本ガイドでは、Action Cableのしくみと、WebSocketをRailsアプリケーションに導入してリアルタイム機能を実現する方法について解説します。
このガイドの内容:
Action Cableは、WebSocketとRailsのその他の部分をシームレスに統合します。Action Cableを導入すると、Rails アプリケーションのパフォーマンスとスケーラビリティを損なわずに、通常のRailsアプリケーションと同じスタイル・方法でリアルタイム機能をRubyで記述できるようになります。Action Cableはフルスタックのフレームワークであり、クライアント側のJavaScriptフレームワークとサーバー側のRubyフレームワークの両方を提供します。Active RecordなどのORMで書かれたドメインモデル全体にアクセスできます。
Action Cableは、通常のHTTPリクエスト・レスポンスプロトコルの代わりにWebSocketを利用します。Action CableとWebSocketでは、以下のような新しい用語がいくつか導入されます。
コネクション(connection)は、クライアント・サーバーの関係の基礎をなすものです。 1個のAction Cableサーバーは、コネクションインスタンスを複数扱うことが可能で、WebSocketのコネクションごとに1つのコネクションインスタンスを持ちます。あるユーザーがブラウザタブを複数開いたり複数のデバイスを用いている場合は、アプリケーションに対して複数のWebSocketコネクションをオープンします。
WebSocketコネクションのクライアントは、コンシューマー(consumer)と呼ばれます。 Action Cableのコンシューマーは、クライアント側のJavaScriptフレームワークによって作成されます。
コンシューマごとに、複数のチャネル(channel)をサブスクライブできます。
各チャネルは論理的な機能単位をカプセル化しており、チャネル内ではコントローラが典型的なMVCセットアップで行っていることと同様のことを行います。たとえばChatChannel
とAppearancesChannel
が1つずつあると、あるコンシューマーはそれらチャネルの一方または両方でサブスクライブされることが可能です。1つのコンシューマーは、少なくとも1つのチャネルにサブスクライブされるべきです。
コンシューマーがチャネルでサブスクライブされると、サブスクライバ(subscriber)として振る舞います。サブスクライバとチャネルの間のコネクションは、(驚くことに)サブスクリプションと呼ばれます。あるコンシューマーは、何度でも指定のチャネルのサブスクライバとして振る舞えます。たとえば、あるコンシューマーが複数のチャットルームに同時にサブスクライブことも可能です(物理的なユーザーが複数のコンシューマーを持つことが可能で、コネクションはブラウザタブやデバイスごとにオープン可能であることを思い出しましょう)。
Pub/Sub(Publish-Subscribe)はメッセージキューのパラダイムの一種であり、情報の送信者(パブリッシャ)は個別の受信者を指定する代わりに、受信側の抽象クラスにデータを送信します。Action Cableでは、このPub/Subアプローチを用いてサーバーと多数のクライアントの間の通信を行います。
ブロードキャスト(broadcasting)とは、あるブロードキャスター(broadcaster)によって転送されるあらゆる情報をチャネルのサブスクライバ(サブスクライバはその名前を持つブロードキャストをストリーミングします)に直接送信するpub/subリンクを指します。 各チャネルは、0個以上のブロードキャストをストリーミングできます。
サーバーがWebSocketを1個受信するたびに、コネクションオブジェクトのインスタンスが生成されます。 このオブジェクトは、以後作成されるすべてのチャネルサブスクリプションの親オブジェクトとなり、 認証(authentication)と認可(authorization)以後は、コネクション自身がアプリケーションロジックを扱うことはありません。WebSocketコネクションのクライアントは、コネクションのコンシューマーと呼ばれます。 ある個人ユーザーが「ブラウザタブ」「ウィンドウ」「デバイス」を開いて接続するたびに、コンシューマコネクションが1個ずつ作成されます。
コネクションはApplicationCable::Connection
のインスタンスで、ActionCable::Connection::Base
を継承しています。
ApplicationCable::Connection
では、ユーザーを識別できる場合に、コネクションを認証したのち接続の確立を続行します。
# app/channels/application_cable/connection.rb module ApplicationCable class Connection < ActionCable::Connection::Base identified_by :current_user def connect self.current_user = find_verified_user end private def find_verified_user if verified_user = User.find_by(id: cookies.encrypted[:user_id]) verified_user else reject_unauthorized_connection end end end end
上のidentified_by
はコネクションidであり、後で特定のコネクションを見つけるときに利用できます。idとしてマークされたものは、そのコネクション以外で作成されるすべてのチャネルインスタンスに、同じ名前で自動的にデリゲート(delegate)を作成します。
この例は、アプリケーションの他の場所で既にユーザー認証が扱われており、認証が成功してユーザーIDに暗号化済みcookieが設定されていることを前提としています。
次に、新しいコネクションを試行すると、このcookieがコネクションのインスタンスに自動で送信され、current_user
