このガイドの内容:
Action Viewは、MVCのVに相当し、 Action Controllerと連携してWebリクエストを処理します。Action Controllerは(MVCにおける)モデル層とのやりとりやデータの取得を担当し、次にAction Viewがそのデータを利用してWebリクエストに対するレスポンスのbody(本文)をレンダリングします。
デフォルトのAction Viewテンプレート(単に「ビュー」とも呼ばれます)は、HTMLドキュメント内にRubyコードを記述可能にするERB(Embedded Ruby)で記述します。
Action Viewには、「フォーム」「日付」「文字列」用のHTMLタグを動的に生成するヘルパーメソッドが多数用意されています。必要であれば、アプリケーションに独自のヘルパーを追加することも可能です。
Action Viewでは、コードを簡潔に書けるようにするためにActive Modelのto_param
メソッドやto_partial_path
メソッドを利用しています。ただし、Action ViewがActive Recordに依存しているわけではありません。Action Viewは独立したパッケージであり、任意のRubyライブラリと組み合わせて利用できます。
Action Viewテンプレート(別名「ビュー」)は、app/views
ディレクトリ内のサブディレクトリに保存されます。ここには、コントローラーごとに、コントローラと同じ名前のサブディレクトリがあります。そのサブディレクトリ内にビューファイルが置かれ、コントローラーのアクションへのレスポンスとして特定のビューをレンダリングします。
たとえば、scaffoldでarticle
リソースを生成すると、app/views/articles
ディレクトリに以下のファイルが生成されます。
$ bin/rails generate scaffold article [...] invoke scaffold_controller create app/controllers/articles_controller.rb invoke erb create app/views/articles create app/views/articles/index.html.erb create app/views/articles/edit.html.erb create app/views/articles/show.html.erb create app/views/articles/new.html.erb create app/views/articles/_form.html.erb [...]
生成されるファイル名はRailsの命名規約に沿って、対応するコントローラーのアクション名がビューファイル名に取り入れられます(index
アクションに対応するindex.html.erb
や、edit
アクションに対応するedit.html.erb
など)。
この命名規約が守られていれば、Railsがコントローラーのアクションを実行し終わったときに、ユーザーが指定しなくても、そのアクションに対応するビューを自動的に探索してレンダリングします。たとえば、articles_controller.rb
のindex
アクションを実行すると、app/views/articles/
ディレクトリ内のindex.html.erb
ビューを自動的にレンダリングします。そのためには、ファイル名と置き場所の両方が規約に沿っていることが重要です。
クライアント(ブラウザ)に返される最終的なHTMLは、「ERB」ファイル(拡張子は.html.erb
)、それをラップする「レイアウトテンプレート」、ERBファイルが参照するすべての「パーシャル」ファイル(部分テンプレートとも)の組み合わせで構成されます。本ガイドでは、この後「テンプレート」、「パーシャル」、「レイアウト」という3つのコンポーネントについてそれぞれ詳しく説明します。
Action Viewテンプレートは、さまざまなフォーマットで記述できます。
テンプレートファイルの拡張子が.erb
の場合は、HTMLレスポンスのビルドにERBが使われます。
テンプレートファイルの拡張子が.jbuilder
の場合は、JSONレスポンスのビルドにJbuilder gemが使われます。
テンプレートファイルの拡張子が.builder
の場合は、XMLレスポンスのビルドにBuilder::XmlMarkup
ライブラリが使われます。
Railsは、複数のテンプレートシステムをファイル拡張子で区別します。
たとえば、ERBテンプレートシステムを用いるHTMLファイルのファイル拡張子は.html.erb
、Jbuilderテンプレートシステムを用いるJSONファイルのファイル拡張子は.json.jbuilder
になります。他のテンプレートライブラリを利用すると、これ以外のテンプレート種別やファイル拡張子も追加される場合があります。
ERBテンプレートの内部では、<% %>
タグや<%= %>
タグの中にRubyコードを書けます。
最初の<% %>
タグはその中に書かれたRubyコードを実行しますが、実行結果はレンダリングされません。条件文やループ、ブロックなどレンダリングの不要な行はこのタグの中に書くとよいでしょう。
次の<%= %>
タグでは実行結果がWebページにレンダリングされます。
以下は、名前をレンダリングするためのループです。
ERBテンプレートは、<% %>
や<%= %>
などの特殊なERBタグを利用して、Rubyコードを静的HTML内に埋め込む形で記述する方法です。
拡張子が.html.erb
であるERBビューテンプレートをRailsが処理すると、ERB内のRubyコードが評価され、ERBタグを動的な出力に置き換えます。生成された動的コンテンツは静的なHTMLマークアップと結合されて、最終的なHTMLレスポンスが完成します。
ERBテンプレート内には、<% %>
タグや<%= %>
タグでRubyコードを記述できます。
<% %>
タグ(=
