このガイドでは、Active Recordを使用してデータベースからデータを取り出すためのさまざまな方法について解説します。
このガイドの内容:
生のSQLを使用してデータベースのレコードを検索することに慣れきった人がRailsに出会うと、Railsでは同じ操作をずっと洗練された方法で実現できることに気付くでしょう。Active Recordを使用することで、SQLを直に実行する必要はほぼなくなります。
本ガイドのコード例では、基本的に以下のモデルを使用します。
特に記さない限り、モデル中のid
は主キーを表します。
class Client < ApplicationRecord has_one :address has_many :orders has_and_belongs_to_many :roles end
class Address < ApplicationRecord belongs_to :client end
class Order < ApplicationRecord belongs_to :client, counter_cache: true end
class Role < ApplicationRecord has_and_belongs_to_many :clients end
Active Recordは、ユーザーに代わってデータベースにクエリを発行します。発行されるクエリは多くのデータベースシステム (MySQL、MariaDB、PostgreSQL、SQLiteなど) と互換性があります。Active Recordを使用していれば、利用しているデータベースシステムの種類にかかわらず、同じ表記を使用できます。
Active Recordでは、データベースからオブジェクトを取り出すための検索メソッドを多数用意しています。これらの検索メソッドを使用することで、生のSQLを書くことなく、データベースへの特定のクエリを実行するための引数を渡すことができます。
以下のメソッドが用意されています。
find
create_with
distinct
eager_load
extending
from
group
having
includes
joins
left_outer_joins
limit
lock
none
offset
order
preload
readonly
references
reorder
reverse_order
select
where
検索メソッドはwhere
やgroup
と行ったコレクションを返したり、ActiveRecord::Relation
のインスタンスを返します。また、find
やfirst
などの1つのエンティティを検索するメソッドの場合、そのモデルのインスタンスを返します。
Model.find(options)
という操作を要約すると以下のようになります。
after_find
を実行し、続いてafter_initialize
コールバックを実行します。Active Recordには、単一のオブジェクトを取り出すためのさまざま方法が用意されています。
find
find
メソッドを使用すると、与えられたどのオプションにもマッチする 主キー に対応するオブジェクトを取り出すことができます。以下に例を示します。
# 主キー(id)が10のクライアントを検索 clients = Client.find(10) # => #<Client id: 10, first_name: "Ryan">
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.id = 10) LIMIT 1
find
メソッドでマッチするレコードが見つからない場合、ActiveRecord::RecordNotFound
例外が発生します。
このメソッドを使用して、複数のオブジェクトへのクエリを作成することもできます。これを行うには、find
メソッドの呼び出し時に主キーの配列を渡します。これにより、与えられた 主キー にマッチするレコードをすべて含む配列が返されます。以下に例を示します。
# 主キー(id)が1と10のクライアントを検索 clients = Client.find([1, 10]) # Client.find(1, 10)も可 # => [ # <Client id: 1, first_name: "Lifo">, # <Client id: 10, first_name: "Ryan"> # ]
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.id IN (1,10))
find
メソッドで与えられた主キーの中に、どのレコードにもマッチしない主キーが1つでもあると、ActiveRecord::RecordNotFound
例外が発生します。
take
take
メソッドはレコードを1つ取り出します。どのレコードが取り出されるかは指定されません。以下に例を示します。
client = Client.take # => #<Client id: 1, first_name: "Lifo">
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients LIMIT 1
Model.take
は、モデルにレコードが1つもない場合にnil
を返します。このとき例外は発生しません。
take
メソッドで返すレコードの最大数を数値の引数で指定することもできます。例:
clients = Client.take(2) # => [ # #<Client id: 1, first_name: "Lifo">, # #<Client id: 220, first_name: "Sara"> # ]
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients LIMIT 2
take!
メソッドの動作は、take
メソッドとまったく同じです。ただし、take!
メソッドでは、マッチするレコードが見つからない場合にActiveRecord::RecordNotFound
例外が発生する点だけが異なります。
このメソッドで取り出されるレコードは、使用するデータベースエンジンによっても異なることがあります。
first
first
メソッドは、デフォルトでは主キー順の最初のレコードを取り出します。以下に例を示します。
clients = Client.first # => #<Client id: 1, first_name: "Lifo">
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients ORDER BY clients.id ASC LIMIT 1
first
メソッドは、モデルにレコードが1つもない場合にnil
を返します。このとき例外は発生しません。
デフォルトスコープが順序に関するメソッドを含んでいる場合、first
メソッドはその順序に従って最初のレコードを返します。
first
メソッドで返すレコードの最大数を数値の引数で指定することもできます。例:
clients = Client.first(3) # => [ # #<Client id: 1, first_name: "Lifo">, # #<Client id: 2, first_name: "Fifo">, # #<Client id: 3, first_name: "Filo"> # ]
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients ORDER BY clients.id ASC LIMIT 3
order
を使って順序を変更したコレクションの場合、first
メソッドはorder
で指定された属性に従って最初のレコードを返します。
client = Client.order(:first_name).first # => #<Client id: 2, first_name: "Fifo">
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients ORDER BY clients.first_name ASC LIMIT 1
first!
メソッドの動作は、マッチするレコードが見つからない場合にActiveRecord::RecordNotFound
例外が発生する点を除いて、first
メソッドとまったく同じです。
last
last
メソッドは、(デフォルトでは) 主キーの順序に従って最後のレコードを返します。 以下に例を示します。
client = Client.last # => #<Client id: 221, first_name: "Russel">
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients ORDER BY clients.id DESC LIMIT 1
lastメソッドは、モデルにレコードが1つもない場合にnil
を返します。このとき例外は発生しません。
デフォルトスコープが順序に関するメソッドを含んでいる場合、last
メソッドはその順序に従って最後のレコードを返します。
last
メソッドで返すレコードの最大数を数値の引数で指定することもできます。例:
clients = Client.last(3) # => [ # #<Client id: 219, first_name: "James">, # #<Client id: 220, first_name: "Sara">, # #<Client id: 221, first_name: "Russel"> # ]
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients ORDER BY clients.id DESC LIMIT 3
order
を使って順序を変更したコレクションの場合、last
メソッドはorder
で指定された属性に従って最後のレコードを返します。
client = Client.order(:first_name).last # => #<Client id: 220, first_name: "Sara">
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients ORDER BY clients.first_name DESC LIMIT 1
last!
メソッドの動作は、マッチするレコードが見つからない場合にActiveRecord::RecordNotFound
例外が発生する点を除いて、last
メソッドとまったく同じです。
find_by
find_by
メソッドは、与えられた条件にマッチするレコードのうち最初のレコードだけを返します。以下に例を示します。
Client.find_by first_name: 'Lifo' # => #<Client id: 1, first_name: "Lifo"> Client.find_by first_name: 'Jon' # => nil
上の文は以下のように書くこともできます。
Client.where(first_name: 'Lifo').take
これと同等のSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.first_name = 'Lifo') LIMIT 1
find_by!
メソッドの動作は、マッチするレコードが見つからない場合にActiveRecord::RecordNotFound
例外が発生する点を除いて、find_by
メソッドとまったく同じです。以下に例を示します。
Client.find_by! first_name: 'does not exist' # => ActiveRecord::RecordNotFound
上の文は以下のように書くこともできます。
Client.where(first_name: 'does not exist').take!
