence: true end
複数の関連付けられたオブジェクトが存在しないことを検証したい場合は、:inverse_of
オプションを指定してください。
class Order < ApplicationRecord has_many :line_items, inverse_of: :order end
関連付けが存在し、かつ有効であることを確認したい場合は、validates_associated
も使う必要があります。詳しくは後述します。
このヘルパーを使って、has_one
またはhas_many
リレーションシップを経由して関連付けられたオブジェクトが存在しないことを検証すると、presence?
でもなくmarked_for_destruction?
(削除用マーク済み)でもないかどうかがチェックされます。
false.present?
は常にfalse
なので、真偽値に対してこのメソッドを使うと正しい結果が得られません。真偽値が存在しないことをチェックしたい場合は、validates :field_name, exclusion: { in: [true, false] }
を使う必要があります。
デフォルトのエラーメッセージは「must be blank」です。
uniqueness
このヘルパーは、オブジェクトが保存される直前に、属性の値が一意(unique)であり重複していないことを検証します。
class Account < ApplicationRecord validates :email, uniqueness: true end
このバリデーションは、その属性と同じ値を持つ既存のレコードがモデルのテーブルにあるかどうかを調べるSQLクエリを実行することで行われます。
このヘルパーには、一意性チェックの範囲を限定する別の属性を指定する:scope
オプションがあります。
class Holiday < ApplicationRecord validates :name, uniqueness: { scope: :year, message: "発生は年に1度である必要があります" } end
このバリデーションはデータベースに一意性制約(uniqueness constraint)を作成しないので、異なる2つのデータベース接続で、一意であることを意図したカラムに同じ値を持つレコードが2つ作成される可能性があります。これを避けるには、データベースでそのカラムにuniqueインデックスを作成する必要があります。
データベースに一意性データベース制約を追加するには、マイグレーションでadd_index
ステートメントを使ってunique: true
オプションを指定します。
:scope
を用いる一意性バリデーション違反を防止する目的でデータベース側に制約を作成したい場合は、データベース側で両方のカラムにuniqueインデックスを作成しなければなりません。MySQLのマニュアルやMariaDBのマニュアルでマルチカラムインデックスについての情報を参照するか、PostgreSQLのマニュアルなどでカラムのグループを参照する一意性制約についての例を参照してください。
このヘルパーには:case_sensitive
というオプションもあります。これは一意性制約で大文字小文字を区別するか、またはデータベースのデフォルトの照合順序(collation)を尊重すべきかどうかを定義できます。このオプションはデフォルトで、データベースのデフォルト照合順序を尊重します。
class Person < ApplicationRecord validates :name, uniqueness: { case_sensitive: false } end
一部のデータベースでは検索で常に大文字小文字を区別しない設定になっているものがあります。
:conditions
オプションを使うと、一意性制約の探索を制限するための追加条件をSQLのWHERE
フラグメントとして指定可能です(例: conditions: -> { where(status: 'active') }
)。
デフォルトのエラーメッセージは「has already been taken」です。
validates_associated
常に有効でなければならない関連付けがモデルにある場合は、このヘルパーを使う必要があります。オブジェクトを保存しようとするたびに、関連するオブジェクトごとにvalid?
