本ガイドでは、バックグラウンドで実行するジョブの作成、キューへの登録(enqueue: エンキュー)、実行方法について解説します。
このガイドの内容:
RailsのActive Jobフレームワークを利用すると、バックグラウンドジョブを定義して、キューイングバックエンド上で実行できます。メール送信、データ処理、定期的なメンテナンス作業などの一般的な非同期タスクに、高レベルな統一インターフェースを提供します。
バックグラウンドジョブの目的は、処理に時間がかかるタスクや即時性が求められないタスクをHTTPリクエスト/レスポンスのサイクルから切り離して、バックグラウンドキュー(デフォルトのSolid Queueなど)へ移行させることで、Webリクエストの処理を高速・軽快に保つことです。 アプリケーションでこうした処理を分離することで、タスクを非同期に実行することも、バックグラウンド処理を独立して大規模化することも、ユーザー操作を妨げずに複数のタスクを並列処理することも可能になります。
本セクションでは、ジョブ用のRubyクラスを定義してperform_*メソッドでバックグラウンド実行する処理をキューに登録(enqueue: エンキュー)する方法を、手順を追って説明します。
Active Jobは、ジョブ作成用のRailsジェネレータを提供しています。以下を実行すると、app/jobs/ディレクトリの下にジョブが1件作成されます(テストファイルはtest/jobs/ディレクトリの下に作成されます)。
$ bin/rails generate job guests_cleanup invoke test_unit create test/jobs/guests_cleanup_job_test.rb create app/jobs/guests_cleanup_job.rb
ジェネレータを使いたくない場合は、app/jobs/ディレクトリの下に自分でジョブファイルを定義できます。そのジョブファイルでApplicationJobクラスを継承します。
作成されたジョブは以下のようになります。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob queue_as :default def perform(*guests) # 後で実行するタスクをここに置く end end
ジョブクラス内のperformメソッドには、引数をいくつでも定義できます。
アプリケーションでApplicationJob以外の抽象ジョブ基底クラスを独自に使っている場合は、ジェネレータの--parentオプションを利用できます。このオプションで指定する親クラスはApplicationJobを継承している必要があります。これは、関連する機能を一箇所にまとめる際に役立ちます。
たとえば、以下のようにqueue_asを使うカスタム抽象クラスを作成したとします。
class PaymentJob < ApplicationJob queue_as :payments end
以下のコマンドで、このPaymentJobクラスを継承する新しいジョブを作成できます。
$ bin/rails generate job process_payment --parent=payment_job
paymentsキューを使う以下のジョブクラスを作成できます。
class ProcessPaymentJob < PaymentJob def perform(*args) # 後で"payments"キューを用いて何かを処理する end end
perform_*メソッドを呼び出すジョブクラスを作成してperformメソッドを定義したら、通常は、キューイングバックエンドで実行するジョブをperform_laterメソッドでジョブキューに登録します。ジョブをキューに登録せずに直ちに実行したい場合は、perform_nowメソッドを使います。どちらのメソッドも、内部でperformメソッドを呼び出します。
以下の例にあるメソッドは、Railsアプリケーション内のどこからでも呼び出せますが、一般的にはコントローラ、モデル、または他のジョブから呼び出します。
# ジョブをキューに登録せずに即座に実行する GuestsCleanupJob.perform_now(guest) # ジョブをキューに登録して後で実行する GuestsCleanupJob.perform_later(guest)
ジョブを実行するタイミングを正確に指定するには、setメソッドを使います。
# 明日正午に実行したいジョブをキューに登録する GuestsCleanupJob.set(wait_until: Date.tomorrow.noon).perform_later(guest) # 一週間後に実行したいジョブをキューに登録する GuestsCleanupJob.set(wait: 1.week).perform_later(guest)
perform_nowやperform_laterに渡した引数はperformに転送されるので、キーワード引数を含め、performで定義された通りの引数をいくつでも渡せます。
GuestsCleanupJob.perform_later(guest1, guest2, filter: "some_filter")
ユーザーへのメール送信は、現代のWebアプリケーションでごく一般的な処理のひとつです。Active Jobを使えば、メール送信をリクエスト/レスポンスのサイクルから切り離せるので、ユーザーはメール送信の完了を待たずに済みます。Active JobはAction Mailerと統合されているので、メールを手軽に非同期送信できます。
# メールを即時送信したい場合は #deliver_now を使う UserMailer.welcome(@user).deliver_now # メールを後で非同期送信したい場合は、#deliver_later を使う UserMailer.welcome(@user).deliver_later
deliver_nowやdeliver_laterメソッドは、Action Mailerにおけるperform_nowやperform_laterに相当するメソッドです。deliver_laterは、内部的にはRails標準のActive JobであるActionMailer::MailDeliveryJobをキューに登録する形で動作します。登録されたジョブは、ユーザーが独自に定義したジョブと同様のキューイングパイプラインを経由し、最終的にJobクラスのperformメソッドを呼び出します。
Active Jobの引数では、デフォルトで以下の型をサポートします。
NilClass、String、Integer、Float、BigDecimal、TrueClass、FalseClass)SymbolDateTimeDateTimeActiveSupport::TimeWithZoneActiveSupport::DurationHash(キーの型はStringかSymbolにすること)ActiveSupport::HashWithIndifferentAccessArrayRangeModuleClassActive JobではGlobalIDが引数としてサポートされています。 GlobalIDを使えば、動作中のActive Recordオブジェクトをジョブに渡す際にクラスとidを指定する必要がなくなります。クラスとidを指定する従来の方法では、後で明示的にデシリアライズ(deserialize)する必要がありました。
従来のジョブが以下のようなものだったとします。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob def perform(guests_class, guests_id, depth) guests = guests_class.constantize.find(guests_id) guest.cleanup(depth) end end
GlobalIDを使うと以下のようにシンプルに書けます。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob def perform(guest, depth) guest.cleanup(depth) end end