を含まない)は、実行結果を出力せずにRubyコードを実行したい場合に使います(条件やループなど)。
<%= %>
タグ(=
を含む)は、Rubyコードの実行結果を出力してテンプレート内でレンダリングしたい場合に使います(以下のコード例のperson.name
モデル属性など)。
<h1>Names</h1> <% @people.each do |person| %> Name: <%= person.name %><br> <% end %>
ループの開始行と終了行は通常のERBタグ(<% %>
)に書かれており、名前をレンダリングする行はレンダリング用のERBタグ(<%= %>
)に書かれています。
上のコードは、単にERBの書き方を説明しているだけではありません。Rubyでよく使われるprint
やputs
のような通常のレンダリング関数は、ERBでは利用できませんのでご注意ください。たとえば以下のコードを書いても、ブラウザに"Frodo"
は表示されません。
<%# 以下のコードは無効 %> Hi, Mr. <% puts "Frodo" %>
なお、ERBには上のように<%# %>
でコメントを書くことも可能です。
Webページへのレンダリング結果の冒頭と末尾からホワイトスペースを取り除きたい場合は、通常の<% %>
の代わりに<%- -%>
を利用できます(訳注: これは英語のようなスペース分かち書きを行なう言語向けのノウハウです)。
JbuilderはRailsチームによってメンテナンスされているgemの1つで、RailsのGemfileにデフォルトで含まれています。JbuilderはJSONレスポンスをビューテンプレートで生成するのに使われます。
Jbuilderが導入されていない場合は、Gemfileに以下を追加できます。
gem 'jbuilder'
拡張子が.jbuilder
のテンプレートでは、json
という名前のJbuilderオブジェクトが自動的に利用可能になります。
基本的な例を以下に示します。
json.name("Alex") json.email("alex@example.com")
上のコードから以下のJSONが生成されます。
{ "name": "Alex", "email": "alex@example.com" }
詳しいコード例についてはJbuilderドキュメントを参照してください。
BuilderテンプレートはERBの代わりに利用できる、よりプログラミング向きな記法です。これはJBuilder
に似ていますが、JSONではなくXMLを生成するのに使われます。
拡張子が.builder
のテンプレートでは、xml
という名前のXmlMarkup
オブジェクトが自動的に利用可能になります。
基本的な例を以下に示します。
xml.em("emphasized") xml.em { xml.b("emph & bold") } xml.a("A Link", "href" => "https://rubyonrails.org") xml.target("name" => "compile", "option" => "fast")
上のコードから以下が生成されます。
<em>emphasized</em> <em><b>emph & bold</b></em> <a href="https://rubyonrails.org">A link</a> <target option="fast" name="compile" />
ブロックを渡されたメソッドはすべて、ブロックの中にネストしたマークアップを含むXMLマークアップタグとして扱われます。以下の例で示します。
xml.div { xml.h1(@person.name) xml.p(@person.bio) }
上のコードの出力は以下のようになります。
<div> <h1>David Heinemeier Hansson</h1> <p>A product of Danish Design during the Winter of '79...</p> </div>
詳しいコード例についてはBuilderドキュメントを参照してください。
Railsは、デフォルトでビューの各テンプレートをコンパイルしてレンダリング用メソッドにします。developmentモードの場合、ビューテンプレートが変更されるとファイルの更新日時で変更が検出され、再コンパイルされます。
ページのさまざまな部分を個別にキャッシュしたりキャッシュを失効させたりする必要がある場合には、フラグメントキャッシュも利用できます。詳しくはキャッシュガイドを参照してください。
パーシャル(部分テンプレート)は、ビューテンプレートを再利用可能な小さい部品に分割する方法です。パーシャルを利用することで、メインテンプレートのコードの一部を別の小さなファイルに抽出し、そのファイルをメインテンプレートでレンダリングできます。メインテンプレートからパーシャルファイルにデータを渡すことも可能です。
いくつかの例で実際の動作を見てみましょう。
パーシャルをビューの一部に含めてレンダリングするには、ビューで以下のようにrender
メソッドを使います。
<%= render "product" %>
上の呼び出しによって、_product.html.erb
という名前のファイルが同じフォルダ内で検索され、そのビュー内でレンダリングされます。パーシャルファイル名の冒頭は、規約によりアンダースコア_
で始まるので、パーシャルビューと通常のビューはファイル名で区別できます。ただし、レンダリングするパーシャルをビュー内で参照するときは、パーシャル名にアンダースコア_
を追加せずに参照することにご注意ください。これは、以下のように別のディレクトリにあるパーシャルを参照する場合も同様です。
<%= render "application/product" %>
上のコードは、その位置にapp/views/application/_product.html.erb
パーシャルを読み込みます。
すぐに思い付くパーシャルの利用法のひとつが、パーシャルをサブルーチンと同等とみなすという方法です。ビューの詳細部分をパーシャルに移動し、コードの見通しを良くするためにパーシャルを使うのです。たとえば、以下のようなビューがあるとします。