の設定に使われます。現在の同じユーザーによるコネクションが識別されれば、以後そのユーザーが開いているすべてのコネクションを取得することも、ユーザーが削除されたり認証できない場合に切断することも可能になります。
認証にセッションを含む場合、セッションにcookieストアを使用し、セッションcookieの_session
とユーザーIDのキーとなるuser_id
を使用するアプローチが使えます。
verified_user = User.find_by(id: cookies.encrypted['_session']['user_id'])
デフォルトでは、補足されていない例外は補足されてRailsのログに出力されます。これらの例外をグローバルにインターセプトして外部のバグトラッキングサービスに通知したい場合は、たとえば以下のようにrescue_from
を使う方法があります。
# app/channels/application_cable/connection.rb module ApplicationCable class Connection < ActionCable::Connection::Base rescue_from StandardError, with: :report_error private def report_error(e) SomeExternalBugtrackingService.notify(e) end end end
before_command
、after_command
、around_command
コールバックがあり、それぞれクライアントが受け取ったコマンドの「前」「後」「前後」で呼び出せます。
ここでいう"コマンド"とは、クライアントが受け取るあらゆる対話的操作(サブスクライブ、アンサブスクライブ、アクションの実行)を指します。
ActionCable::Connection::Callbacks
は、(サブスクライブ、アンサブスクライブ、アクションの実行などで)クライアントにコマンドを送信するときに呼び出される以下のコールバックフックを提供します。
before_command
(コマンドの実行前)after_command
(コマンドの実行後)around_command
(コマンドの実行前後)チャネル(Channel) は論理的な作業単位をカプセル化するものであり、典型的なMVCセットアップでコントローラが果たす役割と似ています。Railsはデフォルトで、チャネル間で共有されるロジックをカプセル化する以下のApplicationCable::Channel
という親クラス(これはActionCable::Channel::Base
を継承します)を作成します。
# app/channels/application_cable/channel.rb module ApplicationCable class Channel < ActionCable::Channel::Base end end
次に専用のチャネルクラスを作成します。たとえば以下のような
ChatChannel
クラスやAppearanceChannel
クラスを作成できます。
# app/channels/chat_channel.rb class ChatChannel < ApplicationCable::Channel end
# app/channels/appearance_channel.rb class AppearanceChannel < ApplicationCable::Channel end
これで、コンシューマーがチャネルをサブスクライブできるようになります。
コンシューマーはチャネルをサブスクライブして、サブスクライバ(Subscriber)の役割を果たします。それらのコンシューマーのコネクションはサブスクリプション(Subscription: 購読)と呼ばれます。生成されたメッセージは、Action Cableコンシューマーが送信するidに基いて、これらのチャネルサブスクライバ側にルーティングされます。
# app/channels/chat_channel.rb class ChatChannel < ApplicationCable::Channel # コンシューマーがこのチャネルのサブスクライバになると # このコードが呼び出される def subscribed end end
ApplicationCable::Connection
の場合と同様、rescue_from
を利用すると特定チャネルで発生する例外を扱えるようになります。
# app/channels/chat_channel.rb class ChatChannel < ApplicationCable::Channel rescue_from 'MyError', with: :deliver_error_message private def deliver_error_message(e) # broadcast_to(...) end end
ActionCable::Channel::Callbacks
は、チャネルのライフサイクルの間に呼び出される以下のコールバックフックを提供します。
before_subscribe
after_subscribe
(エイリアス: on_subscribe
)before_unsubscribe
after_unsubscribe
(エイリアス: on_unsubscribe
)コンシューマー側でも、コネクションのインスタンスが必要になります。このコネクションは、Railsがデフォルトで生成する以下のJavaScriptコードによって確立します。
// app/javascript/channels/consumer.js // Action CableはRailsでWebSocketを扱うフレームワークを提供する // WebSocketがある場所で`bin/rails generate channel`コマンドを使うと新しいチャネルを生成できる import { createConsumer } from "@rails/actioncable" export default createConsumer()