が呼び出されます。
class Library < ApplicationRecord has_many :books validates_associated :books end
このバリデーションは、すべての種類の関連付けで機能します。
validates_associated
を関連付けの両側で使ってはいけません。互いを呼び出して無限ループになります。
validates_associated
のデフォルトのエラーメッセージは「is invalid」です。各関連付けオブジェクトには、それ自身のerrors
コレクションも含まれることに注意してください。エラーは呼び出し元のモデルには達しません。
validates_associated
はActive Recordオブジェクトでしか利用できませんが、従来のバリデーションはActiveModel::Validations
を含む任意のオブジェクトでも利用できます。
validates_each
このヘルパーは、ブロックに対して属性をバリデーションします。このヘルパーは、事前定義されたバリデーション関数を持っていません。ブロックで作成されてvalidates_each
に渡されたすべての属性は、そのブロックに対してテストされます。
以下の例は、小文字で始まる名前と姓を却下します。
class Person < ApplicationRecord validates_each :name, :surname do |record, attr, value| record.errors.add(attr, "大文字で始まる必要があります") if /\A[[:lower:]]/.match?(value) end end
このブロックは、レコード、属性名、属性の値を受け取ります。
ブロック内のデータが有効かどうかのチェックには任意のコードを書けます。バリデーションに失敗した場合は、モデルにエラーを追加して無効とする必要があります。
validates_with
このヘルパーは、バリデーション専用の別クラスにレコードを渡します。
class GoodnessValidator < ActiveModel::Validator def validate(record) if record.first_name == "Evil" record.errors.add :base, "これは悪人だ" end end end class Person < ApplicationRecord validates_with GoodnessValidator end
validates_with
にはデフォルトのエラーメッセージがありません。バリデータークラスのレコードのエラーコレクションに、手動でエラーを追加する必要があります。
record.errors[:base]
には、そのレコード全体のステートに関連するエラーメッセージを追加するのが一般的です。
バリデーションメソッドを実装するには、メソッド定義内にrecord
パラメータが必要です。このパラメータはバリデーションを行なうレコードを表します。
特定の属性に関するエラーを追加したい場合は、record.errors.add(:first_name, "please choose another name")
のように第1引数にその属性を渡します。詳しくはバリデーションエラーで後述します。
def validate(record) if record.some_field != "acceptable" record.errors.add :some_field, "this field is unacceptable" end end
validates_with
ヘルパーは、バリデーションに使うクラス(またはクラスのリスト)を引数に取ります。
class Person < ApplicationRecord validates_with MyValidator, MyOtherValidator, on: :create end
他のバリデーションと同様、validates_with
ヘルパーでも:if
、:unless
、:on
オプションが使えます。その他のオプションは、バリデータクラスにoptions
として渡されます。
class GoodnessValidator < ActiveModel::Validator def validate(record) if options[:fields].any? { |field| record.send(field) == "Evil" } record.errors.add :base, "これは悪人だ" end end end class Person < ApplicationRecord validates_with GoodnessValidator, fields: [:first_name, :last_name] end
このバリデータは、アプリケーションのライフサイクル内で一度しか初期化されない点にご注意ください。バリデーションが実行されるたびに初期化されることはありません。インスタンス変数を使う場合は十分な注意が必要です。
作成したバリデータが複雑になってインスタンス変数を使いたくなった場合は、代わりに素のRubyオブジェクトを使う方がやりやすいでしょう。
class Person < ApplicationRecord validate do |person| GoodnessValidator.new(person).validate end end class GoodnessValidator def initialize(person) @person = person end def validate if some_complex_condition_involving_ivars_and_private_methods? @person.errors.add :base, "これは悪人だ" end end # ... end
詳しくはカスタムバリデーションで後述します。
これまで見てきたバリデータにはさまざまな共通オプションがあるので、そのいくつかを以下に示します。
これらのオプションは、すべてのバリデータでサポートされているとは限りません。詳しくはActiveModel::Validations
のAPIドキュメントを参照してください。
上述のバリデーションの方法を使う場合、バリデータ間で共通して使えるオプションのリストも存在します。
:allow_nil
: 属性がnil
の場合にバリデーションをスキップする。:allow_blank
: 属性がblankの場合にバリデーションをスキップする。:message
: カスタムのエラーメッセージを指定する。:on
: このバリデーションを有効にするコンテキストを指定する。:strict
: バリデーション失敗時にraiseする。:if
と:unless
: バリデーションする場合やしない場合の条件を指定する。:allow_nil
:allow_nil
オプションは、対象の値がnil
の場合にバリデーションをスキップします。
class Coffee < ApplicationRecord validates :size, inclusion: { in: %w(small medium large), message: "%{value}は有効な値ではありません" }, allow_nil: true end
irb> Coffee.create(size: nil).valid? => true irb> Coffee.create(size: "mega").valid? => false
message:
引数の完全なオプションについては、:message
のドキュメントを参照してください。
:allow_blank
:allow_blank
オプションは:allow_nil
オプションと似ています。このオプションを指定すると、属性の値がblank?