このコードは、GlobalID::Identificationをミックスインするすべてのクラスで動作します。このモジュールはActive Recordクラスにデフォルトでミックスインされます。
カスタム型用のシリアライザを定義することで、サポートされる引数の型のリストを拡張できます。シリアライザには、serialize、deserialize、klassという3つのメソッドが必要です。
serializeメソッドは、サポートされている型だけを用いて、オブジェクトをより単純な表現に変換します。推奨される方法は、以下のように文字列をキーとするHashを渡してsuperを呼び出し、Active Jobにシリアライザの型情報をマージさせる方法です。
# app/serializers/money_serializer.rb class MoneySerializer < ActiveJob::Serializers::ObjectSerializer def serialize(money) super( "amount" => money.amount, "currency" => money.currency ) end def deserialize(hash) Money.new(hash["amount"], hash["currency"]) end def klass Money end end
deserializeメソッドは、そのハッシュを受け取り、元のオブジェクトを復元します。
klassメソッドは、このシリアライザが扱うクラスを返します。
これにより、Active Jobは特定の引数に対してどのシリアライザを適用すべきかを判断できるようになります。
定義したシリアライザは、Railsが認識するシリアライザのリストに追加する必要があります。
# config/initializers/custom_serializers.rb Rails.application.config.active_job.custom_serializers << MoneySerializer
カスタムActive Jobシリアライザは、アプリケーションの初期化時に登録されることと、プロセスの持続期間を通じて安定して存在し続けることが想定されています。そのため、再読み込み可能なオートロード機能でのシリアライザ登録はサポートされていません。
シリアライザが一度だけ読み込まれるようにするには(development環境での再読み込みを防ぐため)、autoload_once_pathsに含まれるディレクトリ(以下のような場所)に配置してください。
# config/application.rb module YourApp class Application < Rails::Application config.autoload_once_paths << "#{root}/app/serializers" end end
Active Jobのqueue_asを使うと、特定のキュー名を指定してジョブをスケジューリングできます。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob queue_as :low_priority # ... end
ジェネレータを使う場合は、以下のように--queueオプションを指定して、特定のキューで実行されるジョブファイルを生成することも可能です。
$ bin/rails generate job guests_cleanup --queue low_priority
以下のようにconfig.active_job.queue_name_prefixをapplication.rbで設定すると、すべてのジョブで特定の文字列をキュー名の前に追加(プレフィックス)できます。
# config/application.rb module YourApp class Application < Rails::Application config.active_job.queue_name_prefix = Rails.env end end
# app/jobs/guests_cleanup_job.rb class GuestsCleanupJob < ApplicationJob queue_as :low_priority # ... end
これで、ジョブはproduction環境ではproduction_low_priorityキューで、staging環境ではstaging_low_priorityキューで実行されるようになります。
プレフィックスをジョブ単位で設定することも可能です。
# グローバルなプレフィックスを上書きして、このジョブのキュー名にプレフィックスが付かないようにする class GuestsCleanupJob < ApplicationJob queue_as :low_priority self.queue_name_prefix = nil # ... end
キュー名のプレフィックスのデフォルト区切り文字はアンダースコア_です。
この区切り文字は、application.rbのconfig.active_job.queue_name_delimiter設定で変更できます。
# config/application.rb module YourApp class Application < Rails::Application config.active_job.queue_name_prefix = Rails.env config.active_job.queue_name_delimiter = "." end end
# app/jobs/guests_cleanup_job.rb class GuestsCleanupJob < ApplicationJob queue_as :low_priority # ... end
これでキュー名はproduction.low_priorityまたはstaging.low_priorityになります。
キュー名をジョブごとに変更するには、queue_asにブロックを渡します。このブロックはジョブのコンテキストで実行され(そのためself.argumentsにアクセスできます)、戻り値はキュー名でなければなりません。
class ProcessVideoJob < ApplicationJob queue_as do video = self.arguments.first if video.owner.premium? :premium_videojobs else :videojobs end end def perform(video) # 動画を処理する end end
last_video = Video.last ProcessVideoJob.perform_later(last_video)
ジョブを実行するキュー名をより細かく制御したい場合は、setメソッドに:queueオプションを渡せます。
MyJob.set(queue: :another_queue).perform_later(record)
キューに名前を与えるときに、レイテンシ(待ち時間)を基準にするという方法も考えられます。たとえば、「critical」「default」「low」といった名前の代わりに、「within_30_seconds」(30秒以内)、「within_5_minutes」(5分以内)、「within_1_hour」(1時間以内)といった名前を付けられます。特定のキューでジョブが規定時間を超えて滞留した場合にエンジニアリングチームへ通知するようキューイングバックエンドを設定すれば、この命名を一種の契約のように徹底できます。
Solid Queue以外のキューイングバックエンドを使う場合は、リッスンするキュー名を指定する必要が生じることもあります。
優先度(priority)を指定してジョブをスケジューリングするには、queue_with_priorityメソッドを使います。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob queue_with_priority 10 # ... end