多数のレコードに対して反復処理を行いたいことがあります。たとえば、多くのユーザーにニュースレターを送信したい、データをエクスポートしたいなどです。
このような処理をそのまま実装すると以下のようになるでしょう。
# このコードはテーブルが大きい場合、メモリを大量に消費する可能性あり User.all.each do |user| NewsMailer.weekly(user).deliver_now end
しかし上のような処理は、テーブルのサイズが大きくなるにつれて非現実的になります。User.all.each
は、Active Recordに対して テーブル全体 を一度に取り出し、しかも1行ごとにオブジェクトを生成し、その巨大なモデルオブジェクトの配列をメモリに配置するからです。もし莫大な数のレコードに対してこのようなコードをまともに実行すると、コレクション全体のサイズがメモリ容量を上回ってしまうことでしょう。
Railsでは、メモリを圧迫しないサイズにバッチを分割して処理するための方法を2とおり提供しています。1つ目はfind_each
メソッドを使用する方法です。これは、レコードのバッチを1つ取り出し、次に 各 レコードを1つのモデルとして個別にブロックにyieldします。2つ目の方法はfind_in_batches
メソッドを使用する方法です。レコードのバッチを1つ取り出し、次に バッチ全体 をモデルの配列としてブロックにyieldします。
find_each
メソッドとfind_in_batches
メソッドは、一度にメモリに読み込めないような大量のレコードに対するバッチ処理のためのものです。数千のレコードに対して単にループ処理を行なうのであれば通常の検索メソッドで十分です。
find_each
find_each
メソッドは、複数のレコードを一括で取り出し、続いて 各 レコードを1つのブロックにyieldします。以下の例では、find_each
でバッチから1000件のレコードを一括で取り出し、各レコードをブロックにyieldします。
User.find_each do |user| NewsMailer.weekly(user).deliver_now end
この処理は、必要に応じてさらにレコードのまとまりをフェッチし、すべてのレコードが処理されるまで繰り返されます。
find_each
メソッドは上述のようにモデルのクラスに対して機能します。対象がリレーションの場合も同様です。
User.where(weekly_subscriber: true).find_each do |user| NewsMailer.weekly(user).deliver_now end
ただしこれは順序指定がない場合に限ります。find_each
メソッドでイテレートするには内部で順序を強制する必要があるためです。
レシーバー側に順序制約がある場合、config.active_record.error_on_ignored_order
フラグの状態によって振る舞いが変わります。たとえばtrue
の場合はArgumentError
が発生し、falseの場合は順序が無視され警告が発生します。デフォルトはfalse
です。このフラグを上書きしたい場合は:error_on_ignore
オプション(後述)を使います。
find_each
のオプション:batch_size
:batch_size
オプションは、(ブロックに個別に渡される前に) 1回のバッチで取り出すレコード数を指定します。たとえば、1回に5000件ずつ処理したい場合は以下のように指定します。
User.find_each(batch_size: 5000) do |user| NewsMailer.weekly(user).deliver_now end
:start
デフォルトでは、レコードは主キーの昇順に取り出されます。主キーは整数でなければなりません。並び順冒頭のIDが不要な場合、:start
オプションを使用してシーケンスの開始IDを指定します。これは、たとえば中断したバッチ処理を再開する場合などに便利です (最後に実行された処理のIDがチェックポイントとして保存済みであることが前提です)。
たとえば主キーが2000番以降のユーザーに対してニュースレターを配信する場合は、以下のようになります。
User.find_each(start: 2000) do |user| NewsMailer.weekly(user).deliver_now end
:finish
:start
オプションと同様に、シーケンスの末尾のIDを指定したい場合は、:finish
オプションで末尾のIDを設定できます。 :start
と:finish
でレコードのサブセットを指定し、その中でバッチプロセスを走らせたい時に便利です。
たとえば主キーが2000番〜10000番のユーザーに対してニュースレターを配信したい場合は、以下のようになります。
User.find_each(start: 2000, finish: 10000) do |user| NewsMailer.weekly(user).deliver_now end
他にも、同じ処理キューを複数の作業者で手分けする場合が考えられます。たとえば各ワーカーに10000レコードずつ処理して欲しい場合も、:start
と:finish
オプションにそれぞれ適切な値を設定することで実現できます。
:error_on_ignore
リレーション内に順序制約があれば例外を発生させたい場合は、このオプションを使ってアプリケーションの設定を上書きしてください。
find_in_batches
find_in_batches
メソッドは、レコードをバッチで取り出すという点でfind_each
と似ています。違うのは、find_in_batches
は バッチ を個別にではなくモデルの配列としてブロックにyieldするという点です。以下の例では、与えられたブロックに対して一度に最大1000までの納品書 (invoice) の配列をyieldしています。最後のブロックには残りの納品書が含まれます。
# 1回あたりadd_invoicesに納品書1000通の配列を渡す Invoice.find_in_batches do |invoices| export.add_invoices(invoices) end
find_in_batches
メソッドは上述のようにモデルのクラスに対して機能します。対象がリレーションの場合も同様です。
Invoice.pending.find_in_batches do |invoices| pending_invoices_export.add_invoices(invoices) end
ただしこれは順序指定がない場合に限ります。find_in_batches
メソッドでイテレートするには内部で順序を強制する必要があるためです。
find_in_batches
のオプションfind_in_batches
メソッドでは、find_each
メソッドと同様のオプションを使えます。
where
メソッドは、返されるレコードを制限するための条件を指定します。SQL文で言うWHERE
の部分に相当します。条件は、文字列、配列、ハッシュのいずれかの方法で与えることができます。
検索メソッドに条件を追加したい場合、たとえばClient.where("orders_count = '2'")
のように条件を単純に指定することができます。この場合、orders_count
フィールドの値が2であるすべてのクライアントが検索されます。
条件を文字列だけで構成すると、SQLインジェクションの脆弱性が発生する可能性があります。たとえば、Client.where("first_name LIKE '%#{params[:first_name]}%'")
という書き方は危険です。次で説明するように、配列を使用するのが望ましい方法です。
条件で使用する数値が変動する可能性がある場合、引数をどのようにすればよいでしょうか。この場合は以下のようにします。
Client.where("orders_count = ?", params[:orders])
Active Recordは最初の引数を、文字列で表された条件として受け取ります。その後に続く引数は、文字列内にある疑問符 ?
と置き換えられます。
複数の条件を指定したい場合は次のようにします。
Client.where("orders_count = ? AND locked = ?", params[:orders], false)
上の例では、1つ目の疑問符はparams[:orders]
の値で置き換えられ、2つ目の疑問符はfalse
をSQL形式に変換したもの (変換方法はアダプタによって異なる) で置き換えられます。
以下のようなコードの書き方を強く推奨します。
Client.where("orders_count = ?", params[:orders])
以下の書き方は危険であり、避ける必要があります。
Client.where("orders_count = #{params[:orders]}")
条件文字列の中に変数を直接置くと、その変数はデータベースに そのまま 渡されてしまいます。これは、悪意のある人物がエスケープされていない危険な変数を渡すことができるということです。このようなコードがあると、悪意のある人物がデータベースを意のままにすることができ、データベース全体が危険にさらされます。くれぐれも、条件文字列の中に引数を直接置くことはしないでください。
SQLインジェクションの詳細についてはRuby on Railsセキュリティガイドを参照してください。
疑問符(?)