<%= render "application/ad_banner" %> <h1>Products</h1> <p>私たちの素晴らしい製品のいくつかをご紹介します:</p> <% @products.each do |product| %> <%= render partial: "product", locals: { product: product } %> <% end %> <%= render "application/footer" %>
上のコード例にある_ad_banner.html.erb
パーシャルと_footer.html.erb
パーシャルに含まれるコンテンツは、アプリケーション内のさまざまなページと共有できます。この"Products"ページの開発中は、パーシャルの細かな表示内容を気にせずに済みます。
上のコード例では、_product.html.erb
パーシャルも使われています。このパーシャルには、個別の製品をレンダリングするための詳細なコードが含まれていて、@products
コレクション内にある個別の製品をリスト化してレンダリングするのに使われます。
locals
オプションでデータを渡すあるビュー内でパーシャルをレンダリングするときに、パーシャルにデータを引数のように渡すことが可能です。パーシャルに渡すデータは、locals:
オプションにハッシュの形で渡します。locals:
オプションに渡したハッシュの各キーは、パーシャル内でローカル変数として参照可能になります。
<%# app/views/products/show.html.erb %> <%= render partial: "product", locals: { my_product: @product } %>
<%# app/views/products/_product.html.erb %> <%= tag.div id: dom_id(my_product) do %> <h1><%= my_product.name %></h1> <% end %>
「パーシャルローカル変数」とは、指定のパーシャル内のローカル変数、つまりそのパーシャル内でのみ利用可能な変数です。上のコード例では、my_product
がパーシャルローカル変数であり、元のビューからパーシャルに渡されたときに、@product
インスタンス変数の値がmy_product
に割り当てられたものです。
なお、このコード例では説明上インスタンス変数名やテンプレート名と一時的に区別するためにローカル変数名をあえてmy_product
としていますが、実際のコードではmy_
などを付けずにインスタンス変数と一貫するproduct
というローカル変数を使う方が一般的である点にご注意ください。
locals
はハッシュなので、必要に応じてlocals: { my_product: @product, my_reviews: @reviews }
のように複数の変数を渡すことも可能です。
ただし、locals:
オプションの一部としてビューに渡していない変数がテンプレート内で参照されると、ActionView::Template::Error
が発生します。
<%# app/views/products/_product.html.erb %> <%= tag.div id: dom_id(my_product) do %> <h1><%= my_product.name %></h1> <%# `product_reviews`は存在しないのでActionView::Template::Errorになる %> <% product_reviews.each do |review| %> <%# ... %> <% end %> <% end %>
local_assigns
を使う個別のパーシャル内ではlocal_assigns
というメソッドが利用可能です。このメソッドを用いると、locals:
オプション経由で渡されたキーにアクセスできます。パーシャルがレンダリングされるときに:some_key
が未設定の場合、パーシャル内の local_assigns[:some_key]
の値はnil
になります。
たとえば、以下のコード例のproduct_reviews
はnil
になります。これは、locals:
に設定されているのがproduct
だけであるためです。
<%# app/views/products/show.html.erb %> <%= render partial: "product", locals: { product: @product } %> <%# app/views/products/_product.html.erb %> <% local_assigns[:product] # => "#<Product:0x0000000109ec5d10>" %> <% local_assigns[:product_reviews] # => nil %>
local_assigns
のユースケースの1つは、ローカル変数をオプションとしてパーシャルに渡し、以下のようにローカル変数に値が設定済みかどうか基づいて条件付きで何らかの操作をパーシャル内で実行するというものです。
<% if local_assigns[:redirect] %> <%= form.hidden_field :redirect, value: true %> <% end %>
別の例として、Active Storageの_blob.html.erb
のコードを引用します。このコードは、この行を含むパーシャルをレンダリングするときにin_gallery
ローカル変数が設定されているかどうかに基づいて表示サイズを設定します。
<%= image_tag blob.representation(resize_to_limit: local_assigns[:in_gallery] ? [ 800, 600 ] : [ 1024, 768 ]) %>