に該当する場合(nil
や空文字列など)にバリデーションがパスします。
class Topic < ApplicationRecord validates :title, length: { is: 5 }, allow_blank: true end
irb> Topic.create(title: "").valid? => true irb> Topic.create(title: nil).valid? => true
:message
既に例示したように、:message
オプションを使うことで、バリデーション失敗時にerrors
コレクションに追加されるカスタムエラーメッセージを指定できます。このオプションを使わない場合、Active Recordはバリデーションヘルパーごとにデフォルトのエラーメッセージを使います。
:message
オプションはString
またはProc
を値として受け取ります。
String
の:message
値には、%{value}
や%{attribute}
や%{model}
をオプションで含められます。これらはバリデーション失敗時に動的に置き換えられます。置き換えはi18n gemで行われます。プレースホルダは正確にマッチしなければならず、スペースは許されません。
class Person < ApplicationRecord # メッセージを直書きする場合 validates :name, presence: { message: "省略できません" } # 動的な属性値を含むメッセージの場合。%{value}は実際の属性値に # 置き換えられる。%{attribute}や%{model}も利用可能。 validates :age, numericality: { message: "%{value}は誤りかもしれません" } end
Proc
の:message
値は引数を2つ受け取ります。バリデーションの対象となるオブジェクトと、:model
と:attribute
と:value
のキーバリューペアを含むハッシュです。
class Person < ApplicationRecord validates :username, uniqueness: { # object = バリデーションされる人物のオブジェクト # data = { model: "Person", attribute: "Username", value: <username> } message: ->(object, data) do "#{object.name}さま、#{data[:value]}は既に入力済みです" end } end
:on
:on
オプションは、バリデーション実行のタイミングを指定します。ビルトインのバリデーションヘルパーは、デフォルトでは保存時(レコードの作成時および更新時の両方)に実行されます。バリデーションのタイミングを変更したい場合、on: :create
を指定すればレコード新規作成時にのみバリデーションが行われ、on: :update
を指定すればレコードの更新時にのみバリデーションが行われます。
class Person < ApplicationRecord # 値が重複していてもemailを更新できる validates :email, uniqueness: true, on: :create # 新規レコード作成時に、数字でない年齢表現を使える validates :age, numericality: true, on: :update # デフォルト(作成時と更新時の両方でバリデーションを行なう) validates :name, presence: true end
on:
にはカスタムコンテキストも定義できます。カスタムコンテキストは、valid?
やinvalid?
やsave
にコンテキスト名を渡して明示的にトリガーする必要があります。
class Person < ApplicationRecord validates :email, uniqueness: true, on: :account_setup validates :age, numericality: true, on: :account_setup end
irb> person = Person.new(age: 'thirty-three') irb> person.valid? => true irb> person.valid?(:account_setup) => false irb> person.errors.messages => {:email=>["has already been taken"], :age=>["is not a number"]}
person.valid?(:account_setup)
は、モデルを保存せずにバリデーションを2つとも実行します。person.save(context: :account_setup)
は、保存の前にaccount_setup
コンテキストでperson
をバリデーションします。
以下のようにシンボルの配列も渡せます。
class Book include ActiveModel::Validations validates :title, presence: true, on: [:update, :ensure_title] end
irb> book = Book.new(title: nil) irb> book.valid? => true irb> book.valid?(:ensure_title) => false irb> book.errors.messages => {:title=>["can't be blank"]}
明示的なトリガーによるモデルのバリデーションでは、そのコンテキストのみのバリデーションと、「コンテキストなし」のバリデーションが行われます。
class Person < ApplicationRecord validates :email, uniqueness: true, on: :account_setup validates :age, numericality: true, on: :account_setup validates :name, presence: true end
irb> person = Person.new irb> person.valid?(:account_setup) => false irb> person.errors.messages => {:email=>["has already been taken"], :age=>["is not a number"], :name=>["can't be blank"]}
on:
のユースケースについて詳しくは、コールバックガイドで解説します。
バリデーションを厳密にし、オブジェクトが無効だった場合にActiveModel::StrictValidationFailed
が発生するようにすることもできます。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: { strict: true } end
irb> Person.new.valid? ActiveModel::StrictValidationFailed: Name can't be blank
カスタム例外を:strict
オプションに追加することもできます。
class Person < ApplicationRecord validates :token, presence: true, uniqueness: true, strict: TokenGenerationException end
irb> Person.new.valid? TokenGenerationException: Token can't be blank
特定の条件を満たす場合にのみバリデーションを実行したい場合があります。:if
オプションや:unless
オプションを使うことでこのような条件を指定できます。引数にはシンボル、Proc
またはArray
を使えます。:if
オプションは、特定の条件でバリデーションを行なうべきである場合に使います。特定の条件でバリデーションを行なうべきでない場合は、:unless
オプションを使います。
:if
や:unless
でシンボルを使うバリデーションの実行直前に呼び出されるメソッド名を、:if
や:unless
オプションにシンボルで指定することもできます。
これは最もよく使われるオプションです。
class Order < ApplicationRecord validates :card_number, presence: true, if: :paid_with_card? def paid_with_card? payment_type == "card" end end
:if
や:unless
でProc
を使う呼び出したいProc
オブジェクトを:if
や:unless
で使うこともできます。Proc
オブジェクトを使うと、個別のメソッドを指定する代わりに、その場で条件を書けるようになります。ワンライナーに収まる条件を使いたい場合に最適です。
class Account < ApplicationRecord validates :password, confirmation: true, unless: Proc.new { |a| a.password.blank? } end
lambdaはProc
の一種なので、lambda記法(->
)を用いて以下のようにインライン条件をさらに短く書くこともできます。
validates :password, confirmation: true, unless: -> { password.blank? }
1つの条件を複数のバリデーションで共用できると便利なことがあります。これはwith_options
で簡単に実現できます。
class User < ApplicationRecord with_options if: :is_admin? do |admin| admin.validates :password, length: { minimum: 10 } admin.validates :email, presence: true end end
with_options
ブロックの内側にあるすべてのバリデーションにif: :is_admin?