これにより、サーバーの/cable
にデフォルトで接続するコンシューマーが利用可能になります。コネクションは、利用するサブスクリプションを1つ以上指定するまで確立しません。
このコンシューマーは、オプションとして接続先URLを指定する引数を1つ受け取れます。引数には文字列を渡すことも、WebSocketがオープンされるときに呼び出されて文字列を返す関数も渡すことも可能です。
// 異なる接続先URLを指定する createConsumer('wss://example.com/cable') // または、websockets over HTTPを使う場合 createConsumer('https://ws.example.com/cable') // 動的にURLを生成する関数 createConsumer(getWebSocketURL) function getWebSocketURL() { const token = localStorage.get('auth-token') return `wss://example.com/cable?token=${token}` }
指定のチャネルでサブスクリプションを作成すると、コンシューマーがサブスクライバになります。
// app/javascript/channels/chat_channel.js import consumer from "./consumer" consumer.subscriptions.create({ channel: "ChatChannel", room: "Best Room" }) // app/javascript/channels/appearance_channel.js import consumer from "./consumer" consumer.subscriptions.create({ channel: "AppearanceChannel" })
サブスクリプションは上のコードで作成されます。受信したデータに応答する機能については後述します。
コンシューマーは、指定のチャネルに対するサブスクライバとして振る舞えます(回数の制限はありません)。たとえば、コンシューマーでは以下のようにチャットルームを同時にいくつでもサブスクライブできます。
// app/javascript/channels/chat_channel.js import consumer from "./consumer" consumer.subscriptions.create({ channel: "ChatChannel", room: "1st Room" }) consumer.subscriptions.create({ channel: "ChatChannel", room: "2nd Room" })
ストリーム(stream)は、パブリッシュされたコンテンツ(ブロードキャスト)をサブスクライバに配信するメカニズムです。
たとえば以下のコードは、room
パラメータの値が"Best Room"
の場合に、stream_from
を用いてchat_Best Room
という名前のブロードキャストをサブスクライブしています。
# app/channels/chat_channel.rb class ChatChannel < ApplicationCable::Channel def subscribed stream_from "chat_#{params[:room]}" end end
これで、Railsアプリケーションのどのコードでも、以下のようにbroadcast
を呼び出せばチャットルームにブロードキャストできるようになります。
ActionCable.server.broadcast("chat_Best Room", { body: "このチャットルーム名はBest Roomです" })
あるモデルに関連するストリームを作成すると、そのモデルとチャネルからブロードキャストが生成されます。以下の例は、posts:Z2lkOi8vVGVzdEFwcC9Qb3N0LzE
のような形式のブロードキャストをstream_for
でサブスクライブします(Z2lkOi8vVGVzdEFwcC9Qb3N0LzE
はPostモデルのGlobalID)。
class PostsChannel < ApplicationCable::Channel def subscribed post = Post.find(params[:id]) stream_for post end end
これで、以下のようにbroadcast_to
を呼び出せばこのチャネルにブロードキャストできるようになります。
PostsChannel.broadcast_to(@post, @comment)
ブロードキャスト(broadcasting)は、pub/subのリンクです。パブリッシャからの送信内容がすべてブロードキャストを経由し、その名前のブロードキャストをストリーミングするチャネルサブスクライバに直接ルーティングされます。各チャネルは、0個以上のブロードキャストをストリーミングできます。
ブロードキャストは純粋なオンラインキューであり、時間に依存します。ストリーミング(指定のチャネルにサブスクライブされること)を行っていないコンシューマーは、後で接続してもブロードキャストを取得できません。
あるチャネルでサブスクライブされたコンシューマーは、サブスクライバとして振る舞います。このコネクションもサブスクリプションと呼ばれます。受信メッセージは、Action Cableコンシューマーが送信するidに基いて、これらのチャネルサブスクライバにルーティングされます。