partial
やlocals
オプションを指定しないrender
上の例では、render
にpartial
とlocals
という2つのオプションを渡しましたが、渡したいオプションが他にない場合は、これらのオプションのキー名を省略して値だけを渡すことも可能です。
次の例で説明します。
<%= render partial: "product", locals: { product: @product } %>
上のコードは以下のように値だけを渡す形でも書けます。
<%= render "product", product: @product %>
上のコードは、パーシャル名とローカル変数名とインスタンス変数名が同じなので、以下のようにRailsの規約に沿った省略形でも書けます。
<%= render @product %>
この場合、app/views/products/
ディレクトリ内で_product.html.erb
というパーシャルを探索し、product
というパーシャルローカル変数に@product
インスタンス変数を設定します。
as
オプションとobject
オプションActionView::Partials::PartialRenderer
は、デフォルトでテンプレートと同じ名前のローカル変数内に自身のオブジェクトを保持します。以下のコードを見てみましょう。
<%= render @product %>
上のコードでは、_product
パーシャル内でローカル変数product
から@product
を取得できます。これは以下のコードと同等の結果になります。
<%= render partial: "product", locals: { product: @product } %>
object
オプションは、パーシャルで出力するオブジェクトを直接指定したい場合に使います。これは、テンプレートのオブジェクトが他の場所(別のインスタンス変数や別のローカル変数など)にある場合に便利です。
たとえば、以下のコードがあるとします。
<%= render partial: "product", locals: { product: @item } %>
上のコードは以下のように書けます。
<%= render partial: "product", object: @item %>
ここでは、@item
インスタンス変数がproduct
という名前のパーシャルローカル変数に割り当てられます。
ローカル変数名をデフォルトのproduct
から別の名前に変更したい場合は、:as
オプションが使えます。
as
オプションを使うと、以下のようにローカル変数に別の名前を指定できます。
<%= render partial: "product", object: @item, as: "item" %>
上は以下と同等です。
<%= render partial: "product", locals: { item: @item } %>
ビューで@products
などのコレクションをイテレーションして、コレクション内のオブジェクトごとにパーシャルテンプレートをレンダリングするという方法は一般によく使われます。このパターンは、配列を受け取って、配列内の要素ごとにパーシャルをレンダリングする単一のメソッドとしてRailsに実装済みです。
すべての製品(products)を出力するコード例は以下のようになります。
<% @products.each do |product| %> <%= render partial: "product", locals: { product: product } %> <% end %>
上のコードは以下のように1行で書けます。
<%= render partial: "product", collection: @products %>
パーシャルにコレクションを渡して呼び出すと、パーシャルの個別のインスタンスは、そのパーシャル名に沿った変数を介して、レンダリングするコレクションのメンバーにアクセスできるようになります。この場合、パーシャルは_product.html.erb
というファイルなので、レンダリングするコレクションのメンバーにproduct
という名前のローカル変数名で参照できます。
コレクションをレンダリングするために、Railsの規約に基づいた以下の省略形構文も利用できます。
<%= render @products %>
上のコード例では、@products
インスタンス変数がProduct
インスタンスのコレクションであることが前提です。
Railsはコレクション内のモデル名(この場合はProduct
)を命名規約に沿って調べることで、利用するパーシャル名を決定します。
実は、この省略表現を使うと、コレクションがさまざまなモデルのインスタンスで構成されていてもレンダリング可能になります。Rails は、コレクションの各メンバーに適したパーシャルを選択します。
:spacer_template
オプションを使うと、メインのパーシャルの間を埋める第2のパーシャルを指定できます。
<%= render partial: @products, spacer_template: "product_ruler" %>
上のコードは、メインの_product
パーシャル同士の空きを調整するスペーサーとなる_product_ruler
パーシャルをレンダリングします(_product_ruler
にはデータを渡していません)。
Railsでは、コレクションによって呼び出されるパーシャル内でカウンタ変数も利用可能です。カウンタ変数名は、パーシャル名の後ろに_counter
を追加したものになります。たとえば、@products
コレクションをレンダリングする場合、_product.html.erb
パーシャルでproduct_counter
変数にアクセスできます。このカウンタ変数は、最初のレンダリング時点の値が0
から始まり、パーシャルの外側のビュー内でパーシャルがレンダリングされた回数を参照します。