という条件が渡されます。
逆に、バリデーションを行なう条件を複数定義したい場合はArray
を使えます。さらに、1つのバリデーションに:if
と:unless
を両方使うこともできます。
class Computer < ApplicationRecord validates :mouse, presence: true, if: [Proc.new { |c| c.market.retail? }, :desktop?], unless: Proc.new { |c| c.trackpad.present? } end
このバリデーションは、:if
条件がすべてtrue
で、かつ:unless
が1つもtrue
にならない場合にのみ実行されます。
ビルトインのバリデーションヘルパーだけでは不足の場合、好みのバリデータやバリデーションメソッドを作成して使えます。
カスタムバリデータは、ActiveModel::Validator
を継承するクラスです。
これらのクラスでは、validate
メソッドを実装する必要があります。このメソッドはレコードを1つ引数に取り、それに対してバリデーションを実行します。カスタムバリデータはvalidates_with
メソッドで呼び出します。
class MyValidator < ActiveModel::Validator def validate(record) unless record.name.start_with? "X" record.errors.add :name, "名前はXで始まる必要があります" end end end class Person validates_with MyValidator end
個別の属性を検証するためのカスタムバリデータを追加するには、ActiveModel::EachValidator
を使うのが最も手軽で便利です。この場合、このカスタムバリデータクラスはvalidate_each
メソッドを実装する必要があります。このメソッドは、そのインスタンスに対応するレコード、バリデーションを行う属性、そして渡されたインスタンスの属性の値の3つの引数を取ります。
class EmailValidator < ActiveModel::EachValidator def validate_each(record, attribute, value) unless URI::MailTo::EMAIL_REGEXP.match?(value) record.errors.add attribute, (options[:message] || "はメールアドレスではありません") end end end class Person < ApplicationRecord validates :email, presence: true, email: true end
上の例に示したように、標準のバリデーションとカスタムバリデーションを組み合わせることもできます。
モデルのステートを確認して、無効な場合にerrors
コレクションにメッセージを追加するメソッドを作成できます。これらのメソッドを作成後、validate
クラスメソッドを使って登録し、バリデーションメソッド名を指すシンボルを渡す必要があります。
クラスメソッドごとに複数のシンボルを渡せます。バリデーションは登録されたとおりの順序で実行されます。
valid?
メソッドはerrors
コレクションが空であることを検証するので、カスタムバリデーションはバリデーションが失敗したときにエラーを追加すべきです。
class Invoice < ApplicationRecord validate :expiration_date_cannot_be_in_the_past, :discount_cannot_be_greater_than_total_value def expiration_date_cannot_be_in_the_past if expiration_date.present? && expiration_date < Date.today errors.add(:expiration_date, "過去の日付は使えません") end end def discount_cannot_be_greater_than_total_value if discount > total_value errors.add(:discount, "合計額を上回ることはできません") end end end
これらのバリデーションは、デフォルトではvalid?