// app/javascript/channels/chat_channel.js import consumer from "./consumer" consumer.subscriptions.create({ channel: "ChatChannel", room: "Best Room" }, { received(data) { this.appendLine(data) }, appendLine(data) { const html = this.createLine(data) const element = document.querySelector("[data-chat-room='Best Room']") element.insertAdjacentHTML("beforeend", html) }, createLine(data) { return ` <article class="chat-line"> <span class="speaker">${data["sent_by"]}</span> <span class="body">${data["body"]}</span> </article> ` } })
サブスクリプション作成時に、以下のようにクライアント側のパラメータをサーバー側に渡せます。
# app/channels/chat_channel.rb class ChatChannel < ApplicationCable::Channel def subscribed stream_from "chat_#{params[:room]}" end end
subscriptions.create
に第1引数として渡されるオブジェクトは、そのAction Cableチャネルのparamsハッシュになります。キーワードchannel
は必須です。
// app/javascript/channels/chat_channel.js import consumer from "./consumer" consumer.subscriptions.create({ channel: "ChatChannel", room: "Best Room" }, { received(data) { this.appendLine(data) }, appendLine(data) { const html = this.createLine(data) const element = document.querySelector("[data-chat-room='Best Room']") element.insertAdjacentHTML("beforeend", html) }, createLine(data) { return ` <article class="chat-line"> <span class="speaker">${data["sent_by"]}</span> <span class="body">${data["body"]}</span> </article> ` } })
# このコードはアプリケーションのどこか(NewCommentJobあたり)で呼び出される ActionCable.server.broadcast( "chat_#{room}", { sent_by: 'Paul', body: 'This is a cool chat app.' } )
あるクライアントから、接続している別のクライアントに、メッセージを再ブロードキャストすることはよくあります。
# app/channels/chat_channel.rb class ChatChannel < ApplicationCable::Channel def subscribed stream_from "chat_#{params[:room]}" end def receive(data) ActionCable.server.broadcast("chat_#{params[:room]}", data) end end
// app/javascript/channels/chat_channel.js import consumer from "./consumer" const chatChannel = consumer.subscriptions.create({ channel: "ChatChannel", room: "Best Room" }, { received(data) { // data => { sent_by: "Paul", body: "This is a cool chat app." } } }) chatChannel.send({ sent_by: "Paul", body: "This is a cool chat app." })
再ブロードキャストは、送信元クライアント自身も含め、接続しているすべてのクライアントで受信されます。paramsは、チャネルをサブスクライブするときと同じである点にご注意ください。
以下の設定手順は、2つの例で共通です。
これは、ユーザーがオンラインかどうか、ユーザーがどのページを開いているかという情報を追跡するチャネルの簡単な例です(オンラインユーザーの横に緑の点を表示する機能を作成する場合などに便利です)。
サーバー側のアピアランスチャネルを作成します。
# app/channels/appearance_channel.rb class AppearanceChannel < ApplicationCable::Channel def subscribed current_user.appear end def unsubscribed current_user.disappear end def appear(data) current_user.appear(on: data['appearing_on']) end def away current_user.away end end
サブスクリプションが開始されると、subscribed
コールバックがトリガーされ、そのユーザーがオンラインであることが示されます。このアピアランスAPIをRedisやデータベースなどと連携することも可能です。
クライアント側のアピアランスチャネルを作成します。