<%# index.html.erb %> <%= render partial: "product", collection: @products %>
<%# _product.html.erb %> <%= product_counter %> # 1個目のproductは0、2個目のproductは1...
カウンタ変数は、as:
オプションで名前が変更されたローカル変数でも利用できます。つまり、as: :item
を指定すると、カウンタ変数はitem_counter
になります。
後述する2つのセクション厳密なlocals
とlocal_assigns
でパターンマッチングを活用するでは、より高度なパーシャルの利用法が説明されていますが、完全を期すためにここでも記載します。
local_assigns
でパターンマッチングを活用するlocal_assigns
はHash
なので、Ruby 3.1のパターンマッチング代入演算子と互換性があります。
local_assigns => { product:, **options } product # => "#<Product:0x0000000109ec5d10>" options # => {}
パーシャルローカル変数に:product
以外のキーを複数持つHash
を代入する場合、以下のようにsplat演算子**
でヘルパーメソッド呼び出しに展開して渡すことが可能です。
<%# app/views/products/_product.html.erb %> <% local_assigns => { product:, **options } %> <%= tag.div id: dom_id(product), **options do %> <h1><%= product.name %></h1> <% end %>
<%# app/views/products/show.html.erb %> <%= render "products/product", product: @product, class: "card" %> <%# => <div id="product_1" class="card"> # <h1>A widget</h1> # </div> %>
パターンマッチングの代入では、変数のリネームもサポートされます。
local_assigns => { product: record } product # => "#<Product:0x0000000109ec5d10>" record # => "#<Product:0x0000000109ec5d10>" product == record # => true
local_assigns
でfetch
を使うと、以下のように変数を条件付きで読み取り、キーがlocals:
オプションに含まれていない場合にデフォルト値にフォールバックすることも可能です。
<%# app/views/products/_product.html.erb %> <% local_assigns.fetch(:related_products, []).each do |related_product| %> <%# ... %> <% end %>
Ruby 3.1のパターンマッチング代入演算子にHash#with_defaults
呼び出しを組み合わせると、パーシャルローカル変数のデフォルト値代入を以下のようにコンパクトに書けます。
<%# app/views/products/_product.html.erb %> <% local_assigns.with_defaults(related_products: []) => { product:, related_products: } %> <%= tag.div id: dom_id(product) do %> <h1><%= product.name %></h1> <% related_products.each do |related_product| %> <%# ... %> <% end %> <% end %>
デフォルトのパーシャルは、locals
として任意のキーワード引数を受け取れます。パーシャルが受け取れるlocals
のキーワード引数を限定するには、locals:
マジックコメントを使います。詳しくは、次の厳密なlocals
を参照してください。
locals
デフォルトのテンプレートは、locals
として受け取れるキーワード引数の個数に制約がありません。テンプレートが受け取ってよいlocals
のキーワード引数やその個数に制約をかけたりデフォルト値を設定したりするには、以下のようにlocals
マジックコメントをビューに追加します。
locals:
マジックコメントの例を以下に示します。
<%# app/views/messages/_message.html.erb %> <%# locals: (message:) -%> <%= message %>
上のコード例では、message
ローカル変数が必須になり、パーシャルを呼び出すときに省略できなくなります。引数に:message
ローカル変数を渡さずにこのパーシャルをレンダリングすると例外が発生します。
render "messages/message" # => ActionView::Template::Error: missing local: :message for app/views/messages/_message.html.erb
以下のようにmessage
にデフォルト値を設定しておくと、message
が渡されない場合にそのデフォルト値が使われます。
<%# app/views/messages/_message.html.erb %> <%# locals: (message: "Hello, world!") -%> <%= message %>
上のパーシャルに:message
ローカル変数を渡さずにレンダリングすると、locals:
マジックコメントで設定したデフォルト値が使われます。
render "messages/message" # => "Hello, world!"