デフォルトのキューイングバックエンドであるSolid Queueは、キューの順序に基づいてジョブの優先順位を決定します。Solid Queueでキューの順序と優先度オプションを両方使っている場合は、キューの順序が優先され、優先度オプションは各キューの内部でのみ適用されます。
Solid Queue以外のキューイングバックエンドでは、ジョブを同じキュー内や複数のキュー間の他のジョブと比較する形で優先度を指定できる場合があります。詳しくは、利用するバックエンドのドキュメントを参照してください。
以下のようにqueue_with_priorityにブロックを渡すことで、queue_asの場合と同様にブロックをジョブコンテキストで評価することも可能です。
class ProcessVideoJob < ApplicationJob queue_with_priority do video = self.arguments.first if video.owner.premium? 0 else 10 end end def perform(video) # 動画を処理する end end
last_video = Video.last ProcessVideoJob.perform_later(last_video)
以下のようにsetメソッドに:priorityオプションを渡すことも可能です。
MyJob.set(priority: 50).perform_later(record)
優先度の数値が小さいジョブが、数値の大きいジョブよりも先に実行されるか後に実行されるかは、アダプタの実装によって異なります。詳しくは、利用しているバックエンドのドキュメントを参照してください。アダプタの作成者は、「番号が小さいほど重要度が高い」という慣例に沿うことが推奨されます。
perform_all_laterを使うことで、複数のジョブをキューに一括登録(bulk enqueue: バルクエンキュー)できます。一括登録により、Redisやデータベースなどのキューデータストアとの通信の往復回数を減らせるので、同じジョブを個別に登録するよりもパフォーマンスが向上します。
perform_all_laterメソッドは、インスタンス化されたジョブを引数として受け取り(引数がperform_laterと異なる点に注意)、内部でperformを呼び出します。ジョブのインスタンスを生成するときにnewへ渡された引数は、最終的にperformが呼び出されるときにそのままperformへ渡されます。
# `perform_all_later`に渡すジョブを作成する # この`new`に渡した引数は`perform`に渡される cleanup_jobs = Guest.all.map { |guest| GuestsCleanupJob.new(guest) } # `GuestsCleanupJob`の個別のインスタンスごとにジョブをキューに登録する ActiveJob.perform_all_later(cleanup_jobs) # `set`メソッドでオプションを設定してからジョブを一括登録してもよい cleanup_jobs = Guest.all.map { |guest| GuestsCleanupJob.new(guest).set(wait: 1.day) } ActiveJob.perform_all_later(cleanup_jobs)
perform_all_laterを呼び出すと、正常にエンキューされたジョブの個数をログ出力します。
たとえば、上のGuest.all.mapの結果cleanup_jobsが3個になった場合、Enqueued 3 jobs to Async (3 GuestsCleanupJob)とログ出力されます(エンキューがすべて成功した場合)。
perform_all_laterの戻り値はnilです。これは、perform_laterの戻り値が、エンキューされたジョブクラスのインスタンスであるのと異なる点にご注意ください。
perform_all_laterを使えば、同じ呼び出しでさまざまなActive Jobクラスのインスタンスを以下のようにエンキューすることも可能です。
class ExportDataJob < ApplicationJob def perform(*args) # データをエクスポートする end end class NotifyGuestsJob < ApplicationJob def perform(*guests) # ゲストにメールを送信する end end # ジョブインスタンスをインスタンス化する cleanup_job = GuestsCleanupJob.new(guest) export_job = ExportDataJob.new(data) notify_job = NotifyGuestsJob.new(guest) # さまざまなクラスのジョブインスタンスをまとめてキューに登録する ActiveJob.perform_all_later(cleanup_job, export_job, notify_job)
perform_all_laterでジョブをキューに一括登録すると、個別のジョブではaround_enqueueなどのコールバックがトリガーされません。この振る舞いは、Active Recordの他の一括処理系メソッドと一貫しています。コールバックは個別のジョブに対して個々に実行されるので、perform_all_laterメソッドが持つ一括処理の性質の恩恵を受けられません。
ただし、perform_all_laterメソッドは、ActiveSupport::Notificationsでサブスクライブできるenqueue_all.active_jobイベントをトリガーします。
ジョブのキュー登録が成功したかどうかを知るには、successfully_enqueued?メソッドを利用できます。
perform_all_laterによるキューへの一括登録(バルクエンキュー)は、キューバックエンド側でのサポートが必要です。デフォルトのキューバックエンドであるSolid Queueは、enqueue_allで一括登録をサポートします。
Sidekiqなどの他のバックエンドにはpush_bulkメソッドがあります。Sidekiqアダプタはこれを内部で利用して大量のジョブをRedisにプッシュし、ネットワークのラウンドトリップ遅延を防いでいます。GoodJobもGoodJob::Bulk.enqueueメソッドで一括登録をサポートします。
キューへの一括登録がキューバックエンドでサポートされて「いない」場合、perform_all_laterはジョブを1件ずつキューに登録します。
Active Jobが提供するフックを用いて、ジョブのライフサイクル中にロジックをトリガーできます。これらのコールバックは、Railsの他のコールバックと同様に通常のメソッドとして実装し、クラスレベルのメソッドでコールバックとして登録できます。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob queue_as :default around_perform :around_cleanup def perform # 後で実行するタスクをここに置く end private def around_cleanup # performの直前に何か実行 yield # performの直後に何か実行 end end
このクラスレベルのメソッドは、ブロックも受け取れます。ブロック内のコード量が1行以内に収まるほど少ない場合は、この書き方が適しています。 たとえば、登録されたジョブごとの測定値を送信する場合は次のようにします。
class ApplicationJob < ActiveJob::Base before_enqueue { |job| Rails.logger.info "Enqueuing #{job.class.name}" } end
Active Jobではさまざまなコールバックがサポートされています。
before_enqueue: ジョブがキューに登録される直前に実行されます。around_enqueue: キュー登録処理をラップし、キュー登録の直前と直後にロジックを実行します。after_enqueue: ジョブがキューに登録された直後に実行されます。利用例:
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob before_enqueue { |job| Rails.logger.info "About to enqueue #{job.class.name}" } around_enqueue { |job, block| block.call } after_enqueue { |job| Rails.logger.info "Successfully enqueued #{job.class.name}" } end
before_perform: ジョブが実行される直前に実行されます。around_perform: ジョブの実行処理をラップし、実行の直前と直後にロジックを実行します。after_perform: ジョブが実行された直後に実行されます。利用例:
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob before_perform { |job| Rails.logger.info "About to perform #{job.class.name}" } around_perform { |job, block| block.call } after_perform { |job| Rails.logger.info "#{job.class.name} performed successfully" } end
最後に、after_discardコールバックは、未処理の例外によってジョブが破棄されたときに実行されます。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob after_discard { |job, exception| Rails.logger.error "#{job.class.name} discarded: #{exception.message}" } end
ジョブをperform_all_laterで一括登録する場合、個々のジョブに対してaround_enqueueなどのコールバックは実行されない点にご注意ください。詳しくは一括登録のコールバックを参照してください。
:abortをスローすることで、コールバックチェインを停止できます。これは、Active Recordやその他のRailsコールバックと同様に動作します。たとえば、条件に基づいてジョブがエンキューされるのを阻止するには、以下のように書きます。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob before_enqueue do |job| throw :abort if ENV.fetch("DISABLE_GUESTS_CLEANUP_JOB", true) end def perform(guest) # ... end end
:abortがbefore_enqueueコールバックの実行中にスローされると、ジョブはキューに登録されず、perform_laterはfalseを返します。
:abortがbefore_performコールバックの実行中にスローされた場合、ジョブは実行されません。また、以後のbefore_*、around_*、after_*コールバックの実行もすべてスキップされます。
:abortをスローしてもafter_discardはトリガーされません。after_discardコールバックは、特別にdiscard_onメカニズムと連動します。
Active Jobのジョブ継続(continuation)機能を使うと、ジョブを再開可能なステップに分割できるので、長時間実行されるジョブが中断されても処理を先に進められます。継続機能を使うと、ジョブは最後に完了したステップから自動的に再開されるため、最初からやり直す必要がなくなります。
ジョブの継続機能を使うには、ActiveJob::Continuableモジュールをジョブクラスにincludeします。次に、performメソッド内でstepメソッドを使って各ステップを定義できます。
class ProcessImportJob < ApplicationJob include ActiveJob::Continuable def perform(import_id) # 常にジョブ開始時に実行される(中断されたステップから再開する場合でも実行される) @import = Import.find(import_id) # ステップをブロックで定義する場合 step :initialize do @import.initialize end step :process do @import.records.find_each { |record| record.process } end # メソッドを参照してステップを定義する場合 step :finalize end private def finalize @import.finalize end end
各ステップはブロックで宣言することも、メソッド名を参照して宣言することも可能です。ブロックが呼び出される際には、ステップオブジェクトが引数として渡されます。メソッドは、引数を取らないか、ステップオブジェクトを単独の引数として受け取るかのどちらかになります。
個別のステップは、実行時に到達した時点で直ちに実行されます。ステップに含まれていないコードは、ジョブが実行されるたびに実行されます。ジョブが中断された場合、すでに完了したステップはスキップされます。実行中だったステップは、最初からやり直されるか、カーソルを使っている場合は最後に記録されたカーソル位置から再開されます。
ステップでオプションのカーソルを利用することで、ステップ「内」の進捗状況をトラッキングすることも可能です。中断後にカーソルを利用して適切な箇所から処理を再開するのは、ステップ内のコードの責務です。
例:
class ProcessImportJob < ApplicationJob include ActiveJob::Continuable def perform(import_id) # 常にジョブ開始時に実行される(中断されたステップから再開する場合でも実行される) @import = Import.find(import_id) # ステップでカーソルを利用する step :process do |step| @import.records.find_each(start: step.cursor) do |record| record.process step.advance! end end end end
上の例では、カーソルは正常に処理された最後のレコードのidをトラッキングします。大規模なインポートの実行中にジョブが中断された場合、保存したカーソル値をfind_eachに渡すことで、最初からレコードを再処理せずに、中断した箇所から処理を再開するようになります。
Solid Queueは、Active Job向けのデータベースバックエンド型キューシステムであり、Rails 8.0以降のデフォルトのキューバックエンドです。Redisのような専用インフラストラクチャを別途必要とせず、既存のデータベースでジョブの永続化と処理を行います。Solid Queueは、ジョブの遅延実行、優先度設定、コンカレンシー制御、定期実行タスク、ジョブの一括登録などの機能もサポートしています。
production環境では、Solid Queueがデフォルトで設定されています。たとえば、config/environments/production.rbファイルを開くと、以下のような設定が確認できます。
# config/environments/production.rb # Replace the default in-process and non-durable queuing backend for Active Job. config.active_job.queue_adapter = :solid_queue config.solid_queue.connects_to = { database: { writing: :queue } }