をパラメータで置き換えるスタイルと同様、条件中でキー/値のハッシュを渡すことができます。ここで渡されたハッシュは、条件中の対応するキー/値の部分に置き換えられます。
Client.where("created_at >= :start_date AND created_at <= :end_date", {start_date: params[:start_date], end_date: params[:end_date]})
このように書くことで、条件で多数の変数が使用されている場合にコードが読みやすくなります。
Active Recordは条件をハッシュで渡すこともできます。この書式を使用することで条件構文が読みやすくなります。条件をハッシュで渡す場合、ハッシュのキーには条件付けしたいフィールドを、ハッシュの値にはそのフィールドをどのように条件づけするかを、それぞれ指定します。
ハッシュによる条件は、等値、範囲、サブセットのチェックでのみ使用できます。
Client.where(locked: true)
これは以下のようなSQLを生成します。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.locked = 1)
フィールド名は文字列形式にすることもできます。
Client.where('locked' => true)
belongs_toリレーションシップの場合、Active Recordオブジェクトが値として使用されていれば、モデルを指定する時に関連付けキーを使用できます。この方法はポリモーフィックリレーションシップでも同様に使用できます。
Article.where(author: author) Author.joins(:articles).where(articles: { author: author })
Client.where(created_at: (Time.now.midnight - 1.day)..Time.now.midnight)
上の例では、昨日作成されたすべてのクライアントを検索します。内部ではSQLのBETWEEN
文が使用されます。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.created_at BETWEEN '2008-12-21 00:00:00' AND '2008-12-22 00:00:00')
配列で表された条件では、さらに簡潔な文例をご紹介しています。
SQLのIN
式を使用してレコードを検索したい場合、条件ハッシュにそのための配列を1つ渡すことができます。
Client.where(orders_count: [1,3,5])
上のコードを実行すると、以下のようなSQLが生成されます。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.orders_count IN (1,3,5))
SQLのNOT
クエリは、where.not
で表せます。
Client.where.not(locked: true)
言い換えれば、このクエリはwhere
に引数を付けずに呼び出し、直後にwhere
条件にnot
を渡してチェインすることで生成されています。これは以下のようなSQLを出力します。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.locked != 1)
2つのリレーションをまたいでOR
条件を使いたい場合は、1つ目のリレーションでor
メソッドを呼び出し、そのメソッドの引数に2つ目のリレーションを渡すことで実現できます。
Client.where(locked: true).or(Client.where(orders_count: [1,3,5]))
SELECT * FROM clients WHERE (clients.locked = 1 OR clients.orders_count IN (1,3,5))
データベースから取り出すレコードを特定の順序で並べ替えたい場合、order
を使用できます。
たとえば、ひとかたまりのレコードを取り出し、それをテーブル内のcreated_at
の昇順で並べたい場合には以下のようにします。
Client.order(:created_at) # または Client.order("created_at")
ASC
(昇順)やDESC
(降順)を指定することもできます。
Client.order(created_at: :desc) # または Client.order(created_at: :asc) # または Client.order("created_at DESC") # または Client.order("created_at ASC")
複数のフィールドを指定して並べることもできます。
Client.order(orders_count: :asc, created_at: :desc) # または Client.order(:orders_count, created_at: :desc) # または Client.order("orders_count ASC, created_at DESC") # または Client.order("orders_count ASC", "created_at DESC")
order
メソッドを複数回呼び出すと、続く並び順は最初の並び順に追加されていきます。
Client.order("orders_count ASC").order("created_at DESC") # SELECT * FROM clients ORDER BY orders_count ASC, created_at DESC
MySQL 5.7.5以上のバージョンで select
やpluck
、ids
メソッドを使ってフィールドを選択し、かつ、選択しているリストにorder
句を使ったフィールドが含まれていないと、order
メソッドでActiveRecord::StatementInvalid
例外が発生します。結果から特定のフィールドだけを取り出す方法については、次のセクションを参照してください。
デフォルトでは、Model.find
を実行すると、結果セットからすべてのフィールドが選択されます。内部的にはSQLのselect *
が実行されています。
結果セットから特定のフィールドだけを取り出したい場合、select
メソッドを使用できます。
たとえば、viewable_by
カラムとlocked
カラムだけを取り出したい場合は以下のようにします。
Client.select("viewable_by, locked")
上で実際に使用されるSQL文は以下のようになります。
SELECT viewable_by, locked FROM clients
selectを使用すると、選択したフィールドだけを使用してモデルオブジェクトが初期化されるため、注意してください。モデルオブジェクトの初期化時に指定しなかったフィールドにアクセスしようとすると、以下のメッセージが表示されます。
ActiveModel::MissingAttributeError: missing attribute: <属性名>
<属性名>
は、アクセスしようとした属性です。id
メソッドは、このActiveRecord::MissingAttributeError
を発生しません。このため、関連付けを扱う場合には注意してください。関連付けが正常に動作するにはid
メソッドが必要だからです。
特定のフィールドについて、重複のない一意の値を1レコードだけ取り出したい場合、distinct
を使用できます。
Client.select(:name).distinct
上のコードを実行すると、以下のようなSQLが生成されます。
SELECT DISTINCT name FROM clients
一意性の制約を外すこともできます。
query = Client.select(:name).distinct # => 重複のない一意の名前が返される query.distinct(false) # => 重複の有無を問わずすべての名前が返される
Model.find
で実行されるSQLにLIMIT
を適用したい場合、リレーションでlimit
メソッドとoffset
メソッドを使用することでLIMIT
を指定できます。
limit
メソッドは、取り出すレコード数の上限を指定します。offset
は、レコードを返す前にスキップするレコード数を指定します。例:
Client.limit(5)
上を実行するとクライアントが最大で5つ返されます。オフセットは指定されていないので、最初の5つがテーブルから取り出されます。この時実行されるSQLは以下のような感じになります。
SELECT * FROM clients LIMIT 5
offset
を追加すると以下のようになります。
Client.limit(5).offset(30)
上のコードは、最初の30クライアントをスキップして31人目から最大5人のクライアントを返します。このときのSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM clients LIMIT 5 OFFSET 30
検索メソッドで実行されるSQLにGROUP BY
句を追加したい場合は、group
メソッドを検索メソッドに追加できます。
たとえば、注文 (order) の作成日のコレクションを検索したい場合は、以下のようにします。
Order.select("date(created_at) as ordered_date, sum(price) as total_price").group("date(created_at)")
上のコードは、データベースで注文のある日付ごとにOrder
オブジェクトを1つ作成します。
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT date(created_at) as ordered_date, sum(price) as total_price FROM orders GROUP BY date(created_at)
グループ化した項目の合計をひとつのクエリで得るには、group
の次にcount
を呼び出します。
Order.group(:status).count # => { 'awaiting_approval' => 7, 'paid' => 12 }
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT COUNT (*) AS count_all, status AS status FROM "orders" GROUP BY status
SQLでは、GROUP BY
フィールドで条件を指定する場合にHAVING
句を使用します。検索メソッドで:having
メソッドを使用すると、Model.find
で生成されるSQLにHAVING
句を追加できます。
以下に例を示します。
Order.select("date(created_at) as ordered_date, sum(price) as total_price"). group("date(created_at)").having("sum(price) > ?", 100)
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT date(created_at) as ordered_date, sum(price) as total_price FROM orders GROUP BY date(created_at) HAVING sum(price) > 100
これは各orderオブジェクトの注文日と合計金額を返します。具体的には、priceが$100を超えているものが、dateごとにまとめられて返されます。
unscope
unscope
を使用して特定の条件を取り除くことができます。以下に例を示します。
Article.where('id > 10').limit(20).order('id asc').unscope(:order)
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM articles WHERE id > 10 LIMIT 20 # `unscope`する前のオリジナルのクエリ SELECT * FROM articles WHERE id > 10 ORDER BY id asc LIMIT 20