// app/javascript/channels/appearance_channel.js import consumer from "./consumer" consumer.subscriptions.create("AppearanceChannel", { // サブスクリプション作成時に1度呼び出される initialized() { this.update = this.update.bind(this) }, // サブスクリプションがサーバーで利用可能になると呼び出される connected() { this.install() this.update() }, // WebSocket接続がクローズすると呼び出される disconnected() { this.uninstall() }, // サブスクリプションがサーバーで却下されると呼び出される rejected() { this.uninstall() }, update() { this.documentIsActive ? this.appear() : this.away() }, appear() { // サーバーの`AppearanceChannel#appear(data)`を呼び出す this.perform("appear", { appearing_on: this.appearingOn }) }, away() { // サーバーの`AppearanceChannel#away`を呼び出す this.perform("away") }, install() { window.addEventListener("focus", this.update) window.addEventListener("blur", this.update) document.addEventListener("turbo:load", this.update) document.addEventListener("visibilitychange", this.update) }, uninstall() { window.removeEventListener("focus", this.update) window.removeEventListener("blur", this.update) document.removeEventListener("turbo:load", this.update) document.removeEventListener("visibilitychange", this.update) }, get documentIsActive() { return document.visibilityState === "visible" && document.hasFocus() }, get appearingOn() { const element = document.querySelector("[data-appearing-on]") return element ? element.getAttribute("data-appearing-on") : null } })
クライアントは、サーバーにcreateConsumer()
経由で接続する(consumer.js
)。サーバーは、このコネクションをcurrent_user
で識別する。
クライアントは、アピアランスチャネルにconsumer.subscriptions.create({ channel: "AppearanceChannel" })
経由で接続する(appearance_channel.js
)。
サーバーは、アピアランスチャネル向けに新しいサブスクリプションを開始したことを認識し、サーバーのsubscribed
コールバックを呼び出し、current_user
のappear
メソッドを呼び出す(appearance_channel.rb
)。
クライアントは、サブスクリプションが確立したことを認識し、connected
を呼び出す(appearance_channel.js
)。これにより、install
とappear
が呼び出される。appear
はサーバーのAppearanceChannel#appear(data)
を呼び出して{ appearing_on: this.appearingOn }
のデータハッシュを渡す。なお、この動作が可能なのは、クラスで宣言されている(コールバックを除く)全パブリックメソッドが、サーバー側のチャネルインスタンスから自動的に公開されるからです。公開されたパブリックメソッドは、サブスクリプションでperform
メソッドを使うとRPC(リモートプロシージャコール)として利用できます。
サーバーは、current_user
で認識したコネクションのアピアランスチャネルで、appear
アクションへのリクエストを受信する(appearance_channel.rb
)。サーバーは:appearing_on
キーを使ってデータをデータハッシュから取り出し、
current_user.appear
に渡される:on
キーの値として設定する。
この例では、WebSocketコネクションを使って、クライアントの機能をサーバーからリモート実行するときのアピアランスを扱います。WebSocketでは双方向通信を利用できます。そこで、例としてサーバーからクライアントでアクションを起動してみましょう。
このWeb通知チャネルは、関連するストリームにブロードキャストを行ったときに、クライアント側でWeb通知を表示します。
サーバー側のWeb通知チャネルを作成します。
# app/channels/web_notifications_channel.rb class WebNotificationsChannel < ApplicationCable::Channel def subscribed stream_for current_user end end
クライアント側のWeb通知チャネルを作成します。
// app/javascript/channels/web_notifications_channel.js // クライアント側では、サーバーからWeb通知の送信権を // リクエスト済みであることが前提 import consumer from "./consumer" consumer.subscriptions.create("WebNotificationsChannel", { received(data) { new Notification(data["title"], { body: data["body"] }) } })