を呼び出したりオブジェクトを保存したりするたびに実行されます。しかし:on
オプションを使えば、カスタムバリデーションが実行されるタイミングを変更できます。validate
に対してon: :create
またはon: :update
を指定します。
class Invoice < ApplicationRecord validate :active_customer, on: :create def active_customer errors.add(:customer_id, "はアクティブではありません") unless customer.active? end end
:on
について詳しくは上述のセクションを参照してください。
指定したオブジェクトのバリデータをすべて調べたい場合は、validators
を調べるだけで十分です。
たとえば、カスタムバリデータとビルトインバリデータを使った次のようなモデルがあるとします。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true, on: :create validates :email, format: URI::MailTo::EMAIL_REGEXP validates_with MyOtherValidator, strict: true end
これで、以下のようにvalidators
でPersonモデルのすべてのバリデータを一覧表示することも、validators_on
で特定のフィールドをチェックすることも可能になります。
irb> Person.validators #=> [#<ActiveRecord::Validations::PresenceValidator:0x10b2f2158 @attributes=[:name], @options={:on=>:create}>, #<MyOtherValidatorValidator:0x10b2f17d0 @attributes=[:name], @options={:strict=>true}>, #<ActiveModel::Validations::FormatValidator:0x10b2f0f10 @attributes=[:email], @options={:with=>URI::MailTo::EMAIL_REGEXP}>] #<MyOtherValidator:0x10b2f0948 @options={:strict=>true}>] irb> Person.validators_on(:name) #=> [#<ActiveModel::Validations::PresenceValidator:0x10b2f2158 @attributes=[:name], @options={on: :create}>]
valid?
メソッドやinvalid?
メソッドでは、有効かどうかという概要しかわかりません。しかしerrors
コレクションにあるさまざまなメソッドを使えば、個別のエラーをさらに詳しく調べられます。
以下は最もよく使われるメソッドの一覧です。利用可能なすべてのメソッドについては、ActiveModel::Errors
ドキュメントを参照してください。
errors
個別のエラーのさまざまな詳細を調べるときの入り口となります。
すべてのエラーを含むActiveModel::Error
クラスのインスタンスを1つ返します。個別のエラーは、ActiveModel::Error
オブジェクトによって表現されます。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true, length: { minimum: 3 } end
irb> person = Person.new irb> person.valid? => false irb> person.errors.full_messages => ["名前は空欄にできません", "名前が短すぎます(最小で3文字以上)"] irb> person = Person.new(name: "John Doe") irb> person.valid? => true irb> person.errors.full_messages => [] irb> person = Person.new irb> person.valid? => false irb> person.errors.first.details => {:error=>:too_short, :count=>3}
errors[]
errors[]
は、特定の属性についてエラーメッセージをチェックしたい場合に使います。指定の属性に関するすべてのエラーメッセージの文字列の配列を返します(1つの文字列に1つのエラーメッセージが対応します)。属性に関連するエラーがない場合は空の配列を返します。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true, length: { minimum: 3 } end
irb> person = Person.new(name: "John Doe") irb> person.valid? => true irb> person.errors[:name] => [] irb> person = Person.new(name: "JD") irb> person.valid? => false irb> person.errors[:name] => ["短すぎます(最小で3文字以上)"] irb> person = Person.new irb> person.valid? => false irb> person.errors[:name] => ["空欄にはできません", "短すぎます(最小で3文字以上)"]
errors.where
とエラーオブジェクトエラーごとに、そのエラーメッセージ以外の情報が必要になることがあります。各エラーはActiveModel::Error
オブジェクトとしてカプセル化されており、それらへのアクセスに最もよく用いられるのがwhere
メソッドです。
where
は、さまざまな度合いの条件でフィルタされたエラーオブジェクトの配列を返します。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true, length: { minimum: 3 } end
これをerrors.where(:attr)
の第1パラメータとして渡すことで、attribute
だけをフィルタリングできます。
第2パラメータは、errors.where(:attr, :type)
を呼び出して、エラーのtype
をフィルタリングするのに使われます。
irb> person = Person.new irb> person.valid? => false irb> person.errors.where(:name) => [ ... ] # :name属性のすべてのエラー irb> person.errors.where(:name, :too_short) => [ ... ] # :name属性の:too_shortエラー
最後に、指定の型のエラーオブジェクトに存在する可能性のある任意のoptions
でフィルタリングできます。