特定のwhere
句でunscope
を指定することもできます。以下に例を示します。
Article.where(id: 10, trashed: false).unscope(where: :id) # SELECT "articles".* FROM "articles" WHERE trashed = 0
unscope
をリレーションに適用すると、それにマージされるすべてのリレーションにも影響します。
Article.order('id asc').merge(Article.unscope(:order)) # SELECT "articles".* FROM "articles"
only
only
メソッドを使用すると、条件を上書きできます。以下に例を示します。
Article.where('id > 10').limit(20).order('id desc').only(:order, :where)
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM articles WHERE id > 10 ORDER BY id DESC # `only`を使用する前のオリジナルのクエリ SELECT "articles".* FROM "articles" WHERE (id > 10) ORDER BY id desc LIMIT 20
reorder
reorder
メソッドは、デフォルトのスコープの並び順を上書きします。以下に例を示します。
class Article < ApplicationRecord has_many :comments, -> { order('posted_at DESC') } end Article.find(10).comments.reorder('name')
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM articles WHERE id = 10 SELECT * FROM comments WHERE article_id = 10 ORDER BY name
reorder
句が使われていない場合、実行されるSQLは以下のようになります。
SELECT * FROM articles WHERE id = 10 SELECT * FROM comments WHERE article_id = 10 ORDER BY posted_at DESC
reverse_order
reverse_order
メソッドは、並び順が指定されている場合に並び順を逆にします。
Client.where("orders_count > 10").order(:name).reverse_order
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM clients WHERE orders_count > 10 ORDER BY name DESC
SQLクエリで並び順を指定する句がない場合にreverse_order
を実行すると、主キーの逆順になります。
Client.where("orders_count > 10").reverse_order
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM clients WHERE orders_count > 10 ORDER BY clients.id DESC
このメソッドは引数を取りません。
rewhere
rewhere
メソッドは、既存のwhere条件を上書きします。以下に例を示します。
Article.where(trashed: true).rewhere(trashed: false)
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM articles WHERE `trashed` = 0
rewhere
の代わりにwhere
を2回使用すると、結果が異なります。
Article.where(trashed: true).where(trashed: false)
上で実行されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM articles WHERE `trashed` = 1 AND `trashed` = 0
none
メソッドは、チェイン (chain) 可能なリレーションを返します (レコードは返しません)。このメソッドから返されたリレーションにどのような条件をチェインさせても、常に空のリレーションが生成されます。これは、メソッドまたはスコープへのチェイン可能な応答が必要で、しかも結果を一切返したくない場合に便利です。
Article.none # 空のリレーションを返し、クエリを生成しない。
# visible_articles メソッドはリレーションを返すことが期待されている @articles = current_user.visible_articles.where(name: params[:name]) def visible_articles case role when 'Country Manager' Article.where(country: country) when 'Reviewer' Article.published when 'Bad User' Article.none # => []またはnilを返すと、このコード例では呼び出し元のコードを壊してしまう end end
Active Recordには、返されたどのオブジェクトに対しても変更を明示的に禁止するreadonly
メソッドがあります。読み取り専用を指定されたオブジェクトに対する変更の試みはすべて失敗し、ActiveRecord::ReadOnlyRecord
例外が発生します。
client = Client.readonly.first client.visits += 1 client.save
上のコードでは client
に対して明示的にreadonly
が指定されているため、 visits の値を更新して client.save
を行なうとActiveRecord::ReadOnlyRecord
例外が発生します。
ロックは、データベースのレコードを更新する際の競合状態を避け、アトミックな (=中途半端な状態のない) 更新を行なうために有用です。
Active Recordには2とおりのロック機構があります。
楽観的ロックでは、複数のユーザーが同じレコードを編集することを許し、データの衝突が最小限であることを仮定しています。この方法では、レコードがオープンされてから変更されたことがあるかどうかをチェックします。そのような変更が行われ、かつ更新が無視された場合、ActiveRecord::StaleObjectError
例外が発生します。
楽観的ロックカラム
楽観的ロックを使用するには、テーブルにlock_version
という名前のinteger型カラムがある必要があります。Active Recordは、レコードが更新されるたびにlock_version
カラムの値を1ずつ増やします。更新リクエストが発生したときのlock_version
の値がデータベース上のlock_version
カラムの値よりも小さい場合、更新リクエストは失敗し、ActiveRecord::StaleObjectError
エラーが発生します。例:
c1 = Client.find(1) c2 = Client.find(1) c1.first_name = "Michael" c1.save c2.name = "should fail" c2.save # ActiveRecord::StaleObjectErrorを発生
例外の発生後、この例外をレスキューすることで衝突を解決する必要があります。衝突の解決方法は、ロールバック、マージ、またはビジネスロジックに応じた解決方法のいずれかを使用してください。
ActiveRecord::Base.lock_optimistically = false
を設定するとこの動作をオフにできます。
ActiveRecord::Base
には、lock_version
カラム名を上書きするためのlocking_column
が用意されています。
class Client < ApplicationRecord self.locking_column = :lock_client_column end
悲観的ロックでは、データベースが提供するロック機構を使用します。リレーションの構築時にlock
を使用すると、選択した行に対する排他的ロックを取得できます。lock
を使用するリレーションは、デッドロック条件を回避するために通常トランザクションの内側にラップされます。
以下に例を示します。
Item.transaction do i = Item.lock.first i.name = 'Jones' i.save! end
バックエンドでMySQLを使用している場合、上のセッションによって以下のSQLが生成されます。
SQL (0.2ms) BEGIN Item Load (0.3ms) SELECT * FROM `items` LIMIT 1 FOR UPDATE Item Update (0.4ms) UPDATE `items` SET `updated_at` = '2009-02-07 18:05:56', `name` = 'Jones' WHERE `id` = 1 SQL (0.8ms) COMMIT
異なる種類のロックを使用したい場合、lock
メソッドに生のSQLを渡すこともできます。たとえば、MySQLにはLOCK IN SHARE MODE
という式があります。これはレコードのロック中にも他のクエリからの読み出しは許可するものです。この式を指定するには、単にlockオプションの引数にします。
Item.transaction do i = Item.lock("LOCK IN SHARE MODE").find(1) i.increment!(:views) end
モデルのインスタンスが既にある場合は、トランザクションを開始してその中でロックを一度に取得できます。
item = Item.first item.with_lock do # このブロックはトランザクション内で呼び出される # itemはロック済み item.increment!(:views) end
Active Recordは JOIN
句のSQLを具体的に指定する2つの検索メソッドを提供しています。1つはjoins
、もう1つはleft_outer_joins
です。joins
メソッドはINNER JOIN
やカスタムクエリに使われ、left_outer_joins
は LEFT OUTER JOIN
を使ったクエリの生成に使われます。
joins
joins
メソッドには複数の使い方があります。
joins
メソッドの引数に生のSQLを指定することでJOIN
句を指定できます。
Author.joins("INNER JOIN posts ON posts.author_id = authors.id AND posts.published = 't'")
これによって以下のSQLが生成されます。
SELECT authors.* FROM authors INNER JOIN posts ON posts.author_id = authors.id AND posts.published = 't'
Active Recordでは、joins
メソッドを使用して関連付けでJOIN
句を指定する際に、モデルで定義された関連付けの名前をショートカットとして使用できます (詳細はActive Recordの関連付けを参照)。
たとえば、以下のCategory
、Article
、Comment
、Guest
、Tag
モデルについて考えてみましょう。
class Category < ApplicationRecord has_many :articles end class Article < ApplicationRecord belongs_to :category has_many :comments has_many :tags end class Comment < ApplicationRecord belongs_to :article has_one :guest end class Guest < ApplicationRecord belongs_to :comment end class Tag < ApplicationRecord belongs_to :article end