さらに、queueデータベースへの接続はconfig/database.ymlファイルで設定されています。
# config/database.yml
# Store production database in the storage/ directory, which by default
# is mounted as a persistent Docker volume in config/deploy.yml.
production:
primary:
<<: *default
database: storage/production.sqlite3
queue:
<<: *default
database: storage/production_queue.sqlite3
migrations_paths: db/queue_migrate
データベース設定のqueueキーは、config.solid_queue.connects_to設定で使われているキーと一致しなければなりません(前述のコードスニペットを参照)。
Solid Queueの利用を開始するには、db:prepareを実行して、Solid Queue関連のテーブルをデータベースに作成します。
$ bin/rails db:prepare
queueデータベースのスキーマは、自動生成されるdb/queue_schema.rbで参照できます。ここにはsolid_queue_jobs、solid_queue_recurring_executions、solid_queue_scheduled_executionsなどのテーブルが含まれています。
最後に、キューを起動してジョブの処理を開始するには、以下のコマンドを実行します。
$ bin/jobs start
Railsは、インプロセスの非同期キューイングシステムを提供し、ジョブをメモリ上に保持します。development環境のデフォルトのasyncアダプタは、プロセスがクラッシュしたり開発中のコンピュータがリセットされたりすると、未処理のジョブがすべて失われますが、開発中の重要度の低いジョブについては、これで十分です。
development環境でもSolid Queueを利用できます。設定方法はproduction環境の場合と同じです。
# config/environments/development.rb config.active_job.queue_adapter = :solid_queue config.solid_queue.connects_to = { database: { writing: :queue } }
development環境用のデータベース設定にqueueを以下のように追加します。
# config/database.yml
development:
primary:
<<: *default
database: storage/development.sqlite3
queue:
<<: *default
database: storage/development_queue.sqlite3
migrations_paths: db/queue_migrate
Solid Queueでは、以下の3種類のプロセスによってジョブのキューイングと実行を処理しています。
ワーカー(worker): 実行準備が整ったジョブをキューからポーリングで見つけ、実行します。
ディスパッチャ(dispatcher): スケジュールされたジョブを処理します。これから実行される予定のジョブをチェックして準備完了キューに移動し、ワーカーが処理できるようにします。
スーパバイザ(supervisor): ワーカーとディスパッチャをforkして監視する形で両者を管理します。
bin/jobs startを実行すると、スーパバイザプロセスが起動します。スーパバイザは、config/queue.ymlの設定に従ってワーカーとディスパッチャをforkして管理します。
デフォルト設定の例を以下に示します。
# config/queue.yml
default: &default
dispatchers:
- polling_interval: 1
batch_size: 500
workers:
- queues: "*"
threads: 3
processes: <%= ENV.fetch("JOB_CONCURRENCY", 1) %>
polling_interval: 0.1
config/queue.ymlの設定は必須ではありません。設定が指定されていない場合、Solid Queueはデフォルト設定のまま、1つのディスパッチャと1つのワーカーで動作します。
以下に、設定可能なオプションとそのデフォルト値をいくつか示します。
polling_interval: ディスパッチャやワーカーが次のジョブをチェックするまでの待ち時間を秒で指定します。
ディスパッチャのデフォルト値は1秒、ワーカーのデフォルト値は0.1秒です。
batch_size: 1回のバッチでディスパッチされるジョブの件数です。
デフォルト値は500です。
concurrency_maintenance_interval: ディスパッチャがブロックされたジョブを解除できるかどうかを確認するまでの待ち時間を秒で指定します。
デフォルト値は600秒です。
queues: ワーカーがジョブを取得するキューのリストを指定します。
*を使って、すべてのキューまたはキュー名のプレフィックスを指定できます。
デフォルト値は*です。
threads: 各ワーカーのスレッドプールの最大サイズを指定します。
ワーカーが1回に取得するジョブの件数を決定します。
デフォルト値は3です。
processes: スーパバイザによってforkされるワーカープロセスの個数を指定します。
各プロセスはCPUコアを専有できます。
デフォルト値は1です。
concurrency_maintenance: ディスパッチャがコンカレンシーメンテナンス作業を行うかどうかを指定します。
デフォルト値はtrueです。
設定オプションについて詳しくは、Solid Queueのドキュメントを参照してください。
また、config/<environment>.rbで設定できる追加の設定オプションを使うことで、RailsアプリケーションでSolid Queueをさらに詳細に設定できます。
Solid Queueには、ジョブの処理順序を制御するための「キューの順序指定」と「数値による優先度指定」という2つの異なる仕組みが用意されています。期待通りの振る舞いを実現するには、この2つの相互作用を理解することが重要です。
Solid Queueの「キューの順序指定」は、作業の優先順位を決定する主要な方法です。config/queue.ymlファイルでワーカー用のqueuesの配列に記載されている順序によって、ポーリングの順序が決まります。ワーカーは、より優先度の高いキュー(配列内の左に記述されているもの)がすべて空になるまでは、優先度の低いキュー(配列内の右に記述されているもの)からジョブを取得しません。
production:
workers:
- queues: [critical, default, low]
threads: 5
上の設定では、criticalキューに待機中のジョブがある間はdefaultキューからジョブが取り出されることはなく、criticalキューまたはdefaultキューのいずれかに待機中のジョブがある間はlowキューからジョブが取り出されることはありません。