同様に、local:
マジックコメントで許可されていないローカル変数を渡してパーシャルをレンダリングすると、例外が発生します。
render "messages/message", unknown_local: "will raise" # => ActionView::Template::Error: unknown local: :unknown_local for app/views/messages/_message.html.erb
以下のようにdouble splat演算子**
も併用すると、オプションのローカル変数も引数として渡せるようになります。
<%# app/views/messages/_message.html.erb %> <%# locals: (message: "Hello, world!", **attributes) -%> <%= tag.p(message, **attributes) %>
逆に、以下のようにlocals: ()
を設定すると、locals
を完全に無効にできます。
<%# app/views/messages/_message.html.erb %> <%# locals: () %>
上のコード例では、パーシャルにどんなローカル変数を渡しても以下のように例外が発生します。
render "messages/message", unknown_local: "will raise" # => ActionView::Template::Error: no locals accepted for app/views/messages/_message.html.erb
Action Viewでは、#
で始まるコメントをサポートする任意のテンプレートエンジンでlocals:
マジックコメントを処理します。また、マジックコメントはパーシャル内のどの行に書かれていても認識されます。
サポートされているのはキーワード引数のみです。位置引数やブロック引数が使われると、レンダリング時にAction Viewエラーが発生します。
local_assigns
メソッドには、local:
マジックコメントで指定したデフォルト値は含まれない点にご注意ください。Rubyの予約キーワード(class
やif
など)と同じ名前のデフォルト値を持つローカル変数にアクセスするには、以下のようにbinding.local_variable_get
で値にアクセスできます。
<%# locals: (class: "message") %> <div class="<%= binding.local_variable_get(:class) %>">...</div>
レイアウト(layout)を使うと、Railsのさまざまなコントローラアクションの結果を共通のビューテンプレートでレンダリングできます。Railsアプリケーションでは、ページのレンダリングに複数のレイアウトを利用可能です。
たとえば、あるアプリケーションでは、ユーザーログインページでログインに適したレイアウトを利用し、マーケティングやセールス用ページではそれに適した別のレイアウトを利用できます。ログインしたユーザー向けのレイアウトであれば、ナビゲーションツールバーをページのトップレベルに表示するスタイルを多くのコントローラやアクションで共通化することも可能です。SaaSアプリケーションの商品販売用レイアウトであれば、トップレベルのナビゲーションに「お値段」や「お問い合わせ先」を共通して表示できます。また、レイアウトごとにヘッダーやフッターのコンテンツを変更することも可能です。
Railsでは、現在のコントローラアクションに対応するレイアウトを探索するために、最初にコントローラと同じベース名を持つファイルをapp/views/layouts
ディレクトリ内で探します。たとえば、ProductsController
クラスのアクションをレンダリングする場合、app/views/layouts/products.html.erb
が使われます。
コントローラに対応するレイアウトが存在しない場合は、app/views/layouts/application.html.erb
以下は、application.html.erb
ファイルのシンプルなレイアウトの例です。
<!DOCTYPE html> <html> <head> <title><%= "Your Rails App" %></title> <%= csrf_meta_tags %> <%= csp_meta_tag %> <%= stylesheet_link_tag "application", "data-turbo-track": "reload" %> <%= javascript_importmap_tags %> </head> <body> <nav> <ul> <li><%= link_to "Home", root_path %></li> <li><%= link_to "Products", products_path %></li> <!-- Additional navigation links here --> </ul> </nav> <%= yield %> <footer> <p>© <%= Date.current.year %> Your Company</p> </footer>