以下のすべてにおいて、INNER JOIN
を使用した結合クエリが期待どおりに生成されています。
Category.joins(:articles)
上によって以下が生成されます。
SELECT categories.* FROM categories INNER JOIN articles ON articles.category_id = categories.id
上のSQLを日本語で書くと「記事 (article) のあるすべてのカテゴリーを含む、Categoryオブジェクトを1つ返す」となります。なお、同じカテゴリーに複数の記事がある場合、カテゴリーが重複します。重複のない一意のカテゴリーが必要な場合は、Category.joins(:articles).distinct
を使用できます。
Article.joins(:category, :comments)
上によって以下が生成されます。
SELECT articles.* FROM articles INNER JOIN categories ON articles.category_id = categories.id INNER JOIN comments ON comments.article_id = articles.id
上のSQLを日本語で書くと、「カテゴリーが1つあり、かつコメントが1つ以上ある、すべての記事を返す」となります。こちらも、コメントが複数ある記事は複数回表示されます。
Article.joins(comments: :guest)
上によって以下が生成されます。
SELECT articles.* FROM articles INNER JOIN comments ON comments.article_id = articles.id INNER JOIN guests ON guests.comment_id = comments.id
上のSQLを日本語で書くと、「ゲストによるコメントが1つある記事をすべて返す」となります。
Category.joins(articles: [{ comments: :guest }, :tags])
上によって以下が生成されます。
SELECT categories.* FROM categories INNER JOIN articles ON articles.category_id = categories.id INNER JOIN comments ON comments.article_id = articles.id INNER JOIN guests ON guests.comment_id = comments.id INNER JOIN tags ON tags.article_id = articles.id
上のSQLを日本語で書くと「ゲストによってコメントされた記事 (articles) の中で、タグを含んでいるCategoryオブジェクトをすべて返す」となります。
標準の配列および文字列条件を使用して、結合テーブルに条件を指定することができます。ハッシュ条件の場合、結合テーブルで条件を指定する場合に特殊な構文を使用します。
time_range = (Time.now.midnight - 1.day)..Time.now.midnight Client.joins(:orders).where('orders.created_at' => time_range)
さらに読みやすい別の方法として、ハッシュ条件をネストさせる方法があります。
time_range = (Time.now.midnight - 1.day)..Time.now.midnight Client.joins(:orders).where(orders: { created_at: time_range })
このコードでは、昨日作成された注文 (order) を持つすべてのクライアントを検索します。ここでもSQLのBETWEEN
式を使用しています。
left_outer_joins
関連レコードがあるかどうかにかかわらずレコードのセットを取得したい場合は、left_outer_joins
メソッドを使います。
Author.left_outer_joins(:posts).distinct.select('authors.*, COUNT(posts.*) AS posts_count').group('authors.id')
上のコードは、以下のクエリを生成します。
SELECT DISTINCT authors.*, COUNT(posts.*) AS posts_count FROM "authors" LEFT OUTER JOIN posts ON posts.author_id = authors.id GROUP BY authors.id
上のSQLを日本語で書くと「著者 (authors) が記事 (posts) を持っているかどうかにかかわらず、すべての著者とその記事の数を返す」となります。
一括読み込み (eager loading) とは、Model.find
によって返されるオブジェクトに関連付けられたレコードを読み込むためのメカニズムであり、できるだけクエリの使用回数を減らすようにします。
N + 1クエリ問題
以下のコードについて考えてみましょう。クライアントを10人検索して郵便番号を表示します。
clients = Client.limit(10) clients.each do |client| puts client.address.postcode end
このコードは一見何の問題もないように見えます。しかし本当の問題は、実行されたクエリの回数が無駄に多いことなのです。上のコードでは、最初にクライアントを10人検索するのにクエリを1回発行し、次にそこから住所を取り出すのにクエリを10回発行しますので、合計で 11 回のクエリが発行されます。
N + 1クエリ問題を解決する
Active Recordは、読み込まれるすべての関連付けを事前に指定することができます。これは、Model.find
呼び出しでincludes
を指定することで実現できます。includes
を指定すると、Active Recordは指定されたすべての関連付けが最小限のクエリ回数で読み込まれるようにしてくれます。
上の例で言うと、Client.limit(10)
というコードを書き直して、住所が一括で読み込まれるようにします。
clients = Client.includes(:address).limit(10) clients.each do |client| puts client.address.postcode end
最初の例では 11 回もクエリが実行されましたが、今度の例ではわずか 2 回にまで減りました。
SELECT * FROM clients LIMIT 10 SELECT addresses.* FROM addresses WHERE (addresses.client_id IN (1,2,3,4,5,6,7,8,9,10))
Active Recordは、1つのModel.find
呼び出しで関連付けをいくつでも一括読み込みすることができます。これを行なうには、includes
メソッドで配列、ハッシュ、または、配列やハッシュのネストしたハッシュを使用します。
Article.includes(:category, :comments)
上のコードは、記事と、それに関連付けられたカテゴリやコメントをすべて読み込みます。
Category.includes(articles: [{ comments: :guest }, :tags]).find(1)
上のコードは、id=1のカテゴリを検索し、関連付けられたすべての記事とそのタグやコメント、およびすべてのコメントのゲスト関連付けを一括読み込みします。
Active Recordでは、joins
のように事前読み込みされた関連付けに対して条件を指定することができますが、joins という方法を使用することをお勧めします。
しかし、このようにせざるを得ない場合は、where
を通常どおりに使用することができます。
Article.includes(:comments).where(comments: { visible: true })
このコードは、LEFT OUTER JOIN
を含むクエリを1つ生成します。joins
メソッドを使用していたら、代りにINNER JOIN
を使用するクエリが生成されていたでしょう。
SELECT "articles"."id" AS t0_r0, ... "comments"."updated_at" AS t1_r5 FROM "articles" LEFT OUTER JOIN "comments" ON "comments"."article_id" = "articles"."id" WHERE (comments.visible = 1)
where
条件がない場合は、通常のクエリが2セット生成されます。
where
がこのように動作するのは、ハッシュを渡した場合だけです。SQL断片化 (fragmentation) を避けるためには、references
を指定して強制的にテーブルをjoinする必要があります。
Article.includes(:comments).where("comments.visible = true").references(:comments)
このincludes
クエリの場合、どの記事にもコメントがついていないので、すべての記事が読み込まれます。joins
(INNER JOIN) を使用する場合、結合条件は必ずマッチ しなければならず 、それ以外の場合にはレコードは返されません。
もしjoinの一部として関連付けが一括読み込みされている場合、読み込まれたモデルの中にカスタマイズされたSelect句のフィールドが存在しなくなります。これは親レコード (または子レコード) の中で表示して良いかどうかが曖昧になってしまうためです。
スコープを設定することで、関連オブジェクトやモデルへのメソッド呼び出しとして参照される、よく使用されるクエリを指定することができます。スコープでは、where
、joins
、includes
など、これまでに登場したすべてのメソッドを使用できます。どのスコープメソッドも、常にActiveRecord::Relation
オブジェクトを返します。このオブジェクトに対して、別のスコープを含む他のメソッド呼び出しを行なうこともできます。
単純なスコープを設定するには、クラスの内部でscope
メソッドを使用し、スコープが呼び出されたときに実行して欲しいクエリをそこで渡します。
class Article < ApplicationRecord scope :published, -> { where(published: true) } end
以下でもわかるように、スコープでのメソッドの設定は、クラスメソッドの定義と完全に同じ (というよりクラスメソッドの定義そのもの) です。どちらの形式を使用するかは好みの問題です。
class Article < ApplicationRecord def self.published where(published: true) end end
スコープをスコープ内でチェイン (chain) させることもできます。
class Article < ApplicationRecord scope :published, -> { where(published: true) } scope :published_and_commented, -> { published.where("comments_count > 0") } end
このpublished
スコープを呼び出すには、クラスでこのスコープを呼び出します。
Article.published # => [published articles]
または、Article
オブジェクトからなる関連付けでこのスコープを呼び出します。
category = Category.first category.articles.published # => [このカテゴリに属する、公開済みの記事]
スコープには引数を渡すことができます。