Solid Queueの処理は、この順序に厳密に従います(優先度の低いキューにも処理時間が比例配分されるよう相対的な重み付けを許容する他のキューイングバックエンドとは異なります)。そのため、優先度の高いキューが常に処理で埋まっている状態が続くと、優先度の低いキューのジョブがいつまでも処理されない状態が発生する可能性があります。
設定するキュー名にはワイルドカード*を指定できます。
たとえば、ワーカーの設定がqueues:[active_storage*, mailers]の場合、active_storage_analyzeやactive_storage_transformなど「active_storageで始まる」キューからジョブが取得されます。active_storageで始まるキュー内のジョブがすべて処理された場合にのみ、ワーカーはmailersキューの処理に移ります。
SQLiteやPostgreSQLで使うキュー名にワイルドカードが含まれていると(例: queues: active_storage*)、ポーリングのパフォーマンスが低下する可能性があります。これは、一致するすべてのキューを特定するためにDISTINCTクエリが必要となり、大規模なテーブルでは処理に時間がかかるためです。パフォーマンスを落とさないためには、ワイルドカードを使わずに具体的なキュー名を指定するのが最適です。
数値指定の優先度は、単一のキューの「内部」で適用されます。ジョブの優先度の数値はqueue_with_priorityで指定できます。数値が小さいほど優先順位が高くなり、デフォルト値は0です。
class CriticalReportJob < ApplicationJob queue_as :default queue_with_priority 0 end class RoutineCleanupJob < ApplicationJob queue_as :default queue_with_priority 10 end
上の2件のジョブがdefaultキューにある場合、CriticalReportJobが先に処理されます。ただし、数値による優先度は同一キュー内でのみ有効であり、影響が他のキューに及ぶことはありません。キューの順序指定と優先度の仕組みを両方使う場合、キューの順序が優先されます。
Solid Queueにおいて、ワーカーのpolling_interval設定は、新しいジョブをどれだけ敏速に取得できるかに直接影響します。ポーリング間隔が長いと、優先度の高いキューであっても実際には反応が遅いと感じられる可能性があります。
production:
workers:
- queues: critical
threads: 5
polling_interval: 0.1 # 100ms間隔のポーリング -- 高速なレスポンス
- queues: low
threads: 2
polling_interval: 10 # 10s間隔のポーリング -- 低優先度の処理に向いている
特に処理の即応性が求められるキューでは、polling_intervalをワーカーごとに調整することが重要です。
Solid Queueのリトライは、Active Jobのretry_onで明示的に設定する必要があります。
class ExternalApiJob < ApplicationJob retry_on Net::TimeoutError, wait: :exponentially_longer, attempts: 5 retry_on ActiveRecord::Deadlocked, wait: 2.seconds, attempts: 3 def perform # ... end end
デフォルトですべてのジョブに共通のリトライポリシーを適用したい場合は、ApplicationJobでグローバルに設定することも可能です。retry_onが設定されていないジョブが失敗した場合、リトライされずに、そのまま「失敗した実行(failed executions)」に移動します。
Solid QueueはActive Jobを拡張して、コンカレンシー制御機能を提供しています。これにより、特定の種類のジョブを同時実行できる数を制限できるようになります。 これは、共有リソースを保護するときに有用です。たとえば、1つのアカウントが一度に実行できるエクスポートジョブを1件だけに制限したり、外部サービスへの同時API呼び出し数に上限を設定したりできます。
コンカレンシー制御は、ジョブクラス内のlimits_concurrencyで宣言します。
class InvoiceExportJob < ApplicationJob limits_concurrency to: 1, key: ->(account_id) { "invoice_export_#{account_id}" }, duration: 10.minutes def perform(account_id) # ... end end
設定内容は以下です。
:to: コンカレント実行可能なジョブの最大数を設定します。:key: ジョブの引数に基づいてコンカレンシー処理のキーを算出するラムダを渡しています。上の例では、制限はグローバルではなく、アカウントごとに適用されます。:duration: このオプションはフェイルセーフとして機能します。そのため、ジョブの実行中にワーカーが停止しロックが解放されなかった場合でも、ここで指定した期間が経過すれば、ブロックされていたジョブが解放の候補となります。コンカレンシー制御を指定したジョブがエンキューされると、Solid Queueは算出されたキーに対応するデータベース上のロックを確認します。
ロックが利用可能な場合は、ジョブは実行可能な状態(ready)としてマーキングされます。
ロックが利用できない場合は、:on_conflictオプションの設定で振る舞いが決まります。
on_conflictが:block(デフォルト)に設定されている場合、ジョブはブロック状態のまま保留され、実行中のジョブが完了した時点で初めて実行可能としてマーキングされます。
もう1つのオプションは:discardで、この場合、ジョブは完全に破棄されます。
:groupオプションを使うと、制限の範囲を複数の「異なる」ジョブクラスにまたがって指定することも可能になります。
class AnalyticsExportJob < ApplicationJob limits_concurrency to: 1, key: ->(account_id) { account_id }, group: "account_exports", duration: 10.minutes end class InvoiceExportJob < ApplicationJob limits_concurrency to: 1, key: ->(account_id) { account_id }, group: "account_exports", duration: 10.minutes end
上の例では、両方のジョブクラスが「account_exports」グループによる同一のコンカレンシー制限を共有しています。つまり、ジョブの種別がどちらであっても、特定の1つのアカウントが一度に実行できるエクスポート処理は1つだけとなります。