以下のように、アプリケーションのどこからでもWeb通知チャネルのインスタンスにコンテンツをブロードキャストできます。
# このコードはアプリケーションのどこか(NewCommentJobあたり)で呼び出される WebNotificationsChannel.broadcast_to( current_user, title: '新着情報!', body: '印刷しておきたいニュース記事リスト' )
WebNotificationsChannel.broadcast_to
呼び出しでは、現在のサブスクリプションアダプタのpub/subキューにメッセージを設定します。ユーザーごとに異なるブロードキャスト名が使われます。idが1のユーザーなら、ブロードキャスト名はweb_notifications:1
のようになります。
このチャネルは、web_notifications:1
で受信したものすべてをreceived
コールバック呼び出しでクライアントに直接ストリーミングするようになります。引数として渡されるデータは、サーバー側のブロードキャスト呼び出しに第2パラメータとして渡されたハッシュです。このハッシュはJSONでエンコードされ、received
として受信したデータ引数から取り出されます。
RailsアプリケーションにAction Cableを設定する方法や、チャネルの追加方法の完全な例については、rails/actioncable-examples を参照してください。
Action Cableで必須となる設定は、「サブスクリプションアダプタ」と「許可されたリクエスト送信元」の2つです。
Action Cableは、デフォルトでconfig/cable.yml
の設定ファイルを利用します。Railsの環境ごとに、アダプタとURLを1つずつ指定する必要があります。アダプタについて詳しくは、依存関係を参照してください。
development: adapter: async test: adapter: test production: adapter: redis url: redis://10.10.3.153:6381 channel_prefix: appname_production
以下は、エンドユーザー向けに利用できるサブスクリプションアダプタの一覧です。
async
アダプタはdevelopment環境やtest環境で利用するためのものなので、production環境では使わないでください。
Redisアダプタでは、Redisサーバーを指すURLを指定する必要があります。
また、複数のアプリケーションが同一のRedisサーバーを用いる場合は、チャネル名衝突を避けるためにchannel_prefix
の指定が必要になることもあります。詳しくはRedis Pub/Subドキュメントを参照してください。
RedisアダプタではSSL/TLS接続もサポートされています。SSL/TLS接続に必要なパラメータは、設定用yamlファイルのssl_params
で指定できます(注: rediss://
はRedisのHTTPS接続を表します)。
production: adapter: redis url: rediss://10.10.3.153:tls_port channel_prefix: appname_production ssl_params: { ca_file: "/path/to/ca.crt" }
ssl_params
オプションに渡したパラメータはOpenSSL::SSL::SSLContext#set_params
メソッドに直接渡され、SSLコンテキストで有効な任意の属性を指定できます。その他に利用可能な属性名についてはOpenSSL::SSL::SSLContext
ドキュメントを参照してください。
ファイアウォールの内側にあるRedisアダプタ用の自己署名証明書を使うときに、証明書のチェックをスキップしたい場合は、SSLのverify_mode
にOpenSSL::SSL::VERIFY_NONE
を指定します。
セキュリティ上の影響を完全に理解するまでは、Redisアダプタの設定でVERIFY_NONE
を指定することはおすすめできません(その場合の設定はssl_params: { verify_mode: <%= OpenSSL::SSL::VERIFY_NONE %> }
になります)。
PostgreSQLアダプタはActive Recordコネクションプールを利用するため、アプリケーションのデータベース設定ファイル(config/database.yml
)でコネクションを設定します。これについては将来変更される可能性があります(#27214)。
Action Cableは、指定されていない送信元からのリクエストを受け付けません。送信元リストは、配列の形でサーバー設定に渡します。送信元リストには文字列のインスタンスや正規表現を利用でき、これに対して一致するかどうかがチェックされます。
config.action_cable.allowed_request_origins = ['https://rubyonrails.com', %r{http://ruby.*}]
すべての送信元からのリクエストを許可または拒否するには、以下を設定します。
config.action_cable.disable_request_forgery_protection = true
デフォルトでは、development環境で実行中のAction Cableは、localhost:3000からのすべてのリクエストを許可します。
URLを設定するには、HTMLレイアウトのHEADセクションにaction_cable_meta_tag
呼び出しを追加します。通常、環境の設定ファイルconfig.action_cable.url
で設定されたURLかパスを指定します。
ワーカープールは、サーバーのメインスレッドから隔離された状態でコネクションのコールバックやチャネルのアクションを実行するために用いられます。Action Cableでは、アプリケーションのワーカープール内で同時に処理されるスレッド数を次のように設定できます。
config.action_cable.worker_pool_size = 4