class Article < ApplicationRecord scope :created_before, ->(time) { where("created_at < ?", time) } end
引数付きスコープの呼び出しは、クラスメソッドの呼び出しと同様の方法で行います。
Article.created_before(Time.zone.now)
しかし、スコープに引数を渡す機能は、クラスメソッドによって提供される機能を単に複製したものです。
class Article < ApplicationRecord def self.created_before(time) where("created_at < ?", time) end end
したがって、スコープで引数を使用するのであれば、クラスメソッドとして定義する方が推奨されます。クラスメソッドにした場合でも、関連オブジェクトからアクセス可能です。
category.articles.created_before(time)
スコープでは条件文を使うこともできます。
class Article < ApplicationRecord scope :created_before, ->(time) { where("created_at < ?", time) if time.present? } end
以下の例からもわかるように、これはクラスメソッドのように振る舞います。
class Article < ApplicationRecord def self.created_before(time) where("created_at < ?", time) if time.present? end end
ただし1つ注意点があります。それは条件文を評価した結果がfalse
になった場合であっても、スコープは常にActiveRecord::Relation
オブジェクトを返すという点です。クラスメソッドの場合はnil
を返すので、この振る舞いが異なります。したがって、条件文を使ってクラスメソッドをチェインさせていて、かつ、条件文のいずれかがfalse
を返す場合、NoMethodError
を発生することがあります。
あるスコープをモデルのすべてのクエリに適用したい場合、モデル自身の内部でdefault_scope
メソッドを使用することができます。
class Client < ApplicationRecord default_scope { where("removed_at IS NULL") } end
このモデルに対してクエリが実行されたときのSQLクエリは以下のような感じになります。
SELECT * FROM clients WHERE removed_at IS NULL
デフォルトスコープの条件が複雑になるのであれば、スコープをクラスメソッドとして定義するのもひとつの手です。
class Client < ApplicationRecord def self.default_scope # ActiveRecord::Relationを返すようにする end end
レコードを作成するときも、スコープの引数がHash
として与えられた場合はdefault_scope
が適用されます。ただし、レコードを更新する場合は適用されません。例:
class Client < ApplicationRecord default_scope { where(active: true) } end Client.new # => #<Client id: nil, active: true> Client.unscoped.new # => #<Client id: nil, active: nil>
引数にArray
が与えられた場合は、default_scope
クエリの引数はHash
のデフォルト値に変換されない点に注意してください。例:
class Client < ApplicationRecord default_scope { where("active = ?", true) } end Client.new # => #<Client id: nil, active: nil>
where
句と同様、スコープもAND
条件でマージできます。
class User < ApplicationRecord scope :active, -> { where state: 'active' } scope :inactive, -> { where state: 'inactive' } end User.active.inactive # SELECT "users".* FROM "users" WHERE "users"."state" = 'active' AND "users"."state" = 'inactive'
scope
とwhere
条件を混用してマッチさせることができます。その結果生成される最終的なSQLには、すべての条件がAND
で結合されます。
User.active.where(state: 'finished') # SELECT "users".* FROM "users" WHERE "users"."state" = 'active' AND "users"."state" = 'finished'
末尾のwhere
句をどうしてもスコープより優先したい場合は、Relation#merge
を使用できます。
User.active.merge(User.inactive) # SELECT "users".* FROM "users" WHERE "users"."state" = 'inactive'
ここでひとつ注意しなければならないのは、default_scope
で定義した条件が、scope
やwhere
で定義した条件よりも先に評価されるという点です。
class User < ApplicationRecord default_scope { where state: 'pending' } scope :active, -> { where state: 'active' } scope :inactive, -> { where state: 'inactive' } end User.all # SELECT "users".* FROM "users" WHERE "users"."state" = 'pending' User.active # SELECT "users".* FROM "users" WHERE "users"."state" = 'pending' AND "users"."state" = 'active' User.where(state: 'inactive') # SELECT "users".* FROM "users" WHERE "users"."state" = 'pending' AND "users"."state" = 'inactive'
上の例でわかるように、default_scope
の条件が、scope
とwhere
の条件よりも先に評価されています。
何らかの理由でスコープをすべて解除したい場合はunscoped
メソッドを使用できます。このメソッドは、モデルでdefault_scope
が指定されているが、それを適用したくないクエリがある場合に特に便利です。
Client.unscoped.load
このメソッドはスコープをすべて解除し、テーブルに対して通常の (スコープなしの) クエリを実行するようにします。
Client.unscoped.all # SELECT "clients".* FROM "clients" Client.where(published: false).unscoped.all # SELECT "clients".* FROM "clients"
unscoped
はブロックも受け取れます。
Client.unscoped { Client.created_before(Time.zone.now) }
Active Recordは、テーブルに定義されたすべてのフィールド (属性とも呼ばれます) に対して自動的に検索メソッドを提供します。たとえば、Client
モデルにfirst_name
というフィールドがあると、find_by_first_name
というメソッドがActive Recordによって自動的に作成されます。Client
モデルにlocked
というフィールドがあれば、find_by_locked
というメソッドを使用できます。
この動的検索メソッドの末尾にClient.find_by_name!("Ryan")
のように感嘆符 (!
) を追加すると、該当するレコードがない場合にActiveRecord::RecordNotFound
エラーが発生します。
nameとlockedの両方を検索したいのであれば、2つのフィールド名をandでつなぐだけでメソッドを利用できます。たとえば、Client.find_by_first_name_and_locked("Ryan", true)
のように書くことができます。
enum
マクロは整数のカラムを設定可能な値の集合にマッピングします。
class Book < ApplicationRecord enum availability: [:available, :unavailable] end
これは対応するスコープを自動的に作成します。状態の遷移や現在の状態の問い合わせ用のメソッドも追加されます。
# 下の両方の例で、利用可能な本を問い合わせている Book.available # または Book.where(availability: :available) book = Book.new(availability: :available) book.available? # => true book.unavailable! # => true book.available? # => false
enumの詳細な仕様については、 Rails APIを参照してください。
Active Record パターンには メソッドチェイン (Method chaining - Wikipedia) が実装されています。これにより、複数のActive Recordメソッドをシンプルな方法で次々に適用することができます。
文中でメソッドチェインができるのは、その前のメソッドがActiveRecord::Relation
(all
、where
、joins
など) をひとつ返す場合です。文の末尾には、単一のオブジェクトを返すメソッド (単一のオブジェクトを取り出すを参照) をひとつ置かなければなりません。
いくつか例をご紹介します。本ガイドでは一部の例のみをご紹介し、すべての例を網羅することはしません。Active Recordメソッドが呼び出されると、クエリはその時点ではすぐに生成されず、データベースに送信されます。クエリは、データが実際に必要になった時点で初めて生成されます。以下の例では、いずれも単一のクエリを生成します。
Person .select('people.id, people.name, comments.text') .joins(:comments) .where('comments.created_at > ?', 1.week.ago)
結果は次のようなものになります。
SELECT people.id, people.name, comments.text FROM people INNER JOIN comments ON comments.person_id = people.id WHERE comments.created_at > '2015-01-01'
Person .select('people.id, people.name, companies.name') .joins(:company) .find_by('people.name' => 'John') # 名を指定
上のコードから以下が生成されます。
SELECT people.id, people.name, companies.name FROM people INNER JOIN companies ON companies.person_id = people.id WHERE people.name = 'John' LIMIT 1
ひとつのクエリが複数のレコードとマッチする場合、find_by
は「最初」の結果だけを返し、他は返しません (上のLIMIT 1
文を参照)。
レコードを検索し、レコードがなければ作成する、というのはよくある一連の流れです。find_or_create_by
およびfind_or_create_by!