コンカレンシー制御は、ブロックされた実行をトラッキングしてロックを作成・更新する必要があるため、オーバーヘッドが生じます。そのため、コンカレンシー制御の利用は必要最小限に留めるべきです。単純なスループット制限を行う場合は、キューごとにワーカースレッド数を制限する方が効率的です。
コンカレンシー制御は、perform_all_laterによるキューへの一括登録と互換性がありません。コンカレンシー制御を行っているジョブは、設定された制限を遵守するために1件ずつエンキューしなければならないためです。
Solid Queueは、ジョブのエンキュー中にActive Recordのエラーが発生するとSolidQueue::Job::EnqueueErrorをraiseします。このエラーは、ActiveJob::EnqueueErrorとは別物です(ActiveJob::EnqueueErrorの場合、Active Jobが内部で処理してperform_laterがfalseを返します)。
このため、Railsの内部処理やTurbo::Streams::BroadcastJobなどのサードパーティ製gemによってエンキューされるジョブについては、perform_laterの呼び出しを直接制御できないため、エラーの処理が難しくなるという実用上の問題が生じます。
なお、定期実行タスク(recurring tasks)の場合、エンキュー時のエラーはログに記録されますが、例外は発生しません(詳しくは、Solid Queueドキュメント「Errors When Enqueuing」を参照してください)。
ワーカープロセスが予期せず終了した場合(例: KILLシグナルによって)、実行中のジョブはすべて「失敗」としてマーキングされ、SolidQueue::Processes::ProcessExitErrorやSolidQueue::Processes::ProcessPrunedErrorなどのエラーがraiseされます。
Solid Queueが期限切れのプロセスをどの程度迅速に検出・クリーンアップするかは、ハートビートの設定によって制御されます(この動作の設定について詳しくはSolid Queueドキュメント「Threads, Processes and Signals」を参照してください)。
利用しているエラートラッキングサービスでジョブのエラーが自動的にキャプチャされない場合は、ApplicationJob内でActive Jobのrescue_fromを利用できます。
class ApplicationJob < ActiveJob::Base rescue_from(Exception) do |exception| Rails.error.report(exception) raise exception end end
アプリケーションでAction Mailerを利用している場合、メーラーの配信はActionMailer::MailDeliveryJobを介して実行される点にご注意ください。このジョブはApplicationJobを継承していますが、個別に処理する必要があります。
class ApplicationMailer < ActionMailer::Base ActionMailer::MailDeliveryJob.rescue_from(Exception) do |exception| Rails.error.report(exception) raise exception end end
Solid Queueはアプリケーションと同じデータベースを利用できるため、アプリケーションのデータと同じACIDトランザクションに参加できます。しかし、この振る舞いには重要な特性があり、実際に利用する前にそれを理解しておく必要があります。
Solid Queueがアプリケーションと同じデータベースを利用する場合、ジョブのエンキューは、その前後で行われるActive Recordの操作と「同一の」トランザクション内で行われます。つまり、そのトランザクションがロールバックされればジョブはエンキューされず、逆にジョブのエンキューが成功しない限りトランザクションもコミットされなくなります。これにより、Redisをバックエンドとする場合に起こりがちな競合状態(例: 必要なレコードがデータベースにコミットされる前にジョブが実行されてしまう)を回避できます。
しかしRails 8では、まさにこの挙動への暗黙的な依存を避けるために、デフォルトでSolid Queueを「別のデータベース」に設定するようになりました。トランザクションの整合性に依存するロジックを構築した後で、Solid Queueを専用のデータベースへ移行したり、別のバックエンドに切り替えたりすると、気が付かないうちにこの振る舞いが失われてしまうからです。ほとんどのアプリケーションにとっては、デフォルトで別のデータベースを利用する方が安全な選択と言えます。
enqueue_after_transaction_commitを使うトランザクションの安全性を、アプリケーションとSolid Queueが同じデータベースを共有することに依存せずに確保する方法として、enqueue_after_transaction_commitの利用が推奨されます。これにより、ジョブのエンキューは、それを含むActive Recordのトランザクションが正常にコミットされるまで延期されます。この機能は、ジョブ単位またはグローバルに有効化できます。
class ApplicationJob < ActiveJob::Base self.enqueue_after_transaction_commit = true end
この設定によって、ロールバックされるトランザクション内でエンキューされたジョブは、単にエンキューされなくなります。これにより、Solid Queueがアプリケーションとデータベースを共有しているかどうかにかかわらず、環境に依存しない形でこの振る舞いが保証されます。
after_commitコールバックからエンキューするenqueue_after_transaction_commitを使いたくない場合は、トランザクションの内部から直接ジョブをエンキューするのではなく、常にafter_commitコールバックからエンキューするという方法もあります。
after_commit :schedule_cleanup, on: :create def schedule_cleanup GuestsCleanupJob.perform_later(self) end
これにより、関連するデータがデータベースに永続的にコミットされた後にのみ、ジョブがキューに登録されるようになります。
見落とされやすい危険なケースとして、前述の安全策を講じないままトランザクション内でジョブをエンキューすることが挙げられます。この場合、ジョブで必要なデータが他のコネクションから参照可能になる前にジョブが実行される、トランザクションがロールバックされたにもかかわらずジョブがエンキューされる、といった可能性が生じます。
こうした問題は、Redisをバックエンドとするシステムでは同じ形では発生しないため、そうした環境に慣れていると、この点を見落としてしまいがちです。自分たちのコードがトランザクションの整合性に依存しているかどうかが不明な場合は、ApplicationJobでenqueue_after_transaction_commitをグローバルに有効にしておくのが最も安全なデフォルト設定と言えます。