サーバーが提供するデータベースコネクション数は、少なくとも利用するワーカー数と同じでなければならない点にもご注意ください。デフォルトのワーカープールサイズは4に設定されているので、データベースコネクション数は少なくとも4以上を確保しなければなりません。この設定はconfig/database.yml
のpool
属性で変更できます。
クライアント側のログ出力はデフォルトで無効になります。以下のようにActionCable.logger.enabled
にtrue
を設定することで、クライアントログ出力有効にできます。
import * as ActionCable from '@rails/actioncable' ActionCable.logger.enabled = true
その他によく使われるオプションとして、コネクションごとのロガーにタグを保存するオプションがあります。以下の例は、ユーザーアカウントidがある場合はそれをタグ名にし、ない場合は「no-account」をタグ名にします。
config.action_cable.log_tags = [ -> request { request.env['user_account_id'] || "no-account" }, :action_cable, -> request { request.uuid } ]
利用可能なすべての設定オプションについては、ActionCable::Server::Configuration
クラスを参照してください。
Action Cableは、Railsアプリケーションの一部として実行することも、スタンドアロンサーバーとして実行することも可能です。development環境ではRailsアプリケーションの一部として実行するのが一般的ですが、production環境ではスタンドアロンとして実行すべきです。
Action CableはRailsアプリケーションと一緒に実行できます。たとえば、/websocket
でWebSocketリクエストをリッスンするには、以下のようにconfig.action_cable.mount_path
にパスを指定します。
# config/application.rb class Application < Rails::Application config.action_cable.mount_path = '/websocket' end
レイアウトでaction_cable_meta_tag
が呼び出されると、ActionCable.createConsumer()
でAction Cableサーバーに接続できるようになります。それ以外の場合は、パスがcreateConsumer
の最初の引数として指定されます(例: ActionCable.createConsumer("/websocket")
)。
この場合、サーバーのインスタンスを作成するたびに、およびサーバーがワーカーを生成するたびに、Action Cableの新しいインスタンスも含まれます。RedisやPostgreSQLのアダプタは、コネクション間でメッセージを同期します。
アプリケーションサーバーとAction Cableサーバーを分けることもできます。Action Cableサーバーは引き続きRackアプリケーションのまま、独自のRackアプリケーションとなります。推奨される基本設定は次のとおりです。
# cable/config.ru require_relative "../config/environment" Rails.application.eager_load! run ActionCable.server
続いて、サーバーを起動します。
#!/bin/bash bundle exec puma -p 28080 cable/config.ru
これで、Action Cableサーバーがポート28080で起動します。Railsにこのサーバーを使うように指示するには、設定を以下のように更新します。
# config/environments/development.rb Rails.application.configure do config.action_cable.mount_path = nil config.action_cable.url = "ws://localhost:28080" # productionではwss://を使うこと end
最後に、コンシューマーが正しく設定済みであることを確認してください。
WebSocketサーバーはセッションにアクセスできませんが、cookieにはアクセスできます。これを利用して認証を処理できます。ブログ記事「Action CableとDeviseでの認証(英語)」を参照してください。
Action Cableは、pub/subの内部を処理するためのサブスクリプションアダプタインターフェイスを提供します。デフォルトで利用できるアダプタは「非同期」「インライン」「PostgreSQL」「Redis」などです。新規Railsアプリケーションのアダプタは、デフォルトで非同期(async
)アダプタになります。
Ruby側は、websocket-driver、 nio4r、concurrent-rubyの上に構築されています。
Action Cableは、WebSocketとスレッドの組み合わせによって支えられています。フレームワーク内部のフローや、ユーザー指定のチャネルの動作は、Rubyのネイティブスレッドによって処理されます。すなわち、スレッドセーフを損なわない限り、Railsの既存のモデルはすべて問題なく利用できます。
Action CableサーバーはRackのソケットハイジャックAPIを実装しているので、アプリケーションサーバーがマルチスレッドであるかどうかにかかわらず、内部のコネクションをマルチスレッドパターンで管理できます。
これによって、Action Cableは、Unicorn、Puma、Passengerなどの有名なサーバーと問題なく対応できます。
Action Cableで作成した機能のテスト方法について詳しくは、テスティングガイドを参照してください。
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