メソッドを使用すればこれらを一度に行なうことができます。
find_or_create_by
find_or_create_by
メソッドは、指定された属性を持つレコードが存在するかどうかをチェックします。レコードがない場合はcreate
が呼び出されます。以下の例を見てみましょう。
'Andy'という名前のクライアントを探し、いなければ作成したいとします。これを行なうには以下を実行します。
Client.find_or_create_by(first_name: 'Andy') # => #<Client id: 1, first_name: "Andy", orders_count: 0, locked: true, created_at: "2011-08-30 06:09:27", updated_at: "2011-08-30 06:09:27">
このメソッドによって生成されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.first_name = 'Andy') LIMIT 1 BEGIN INSERT INTO clients (created_at, first_name, locked, orders_count, updated_at) VALUES ('2011-08-30 05:22:57', 'Andy', 1, NULL, '2011-08-30 05:22:57') COMMIT
find_or_create_by
は、既にあるレコードか新しいレコードのいずれかを返します。上の例の場合、Andyという名前のクライアントがなかったのでレコードを作成して返しました。
create
などと同様、検証にパスするかどうかによって、新しいレコードがデータベースに保存されていないことがあるかもしれません。
今度は、新しいレコードを作成するときに'locked'属性をfalse
に設定したいが、それをクエリに含めたくないとします。そこで、"Andy"という名前のクライアントを検索するか、その名前のクライアントがいない場合は"Andy"というクライアントを作成してロックを外すことにします。
これは2とおりの方法で実装できます。1つ目はcreate_with
を使用する方法です。
Client.create_with(locked: false).find_or_create_by(first_name: 'Andy')
2つ目はブロックを使用する方法です。
Client.find_or_create_by(first_name: 'Andy') do |c| c.locked = false end
このブロックは、クライアントが作成されるときにだけ実行されます。このコードを再度実行すると、このブロックは実行されません。
find_or_create_by!
find_or_create_by!
を使用すると、新しいレコードが無効な場合に例外を発生することもできます。検証 (validation) については本ガイドでは解説していませんが、たとえば
validates :orders_count, presence: true
上をClient
モデルに追加したとします。orders_count
を指定しないで新しいClient
モデルを作成しようとすると、レコードは無効になって例外が発生します。
Client.find_or_create_by!(first_name: 'Andy') # => ActiveRecord::RecordInvalid: Validation failed: Orders count can't be blank
find_or_initialize_by
find_or_initialize_by
メソッドはfind_or_create_by
と同様に動作しますが、create
の代りにnew
を呼ぶ点が異なります。つまり、モデルの新しいインスタンスは作成されますが、その時点ではデータベースに保存されていません。find_or_create_by
の例を少し変えて説明を続けます。今度は'Nick'という名前のクライアントが必要だとします。
nick = Client.find_or_initialize_by(first_name: 'Nick') # => #<Client id: nil, first_name: "Nick", orders_count: 0, locked: true, created_at: "2011-08-30 06:09:27", updated_at: "2011-08-30 06:09:27"> nick.persisted? # => false nick.new_record? # => true
オブジェクトはまだデータベースに保存されていないため、生成されるSQLは以下のようなものになります。
SELECT * FROM clients WHERE (clients.first_name = 'Nick') LIMIT 1
このオブジェクトをデータベースに保存したい場合は、単にsave
を呼び出します。
nick.save # => true
独自のSQLを使用してレコードを検索したい場合、find_by_sql
メソッドを使用できます。このfind_by_sql
メソッドは、オブジェクトの配列を1つ返します。クエリがレコードを1つしか返さなかった場合にも配列が返されますのでご注意ください。たとえば、以下のクエリを実行したとします。
Client.find_by_sql("SELECT * FROM clients INNER JOIN orders ON clients.id = orders.client_id ORDER BY clients.created_at desc") # => [ # #<Client id: 1, first_name: "Lucas" >, # #<Client id: 2, first_name: "Jan" >, # ... # ]
find_by_sql
は、カスタマイズしたデータベース呼び出しを簡単な方法で提供し、インスタンス化されたオブジェクトを返します。
select_all
find_by_sql
はconnection#select_all
と深い関係があります。select_all
はfind_by_sql
と同様、カスタムSQLを使用してデータベースからオブジェクトを取り出しますが、取り出したオブジェクトのインスタンス化を行わない点が異なります。このメソッドはActiveRecord::Result
クラスのインスタンスを1つ返します。このオブジェクトでto_hash
を呼ぶと、各レコードに対応するハッシュを含む配列を1つ返します。
Client.connection.select_all("SELECT first_name, created_at FROM clients WHERE id = '1'").to_hash # => [ # {"first_name"=>"Rafael", "created_at"=>"2012-11-10 23:23:45.281189"}, # {"first_name"=>"Eileen", "created_at"=>"2013-12-09 11:22:35.221282"} # ]
pluck
pluck
は、1つのモデルで使用されているテーブルからカラム (1つでも複数でも可) を取得するクエリを送信するのに使用できます。引数としてカラム名のリストを与えると、指定したカラムの値の配列を、対応するデータ型で返します。
Client.where(active: true).pluck(:id) # SELECT id FROM clients WHERE active = 1 # => [1, 2, 3] Client.distinct.pluck(:role) # SELECT DISTINCT role FROM clients # => ['admin', 'member', 'guest'] Client.pluck(:id, :name) # SELECT clients.id, clients.name FROM clients # => [[1, 'David'], [2, 'Jeremy'], [3, 'Jose']]
pluck
を使用すると、以下のようなコードをシンプルなものに置き換えることができます。
Client.select(:id).map { |c| c.id } # または Client.select(:id).map(&:id) # または Client.select(:id, :name).map { |c| [c.id, c.name] }
上は以下に置き換えられます。
Client.pluck(:id) # または Client.pluck(:id, :name)
select
と異なり、pluck
はデータベースから受け取った結果を直接Rubyの配列に変換してくれます。そのためのActiveRecord
オブジェクトを事前に構成しておく必要はありません。従って、このメソッドは大規模なクエリや使用頻度の高いクエリで使用するとパフォーマンスが向上します。ただし、オーバーライドを行なうモデルメソッドは使用できません。以下に例を示します。
class Client < ApplicationRecord def name "私は#{super}" end end Client.select(:name).map &:name # => ["私はDavid", "私はJeremy", "私はJose"] Client.pluck(:name) # => ["David", "Jeremy", "Jose"]
さらにpluck
は、select
などのRelation
スコープと異なり、クエリを直接トリガするので、その後ろに他のスコープをチェインすることはできません。ただし、構成済みのスコープをpluck
の前に置くことはできます。
Client.pluck(:name).limit(1) # => NoMethodError: undefined method `limit' for #<Array:0x007ff34d3ad6d8> Client.limit(1).pluck(:name) # => ["David"]
ids
ids
は、テーブルの主キーを使用するリレーションのIDをすべて取り出すのに使用できます。
Person.ids # SELECT id FROM people
class Person < ApplicationRecord self.primary_key = "person_id" end Person.ids # SELECT person_id FROM people
オブジェクトが存在するかどうかをチェックしたい時はexists?