上のレイアウト例では、<%= yield %>
の部分でビューコンテンツがレンダリングされ、それが<head>
や<nav>
や<footer>
のコンテンツで囲まれる形になります。
Railsには、個別のコントローラアクションに対応するレイアウトを割り当てるためのさまざまな方法が用意されています。Railsのレイアウトについて詳しくは、ビューのレイアウトとレンダリングガイドを参照してください。
パーシャルにも独自のレイアウトを適用できます。パーシャル用のレイアウトは、アクション全体にわたるグローバルなレイアウトとは異なりますが、同じように動作します。
試しに、ページ上に投稿を1つ表示してみましょう。表示制御のためdiv
タグで囲むことにします。最初に、Article
を1つ新規作成します。
Article.create(body: 'パーシャルレイアウトはいいぞ!')
show
テンプレートは、box
レイアウトで囲まれた_article
パーシャルを出力します。
articles/show.html.erb
<%= render partial: 'article', layout: 'box', locals: { article: @article } %>
box
レイアウトは、div
タグで_article
パーシャルを囲んだ簡単な構造です。
articles/_box.html.erb
<div class="box"> <%= yield %> </div>
この例では、パーシャルレイアウト_box.html.erb
内でarticle
ローカル変数が使われていないにもかかわらず、render
呼び出しに渡されたarticle
ローカル変数にアクセスできる点にご注目ください。
アプリケーション共通のレイアウトを参照する場合とは異なり、パーシャルレイアウトを参照するときはアンダースコア_
を付ける点にご注意ください。
yield
を呼び出す代わりに、パーシャルレイアウト内にあるコードのブロックをレンダリングすることも可能です。たとえば、_article
というパーシャルがない場合でも、以下のような呼び出しが行えます。
<%= render(layout: 'box', locals: { article: @article }) do %> <div> <p><%= article.body %></p> </div> <% end %>
ここでも同じ_box
パーシャルを使っていれば、上述の例と同じ出力が得られます。
コレクションをレンダリングする場合、パーシャルレイアウトに:layout
オプションを指定することも可能です。
<%= render partial: "article", collection: @articles, layout: "special_layout" %>
コレクション内の各アイテムに対してパーシャルをレンダリングするときに、このレイアウトもレンダリングされます。現在のオブジェクト(article
など)やオブジェクトのカウンタ変数(article_counter
など)は、パーシャル内の場合と同様にレイアウト内でも利用可能です。
Railsでは、Action Viewで利用できるヘルパーメソッドを多数提供しています。ヘルパーメソッドには以下のものが含まれます。
ヘルパーについて詳しくは、ガイドのAction View ヘルパーおよびAction View フォームヘルパーを参照してください。
Action Viewは、現在のロケールに応じてさまざまなテンプレートをレンダリングできます。
たとえば、ArticlesController
にshow
アクションがあるとします。このshow
アクションを呼び出すと、デフォルトではapp/views/articles/show.html.erb
が出力されます。ここでI18n.locale = :de
を設定すると、代わりにapp/views/articles/show.de.html.erb
がレンダリングされます。ローカライズ版のテンプレートが見当たらない場合は、装飾なしのバージョンが使われます。つまり、ローカライズ版ビューがなくても動作しますが、ローカライズ版ビューがあればそれが使われます。
同じ要領で、publicディレクトリのレスキューファイル (いわゆるエラーページ) もローカライズできます。たとえば、I18n.locale = :de
と設定し、public/500.de.html
とpublic/404.de.html
を作成することで、ローカライズ版のレスキューページを作成できます。
詳しくはRails 国際化 (i18n) API を参照してください。
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