詳しくはSolid Queueドキュメントの「Transactional Integrity」を参照してください。
Solid Queueは、cronジョブに似た定期実行タスクをサポートしています。定期実行タスクは設定ファイル(デフォルトではconfig/recurring.yml)で定義され、特定の時間を指定してスケジューリングできます。タスク設定の例を以下に示します。
production:
a_periodic_job:
class: MyJob
args: [42, { status: "custom_status" }]
schedule: every second
a_cleanup_task:
command: "DeletedStuff.clear_all"
schedule: every day at 9am
各タスクには、class(またはcommand)とscheduleを指定します(スケジュール指定文字列の解析にはFugit gemが使われます)。
上の設定例のMyJobのように、argsオプションでジョブに引数を渡すことも可能です。argsオプションには「単一の引数」「ハッシュ」「引数の配列」のいずれかを渡すことが可能で、配列の場合は最後の要素にキーワード引数も含められます。
定期実行タスクについて詳しくはSolid Queueドキュメント「Recurring Tasks」を参照してください。
RailsではSolid Queueがデフォルトのキューイングバックエンドとして採用されていますが、Active Jobはさまざまなキューイングバックエンドとシームレスに連携できるように設計されています。 Sidekiq、GoodJob、Resqueなどの別のバックエンドに切り替える場合、Gemfileに対象バックエンドのアダプタを追加し、設定を変更するだけで済みます(通常、ジョブのコード自体を修正する必要はありません)。
以下は、代替キューイングバックエンドとそのドキュメントのリストです(すべてを網羅しているわけではありません)。
キューイングバックエンドをグローバルに切り替えるには、アプリケーション設定ファイルで以下のようにconfig.active_job.queue_adapterを設定します。
# config/application.rb module YourApp class Application < Rails::Application config.active_job.queue_adapter = :sidekiq end end
アダプタは環境単位でも設定できます。production環境ではSolid Queueを使い、development環境ではもっとシンプルなアダプタを使いたいといった場合に便利です。
# config/environments/development.rb config.active_job.queue_adapter = :async
キューイングバックエンドを段階的に移行したい場合は、アダプタをジョブクラスレベルで設定する方法が使えます。 これは、すべてを一度に切り替えるのではなく、1度に1個のジョブを移行したい場合に便利です。
class MyJob < ApplicationJob self.queue_adapter = :sidekiq end
キューイングバックエンドごとに専用のgemが必要で、通常は専用のプロセスも必要です。アダプタのgemをGemfileに追加したら、アダプタのドキュメントを参照して追加の設定を行ってください。ほとんどのバックエンドでは、Railsアプリケーションとは別にワーカープロセスを起動する必要があり、Redisなどの追加インフラを必要とする場合もあります(Sidekiqなど)。
バックエンドを切り替えても、古いキューに既に存在するジョブは移行されない点にご注意ください。切り替え前に古いキューを空にするか、既存のジョブが完了するまで一時的に両方のバックエンドを並行して運用する必要があります。
Active Jobの初期リリースには各種キューイングバックエンド用のアダプタが組み込まれていましたが、後に、キューイングバックエンドのプロバイダ自身がアダプタを管理する方針に変更されました。アダプタがActive Jobに組み込まれているかどうかにかかわらず、あらゆるバックエンドをActive Jobで利用できます。
config.active_job.queue_name_prefixを使う場合、新しいバックエンドのワーカー設定が、プレフィックスなしのキュー名ではなく、プレフィックス付きのキュー名をリッスンするようになっていることを確認してください。
Mission Controlは、Active Jobアダプタ向けのRails製フロントエンドであり、失敗したジョブの監視と管理を一元化するのに役立ちます。ジョブのステータス、失敗の原因、リトライの挙動に関する情報を提供し、問題のトラッキングや解決をより効率的に行えるようになります。
たとえば、あるジョブが大きなファイルの処理中にタイムアウトで失敗した場合、mission_control-jobsを使えば、失敗の詳細を確認したり、ジョブの引数や実行履歴を調べてから、ジョブのリトライ・再キューイング・破棄のどれを行うかを判断できるようになります。
rescue_fromでエラーを検出するジョブの実行中に発生した例外は、rescue_fromで処理できます。
class GuestsCleanupJob < ApplicationJob queue_as :default rescue_from(ActiveRecord::RecordNotFound) do |exception| # 例外を処理する end def perform # 後で実行するタスクをここに置く end end
ジョブから発生した例外がrescueされない場合、そのジョブは「失敗」したとみなされます。
詳細なエンキューログを有効にすると、ジョブの発生元を特定するログを追加出力できるようになります。
失敗したジョブは、明示的に設定しない限りリトライされません。
失敗したジョブは、以下のようにretry_onで条件を指定してリトライすることも、discard_onで条件を指定して破棄することも可能です。
class RemoteServiceJob < ApplicationJob retry_on CustomAppException # デフォルトは3秒間待ち、最大5回試行する discard_on Net::OpenTimeout def perform(*args) # CustomAppException または Net::OpenTimeout がraiseされる可能性があるとする end end
#performメソッドを呼び出すと、GlobalIDは一意の識別子でActive Recordの完全なオブジェクトを特定します。
渡されたレコードが、「ジョブがエンキューされた後」かつ「#performメソッドが呼び出される前」に削除されると、Active JobはActiveJob::DeserializationErrorをraiseします。
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