メソッドを使います。このメソッドは、find
と同様のクエリを使用してデータベースにクエリを送信しますが、オブジェクトのコレクションの代わりにtrue
またはfalse
を返します。
Client.exists?(1)
exists?
は複数の値を引数に取ることができます。ただし、それらの値のうち1つでも存在していれば、他の値が存在していなくてもtrue
を返します。
Client.exists?(id: [1,2,3]) # または Client.exists?(name: ['John', 'Sergei'])
exists?
メソッドは、引数なしでモデルやリレーションに使用することもできます。
Client.where(first_name: 'Ryan').exists?
上の例では、first_name
が'Ryan'のクライアントが1人でもいればtrue
を返し、それ以外の場合はfalse
を返します。
Client.exists?
上の例では、Client
テーブルが空ならfalse
を返し、それ以外の場合はtrue
を返します。
モデルやリレーションでの存在チェックにはany?
やmany?
も使用できます。
# via a model Article.any? Article.many? # 名前付きスコープを経由 Article.recent.any? Article.recent.many? # リレーション経由 Article.where(published: true).any? Article.where(published: true).many? # 関連付け経由 Article.first.categories.any? Article.first.categories.many?
このセクションでは冒頭でcount
メソッドを例に取って説明していますが、ここで説明されているオプションは以下のすべてのサブセクションにも該当します。
あらゆる計算メソッドは、モデルに対して直接実行されます。
Client.count # SELECT count(*) AS count_all FROM clients
リレーションに対しても直接実行されます。
Client.where(first_name: 'Ryan').count # SELECT count(*) AS count_all FROM clients WHERE (first_name = 'Ryan')
この他にも、リレーションに対してさまざまな検索メソッドを使用して複雑な計算を行なうことができます。
Client.includes("orders").where(first_name: 'Ryan', orders: { status: 'received' }).count
上のコードは以下を実行します。
SELECT count(DISTINCT clients.id) AS count_all FROM clients LEFT OUTER JOIN orders ON orders.client_id = clients.id WHERE (clients.first_name = 'Ryan' AND orders.status = 'received')
モデルのテーブルに含まれるレコードの個数を数えるにはClient.count
を使用できます。返されるのはレコードの個数です。特定の年齢のクライアントの数を数えるのであれば、Client.count(:age)
とします
オプションについては、1つ上の計算セクションを参照してください。
テーブルに含まれる特定の数値の平均を得るには、そのテーブルを持つクラスに対してaverage
メソッドを呼び出します。このメソッド呼び出しは以下のようなものになります。
Client.average("orders_count")
返される値は、そのフィールドの平均値です。通常3.14159265のような浮動小数点になります。
オプションについては、1つ上の計算セクションを参照してください。
テーブルに含まれるフィールドの最小値を得るには、そのテーブルを持つクラスに対してminimum
メソッドを呼び出します。このメソッド呼び出しは以下のようなものになります。
Client.minimum("age")
オプションについては、1つ上の計算セクションを参照してください。
テーブルに含まれるフィールドの最大値を得るには、そのテーブルを持つクラスに対してmaximum
メソッドを呼び出します。このメソッド呼び出しは以下のようなものになります。
Client.maximum("age")
オプションについては、1つ上の計算セクションを参照してください。
テーブルに含まれるフィールドのすべてのレコードにおける合計を得るには、そのテーブルを持つクラスに対してsum
メソッドを呼び出します。このメソッド呼び出しは以下のようなものになります。
Client.sum("orders_count")
オプションについては、1つ上の計算セクションを参照してください。
リレーションによってトリガされるクエリでEXPLAINを実行することができます。以下に例を示します。
User.where(id: 1).joins(:articles).explain
以下のような結果が生成されます。
EXPLAIN for: SELECT `users`.* FROM `users` INNER JOIN `articles` ON `articles`.`user_id` = `users`.`id` WHERE `users`.`id` = 1 +----+-------------+----------+-------+---------------+ | id | select_type | table | type | possible_keys | +----+-------------+----------+-------+---------------+ | 1 | SIMPLE | users | const | PRIMARY | | 1 | SIMPLE | articles | ALL | NULL | +----+-------------+----------+-------+---------------+ +---------+---------+-------+------+-------------+ | key | key_len | ref | rows | Extra | +---------+---------+-------+------+-------------+ | PRIMARY | 4 | const | 1 | | | NULL | NULL | NULL | 1 | Using where | +---------+---------+-------+------+-------------+ 2 rows in set (0.00 sec)
上の結果はMySQLの場合です。
Active Recordは、データベースシェルを模したデータをある程度整形して出力します。PostgreSQLアダプタで同じクエリを実行すると、今度は以下のような結果が得られます。
EXPLAIN for: SELECT "users".* FROM "users" INNER JOIN "articles" ON "articles"."user_id" = "users"."id" WHERE "users"."id" = 1 QUERY PLAN ------------------------------------------------------------------------------ Nested Loop Left Join (cost=0.00..37.24 rows=8 width=0) Join Filter: (articles.user_id = users.id) -> Index Scan using users_pkey on users (cost=0.00..8.27 rows=1 width=4) Index Cond: (id = 1) -> Seq Scan on articles (cost=0.00..28.88 rows=8 width=4) Filter: (articles.user_id = 1) (6 rows)
一括読み込みを使用していると、内部で複数のクエリがトリガされることがあり、一部のクエリではその前の結果を必要とすることがあります。このため、explain
はこのクエリを実際に実行し、それからクエリプランを要求します。以下に例を示します。
User.where(id: 1).includes(:articles).explain
以下の結果を生成します。
EXPLAIN for: SELECT `users`.* FROM `users` WHERE `users`.`id` = 1 +----+-------------+-------+-------+---------------+ | id | select_type | table | type | possible_keys | +----+-------------+-------+-------+---------------+ | 1 | SIMPLE | users | const | PRIMARY | +----+-------------+-------+-------+---------------+ +---------+---------+-------+------+-------+ | key | key_len | ref | rows | Extra | +---------+---------+-------+------+-------+ | PRIMARY | 4 | const | 1 | | +---------+---------+-------+------+-------+ 1 row in set (0.00 sec) EXPLAIN for: SELECT `articles`.* FROM `articles` WHERE `articles`.`user_id` IN (1) +----+-------------+----------+------+---------------+ | id | select_type | table | type | possible_keys | +----+-------------+----------+------+---------------+ | 1 | SIMPLE | articles | ALL | NULL | +----+-------------+----------+------+---------------+ +------+---------+------+------+-------------+ | key | key_len | ref | rows | Extra | +------+---------+------+------+-------------+ | NULL | NULL | NULL | 1 | Using where | +------+---------+------+------+-------------+ 1 row in set (0.00 sec)
上の結果はMySQLとMariaDBの場合です。
EXPLAINの出力を解釈することは、本ガイドの範疇を超えます。 以下の情報を参考にしてください。
SQLite3: EXPLAIN QUERY PLAN
MySQL: EXPLAIN Output Format (v5.6日本語)
MariaDB: EXPLAIN
PostgreSQL: Using EXPLAIN (v10日本語)
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