irb> person = Person.new irb> person.valid? => false irb> person.errors.where(:name, :too_short, minimum: 3) => [ ... ] # 最小が3で短すぎるすべてのnameのエラー
これらのエラーオブジェクトから、さまざまな情報を読み出せます。
irb> error = person.errors.where(:name).last irb> error.attribute => :name irb> error.type => :too_short irb> error.options[:count] => 3
エラーメッセージを生成することも可能です。
irb> error.message => "is too short (minimum is 3 characters)" irb> error.full_message => "Name is too short (minimum is 3 characters)"
full_message
メソッドは、属性名の冒頭を大文字にした読みやすいメッセージを生成します(full_message
で使うフォーマットをカスタマイズする方法については、国際化(i18n)ガイドを参照してください)。
errors.add
add
メソッドを使って、特定の属性に関連するエラーメッセージを手動で追加できます。このメソッドは、属性とエラーメッセージを引数として受け取ります。
class Person < ApplicationRecord validate do |person| errors.add :name, :too_plain, message: "はあまりクールじゃない" end end
irb> person = Person.create irb> person.errors.where(:name).first.type => :too_plain irb> person.errors.where(:name).first.full_message => "Nameはあまりクールじゃない"
errors[:base]
個別の属性に関連するエラーメッセージを追加する代わりに、オブジェクトのステート全体に関連するエラーメッセージを追加することもできます。このメソッドは、属性の値にかかわらずオブジェクトが無効であることを通知したい場合に使えます。errors[:base]
は配列なので、これに文字列を単に追加するだけでエラーメッセージとして使えるようになります。
class Person < ApplicationRecord validate do |person| errors.add :base, :invalid, message: "この人物は以下の理由で無効です: " end end
irb> person = Person.create irb> person.errors.where(:base).first.full_message => "この人物は以下の理由で無効です: "
errors.size
size
メソッドは、オブジェクトのエラーの総数を返します。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true, length: { minimum: 3 } end
irb> person = Person.new irb> person.valid? => false irb> person.errors.size => 2 irb> person = Person.new(name: "Andrea", email: "andrea@example.com") irb> person.valid? => true irb> person.errors.size => 0
errors.clear
clear
メソッドは、errors
コレクションに含まれるメッセージをすべてクリアしたい場合に使えます。無効なオブジェクトに対してerrors.clear
メソッドを呼び出しても、オブジェクトが実際に有効になるわけではありませんのでご注意ください。errors
は空になりますが、valid?
やオブジェクトをデータベースに保存しようとするメソッドが次回呼び出されたときに、バリデーションが再実行されます。そしていずれかのバリデーションが失敗すると、errors
コレクションに再びメッセージが保存されます。
class Person < ApplicationRecord validates :name, presence: true, length: { minimum: 3 } end
irb> person = Person.new irb> person.valid? => false irb> person.errors.empty? => false irb> person.errors.clear irb> person.errors.empty? => true irb> person.save => false irb> person.errors.empty? => false
モデルを作成してバリデーションを追加し、Webのフォーム経由でそのモデルが作成できるようになったら、そのモデルでバリデーションが失敗したときにエラーメッセージを表示したくなります。
エラーメッセージの表示方法はアプリケーションごとに異なるため、そうしたメッセージを直接生成するビューヘルパーはRailsに含まれていません。
しかし、Railsでは一般的なバリデーションメソッドが多数提供されているので、カスタムのメソッドを作成するのは比較的簡単です。また、生成をscaffoldで行なうと、そのモデルのエラーメッセージをすべて表示するERBがRailsによって一部の_form.html.erb
ファイルに追加されます。
@article
という名前のインスタンス変数に保存されたモデルがあるとすると、ビューは以下のようになります。
<% if @article.errors.any? %> <div id="error_explanation"> <h2><%= pluralize(@article.errors.count, "error") %>が原因でこの記事を保存できませんでした</h2> <ul> <% @article.errors.each do |error| %> <li><%= error.full_message %></li> <% end %> </ul> </div> <% end %>
また、フォームをRailsのフォームヘルパーで生成した場合、あるフィールドでバリデーションエラーが発生すると、そのエントリの周りに追加の<div>
が自動的に生成されます。
<div class="field_with_errors"> <input id="article_title" name="article[title]" size="30" type="text" value=""> </div>
この<div>
タグに好みのスタイルを追加できます。Railsが生成するデフォルトのscaffoldによって、以下のCSSルールが追加されます。
.field_with_errors { padding: 2px; background-color: red; display: table; }
このCSSは、エラーを含むフィールドを太さ2ピクセルの赤い枠で囲みます。
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